【完結】睨んでキスして好きって知った〜最強ヤンキーは元ヤン芋オタク?に乱される〜

虎ノ威きよひ

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見てくれだけは

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 入学式から一週間ほどが過ぎた。

 この短期間で、はぐれ者の一年生はひとまずまとめ上げた。
 田舎のせいか校風のせいなのか、同じ臭いのする生徒が五人と少なかったのもあり余裕だった。

 この世界は、強い奴が偉い。
 二年生三年生は、相手によっては久々に下についても良いかもしれないと軽く考えている。
 年功序列も大切だ。

 欠伸をしながらなんとなく隣に視線をやる。文庫本を開きながらクラスメイトと話す、素材の良さが台無しな芋男。
 人はこんなに変わるものなのか。

(見てくれだけはイカしてたのに……)

 誰もが目を惹く美少年だった。
 不良のくせに学校問わず女子に人気だったし、男子からは羨望の対象だった。
 街で見かけた時にはいつもどこか詰まらなそうな表情をしていて、その姿もまた「アンニュイな感じがカッコいい」と言われているのを聞いた。

 そんな男が、喧嘩中は別人のようにギラギラと宍戸だけをロックオンしていた。
 乱れた髪を掻き上げる仕草やそこから覗く痣の出来た顔は不思議な色気を醸し出していたように思う。
 誰にも同意を求めたことはないが。

 ただ、その瞬間の顔は自分しか見ていないのだという優越感だけがあった。
 もっと自分を見て欲しくて、必ず真っ先に彼の方へと走ったものだ。

 同じ世界に居たはずなのに、一年半ほどで正反対の世界にいるのだから人生は謎だ。

 隣の席に座っているものの、特に大上に話しかけることはなかった。
 指示通りに動いているようで宍戸としては面白くなかったが、そもそも友人でもない。

 中学のころも、基本的には罵声を浴びせあっていただけでまともな会話などしたことがないのだ。
 なんと形容していいのかも分からないような関係だった。

 退屈に感じるほど平穏な日々が続いていたが、ある日の昼休み。

 傷だらけになった茶髪の生徒が一人教室に入ってきた。
 その場で昼食をとっていた生徒たちが騒つく。

 ただ一人、事態を察した宍戸はすぐに駆け寄った。
 
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