転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

文字の大きさ
40 / 74

第21話 新型農法と土木建築5

 インド、アフリカ、南アメリカには天然のゴムの木があるのに……アジアやヨーロッパ地域にはゴムの木がないんだよね。どこかに生えてるといいんだけど……

 工夫が凝らされた。何度も試行錯誤を繰り返し、凸凹の具合を調整することで、ようやく車輪は滑らずにしっかりと回転するようになった。木工屋と鍛冶屋の親方は、互いの技術と知恵を出し合い、試作品となる一台の手押し車を完成させた。その顔には、新しい道具を作り上げた職人としての満足感と、ほんの少しの興奮が浮かんでいた。

 数日後、ついに一台の猫車が完成した。木工屋の親方は、埃まみれの作業着のまま、目を輝かせながらエルに駆け寄ってきた。

「エルさま!これは、まさしく大発明ですよ!こんなに便利な物は、わたくしも生まれて初めて見ました!作っている間、本当にワクワクしました!」

 親方は、実際に手押し車を押してみせ、その安定感と運びやすさを力説した。土や木材を積んでもびくともしない頑丈さ、そして何よりも、一人で楽々と重い物を運べるという利便性に、親方は心底感銘を受けた様子だった。彼の興奮した様子は、この手押し車が、単なる道具ではなく、人々の生活を大きく変える可能性を秘めた革新的な発明であることをエルに確信させた。

 木工屋の親方の言葉に、エルは手押し車の可能性を改めて感じた。これは、ステップド領だけでなく、他の地域の人々の生活も豊かにするかもしれない。そう考えたエルは、すぐに商業ギルドへと向かった。商業ギルドは、様々な商品の取引を仲介するだけでなく、新しい発明や技術の権利を保護する役割も担っている。ギルドの建物は、領都の中心部に堂々とそびえ立ち、多くの商人や職人たちが出入りしていた。エルは、受付で手押し車の設計図を提出し、特許の申請を行った。この発明を独占するつもりはなかった。むしろ、広く普及させることで、領全体の経済を活性化させたいと考えていた。特許を取得することで、模倣品が出回るのを防ぎ、正当な対価を木工屋と鍛冶屋に支払えるようにするのが目的だった。

 商業ギルドから手押し車の特許が下りて数日後、エルは一人の商人から熱心な申し出を受けた。その商人は、領都でも有数のやり手として知られる男で、手押し車の図面を見た瞬間から、その革新的な利便性に目を付けていた。

「エルさま! これは素晴らしい発明です! ぜひとも、わたくしめに商品化させていただけませんか!」

 商人は、目をぎらつかせながら、エルに熱心に語りかけた。ステップド家にはまだ資金がないことを伝えると、商人はすぐに木工屋と鍛冶屋に投資する形で資金を提供し、手押し車の増産体制が整えられた。

 間もなく、ステップドの街では、その手押し車が至る所で見られるようになった。農家は収穫した作物を畑から運び出す際に、建設作業員は資材を運ぶ際に、そして市場の商人たちは商品を運搬する際に、皆、こぞってこの便利な道具を使うようになった。以前は二人掛かりで運んでいたような重い荷物も、今では一人で楽々と運べるようになったため、人々の作業効率は飛躍的に向上した。

 手押し車がステップドの街で驚くほどの成功を収めると、間もなくして、あの商人が再びエルの元を訪れた。

「エルキュールさまこの手押し車は、必ずや領外でも売れます!ぜひとも、販路を拡大させてください!」

 商人は、興奮した様子でエルにそう進言した。エルもまた、この便利な道具が、ステップド領だけでなく、周辺の地域の人々の生活も豊かにするだろうと考えていたため、商人の申し出を快諾した。こうして、ステップド領で生まれた革新的な手押し車は、瞬く間に周辺の領地へと広がり、領全体の経済に大きな潤いをもたらすことになった。エルは、自身の前世の知識が、このファンタジー世界で人々の役に立っていることを実感し、静かな満足感を覚えていた。 
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました

向原 行人
ファンタジー
 僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。  実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。  そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。  なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!  そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。  だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。  どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。  一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!  僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!  それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?  待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ! ※第○話:主人公視点  挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点  となります。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

無職が最強の万能職でした!?〜俺のスローライフはどこ行った!?〜

あーもんど
ファンタジー
不幸体質持ちの若林音羽はある日の帰り道、自他共に認める陽キャのクラスメイト 朝日翔陽の異世界召喚に巻き込まれた。目を開ければ、そこは歩道ではなく建物の中。それもかなり豪華な内装をした空間だ。音羽がこの場で真っ先に抱いた感想は『テンプレだな』と言う、この一言だけ。異世界ファンタジーものの小説を読み漁っていた音羽にとって、異世界召喚先が煌びやかな王宮内────もっと言うと謁見の間であることはテンプレの一つだった。 その後、王様の命令ですぐにステータスを確認した音羽と朝日。勇者はもちろん朝日だ。何故なら、あの魔法陣は朝日を呼ぶために作られたものだから。言うならば音羽はおまけだ。音羽は朝日が勇者であることに大して驚きもせず、自分のステータスを確認する。『もしかしたら、想像を絶するようなステータスが現れるかもしれない』と淡い期待を胸に抱きながら····。そんな音羽の淡い期待を打ち砕くのにそう時間は掛からなかった。表示されたステータスに示された職業はまさかの“無職”。これでは勇者のサポーター要員にもなれない。装備品やら王家の家紋が入ったブローチやらを渡されて見事王城から厄介払いされた音羽は絶望に打ちひしがれていた。だって、無職ではチートスキルでもない限り異世界生活を謳歌することは出来ないのだから····。無職は『何も出来ない』『何にもなれない』雑魚職業だと決めつけていた音羽だったが、あることをきっかけに無職が最強の万能職だと判明して!? チートスキルと最強の万能職を用いて、音羽は今日も今日とて異世界無双! ※カクヨム、小説家になろう様でも掲載中

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!