14 / 35
あまり飲みすぎない方が身のためだぞ
しおりを挟む
顔を抑えるために腕が解かれ、解放されたディランは即座にベッドの端まで這い出て距離をとる。
「……おはよう……」
影千代は顔をさすりながら、寝起きの掠れた声を出す。何が起こったのかと理解に苦しむ様子を見て、勢い余ってやり過ぎたかと頭の端で思う。
しかし、そんな様子はおくびにも出さずディランはベッドサイドに腰かけて足を組んだ。
「おはよう。……お前、昨日何があったか覚えてるか?」
影千代は眉を寄せながら体を起こす。
乱れた浴衣から覗く肌が、昨夜の夢か現実かわからない情景を思い起こさせる。
ディランは思わず視線を逸らした。
まだ目が完全には開いていない影千代は、ディランの動揺には気が付かない様子で口を開く。
「ああ……酔い潰れたお前をベッドに移動して……すまん、私も力尽きて……」
「それだけか?」
「他に何かあったか? 飲み過ぎたのか記憶が」
「いや、俺の記憶と同じだ」
ディランは食い気味に返事をした。
記憶の中の影千代は、ディランほど泥酔しておらずしっかりしていた。
だが実際にはディランと共に寝てしまうほど酔っていたという。
それならば、おそらく口づけしたところからすべて欲求不満が見せたディランの夢だったのだろう。
ディランは胸を撫でおろした。
「そうか」
「また迷惑かけちまったな」
浴衣の合わせ目を直しながら頷く影千代に、ディランは罰が悪い表情になる。
ベッドに運ばせたこともだが、何より夢の内容が気まずい。
おそらく恋人か愛人と間違えたのであろう先ほどの愛撫と相まって落ち着かなかった。
様々な感情がないまぜになり瞳を泳がせるディランを見た影千代は、緩く首を振る。
「別に……ただ」
「え?」
「あまり飲みすぎない方が身のためだぞ」
何を言われるのかと身構えたが、聞こえてきたあまりにも普通の言葉にディランは笑う。
「お互いさまだろが。一緒に寝たってことはお前も相当酔ってたろ」
影千代はそれには返事をせず、ただ青い瞳を細めて微笑んだ。
ディランの苦手な表情だ。
見透かされているような、何か含むものがあるような。
出会った時から影千代は、その目をしてディランを見ている。
胸の奥がむずむずと落ち着かない気持ちになりながら、ディランはふと首を傾げた。
「あれ、お前の寝間着……そんなんだったか?」
「ああ。どうかしたか?」
「……いや、別に」
怪訝そうに紺色の浴衣を見下ろす影千代を見て、気のせいだったかとディランは納得した。
本音をいうと違和感があったのだが、そこまで深堀する必要はないようにその時は感じた。
そして、影千代が機嫌良さそうに緩く尾を振りながら部屋に帰っていくのを不思議に思いつつ見送ると、着替えようとクローゼットへ足を運ぶ。
そして、クローゼットの隣に置いた大きな姿見鏡に映った自分に目を見開いた。
「いやこれ……やっぱり夢じゃねぇだろ」
現実を受け入れられずに直接そこを見てもやはり鏡に映っているのと変わらない。
ディランは頭を抱えて、ズルズルとその場にしゃがみこんだ。
ローブを脱いで裸になったディランの胸の周りには、いくつもの紅い痕が散っていた。
「……おはよう……」
影千代は顔をさすりながら、寝起きの掠れた声を出す。何が起こったのかと理解に苦しむ様子を見て、勢い余ってやり過ぎたかと頭の端で思う。
しかし、そんな様子はおくびにも出さずディランはベッドサイドに腰かけて足を組んだ。
「おはよう。……お前、昨日何があったか覚えてるか?」
影千代は眉を寄せながら体を起こす。
乱れた浴衣から覗く肌が、昨夜の夢か現実かわからない情景を思い起こさせる。
ディランは思わず視線を逸らした。
まだ目が完全には開いていない影千代は、ディランの動揺には気が付かない様子で口を開く。
「ああ……酔い潰れたお前をベッドに移動して……すまん、私も力尽きて……」
「それだけか?」
「他に何かあったか? 飲み過ぎたのか記憶が」
「いや、俺の記憶と同じだ」
ディランは食い気味に返事をした。
記憶の中の影千代は、ディランほど泥酔しておらずしっかりしていた。
だが実際にはディランと共に寝てしまうほど酔っていたという。
それならば、おそらく口づけしたところからすべて欲求不満が見せたディランの夢だったのだろう。
ディランは胸を撫でおろした。
「そうか」
「また迷惑かけちまったな」
浴衣の合わせ目を直しながら頷く影千代に、ディランは罰が悪い表情になる。
ベッドに運ばせたこともだが、何より夢の内容が気まずい。
おそらく恋人か愛人と間違えたのであろう先ほどの愛撫と相まって落ち着かなかった。
様々な感情がないまぜになり瞳を泳がせるディランを見た影千代は、緩く首を振る。
「別に……ただ」
「え?」
「あまり飲みすぎない方が身のためだぞ」
何を言われるのかと身構えたが、聞こえてきたあまりにも普通の言葉にディランは笑う。
「お互いさまだろが。一緒に寝たってことはお前も相当酔ってたろ」
影千代はそれには返事をせず、ただ青い瞳を細めて微笑んだ。
ディランの苦手な表情だ。
見透かされているような、何か含むものがあるような。
出会った時から影千代は、その目をしてディランを見ている。
胸の奥がむずむずと落ち着かない気持ちになりながら、ディランはふと首を傾げた。
「あれ、お前の寝間着……そんなんだったか?」
「ああ。どうかしたか?」
「……いや、別に」
怪訝そうに紺色の浴衣を見下ろす影千代を見て、気のせいだったかとディランは納得した。
本音をいうと違和感があったのだが、そこまで深堀する必要はないようにその時は感じた。
そして、影千代が機嫌良さそうに緩く尾を振りながら部屋に帰っていくのを不思議に思いつつ見送ると、着替えようとクローゼットへ足を運ぶ。
そして、クローゼットの隣に置いた大きな姿見鏡に映った自分に目を見開いた。
「いやこれ……やっぱり夢じゃねぇだろ」
現実を受け入れられずに直接そこを見てもやはり鏡に映っているのと変わらない。
ディランは頭を抱えて、ズルズルとその場にしゃがみこんだ。
ローブを脱いで裸になったディランの胸の周りには、いくつもの紅い痕が散っていた。
53
あなたにおすすめの小説
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
帝に囲われていることなど知らない俺は今日も一人草を刈る。
志子
BL
ノリと勢いで書いたBL転生中華ファンタジー。
美形×平凡。
乱文失礼します。誤字脱字あったらすみません。
崖から落ちて顔に大傷を負い高熱で三日三晩魘された俺は前世を思い出した。どうやら農村の子どもに転生したようだ。
転生小説のようにチート能力で無双したり、前世の知識を使ってバンバン改革を起こしたり……なんてことはない。
そんな平々凡々の俺は今、帝の花園と呼ばれる後宮で下っ端として働いてる。
え? 男の俺が後宮に? って思ったろ? 実はこの後宮、ちょーーと変わっていて…‥。
従僕に溺愛されて逃げられない
大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL!
俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。
その傍らには、当然のようにリンがいる。
荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。
高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。
けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。
当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。
居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。
さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。
主従なのか、恋人なのか。
境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。
従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる