転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗

文字の大きさ
42 / 74

第23話 骨スープ

 ステップド領は周囲には山林と湖以外目立ったものはない。
 淡水湖が近くにあるので、湖に出入りする豊富な水資源には困らない。
 隣領との領有権が面倒な山林こそ今回の作戦予定地である。
 麓はなだらかな坂が続くものの、長年の雨風による浸食によって一部が細くて険しい地形になっている。
 本陣を置くのはその付近で比較的見晴らしもよく水源が近い場所だった。

「点呼終わり。全員装備を確認の後野営順に入れ! 野営の準備が終わり次第罠を設置するように」
 
 父が指示を出すと、従士がリーダーとなって村人に具体的な指示を出すと村人は素早い動きで野営の準備を進めていく。
 日頃から肉体労働をしているだけあって土木工事のような仕事は得意な分野なのだろう。
 賦役を理由に集められた農民は、最初文句を垂れていたが調子のいい歌を歌い始めてからはご機嫌であった。

 それは『伍』と呼ばれる五人一組を作ることで管理を用意にし、連帯感を持たせることに成功していた。
 これは東アジア地域や共産圏で使われた監視社会を作る方式で、誰かの幸せを全力でつぶそうとする人間の性質を逆手に取ったシステムだ。

 軍事面でも組織の柔軟性を高めるためには間接つまり指揮官を増やす必要がある。
 兵の動員人数を安定化させ、税や兵役逃れを防ぎ統治と軍事面でも楽なこのシステムを俺は非常に気に入っていた。

「父さま五人組は成功みたいだね」

「ああ農民は傭兵や兵に比べ士気も低く使いずらかったが、『連帯責任と相互監視それに連帯感』は、士気を大幅に上げるようだ。有事の際だけでなく平時から使えるこのシステムは画期的だな」

「指揮を上げるだけなら退路を断つかエサで釣ればいいだけです。傭兵には倍給兵という制度があり、危険が高いポジションになる代わり高い給料を払うシステムがあるそうですよ?」

 古今東西の軍隊に似たようなシステムが存在する。
 日本の新選組にも死番というシステムが存在した。
 現代でも危険手当が存在するのだから金で釣るのは一般的な方法なのだろう。

「軍でも略奪や強姦は勝者の特権で釣って、命と天秤に乗せさせることができたら勝ですよどうせ軍規でしばっても脱走兵は出るんですから」

 世界大戦前までは総力戦という発想はなく、開戦時の三割程度何らかの要因で減ると全滅判定となる。
 壊滅なら五割とミリオタ以外には以外に感じるだろう。

「なるほど……参考にしよう」

「それと父さま山菜やキノコあれば蜂蜜などの山の恵みも取っておきましょう。こういう機会でもないと誰も入らないような場所ですから……」

「そうだな……」

 しかし父の言葉は切れが悪かった。
 実際のところ駄目だと言っても山林に入る農民は多い。
 日々のオカズを増やすためだ。
 猟師の場合数日山林に入ることなど日常茶飯事なのでここら辺は庭と言っていい。

 一応初陣? になる俺を気使って父と従士達は頑張っている。
 陣地の設営が終わった部隊から罠や山菜の採取に向かわせている。
 一応領民には武装をさせており使う武器は投石器と投げ槍だ。
 槍を差すことで身動きが取れないようにして仕留めることを狙った武器構成だ。
 原始時代より用いられてきた由緒ある構成に間違いはない。

 結果。

「大量だな……」

 狐狼に穴熊、熊に鹿そして猪とバラエティー豊かな獣が狩猟されいる。
 その中には見慣れない生き物が存在しており聞けばそれがモンスターなのだという。

「これがモンスター……」

 従士が答えた。

「人類共通の敵です。動物とモンスターの違いは魔法を使うかどうかです」

「魔法を?」

「魔法と言っても規模の差がありますから農民でも倒せる雑魚もいれば貴族が束になっても敵わない強敵もいますがね……」

「集団でも勝てないのか?」

「基礎スペックが違いますから難しいですね……」

「そういうものか」

「そういうものです」

 モンスターを含めた狩りの成果は、内臓を食べ皮を剥ぎ肉は燻製にして持ち帰る予定だと従士が言っていた。
 骨や内臓の一部は嵩張る割に重いとのことで捨てるらしい。
 もったいないと感じるが狩りの成果に対して持ち帰られる量を超えているからだ。
 栄養価だけを考えると血まで全て使用したブラッドソーセージが一番なんだけど今この場でそこまで加工するのは不可能だ。

「骨を貰ってていいか?」

「いいですけど……何をするんですか?」

「夕飯頃に来ればわかりますよ。本当の骨の使い方というものをお見せしますよ」

 昼食がパンと干し肉だけだったことも手伝って今欲しいのは汁物。
 それはどの季節であっても食卓を彩る魔法である。
 それに……いつもよりも硬いパンは日持ちするものの、水気がないと食えたものではない。

『あるじルミナスひのばんばっかり! さすがにおこるよ』

 そうは言われても燃料代を浮かせるのにルミナスが魔法を使うのが一番効率的なのだ。
 第一俺はまだ魔法を教えて貰っていないのだから。

『頼む今日は魔力いつもより持って行っていいから!』

『ほんとう?』

『ほんとうだ』

『ルミナスがんばる! あるじすきー』

 用意させた骨を斧で細かく砕き髄液がスープに溶けだしやすくする。
 野草と一緒に煮て灰汁を零し、骨を再度煮て出汁を抽出する。
 白濁したところで布を使ってスープを濾し骨を除去。
 最後に肉や野草と言った具材を入れ一煮立ちしたところに塩を入れて完成だ。

「いい匂いですね……しかしどうやって……」

 骨スープの匂いに釣られた腹ペコ従士は質問する。

「良い質問ですが答えていてはスープが冷めてしまう。食べながら話そう……」

「そりゃあいいですね! 是非そうしましょう」

 匙でスープと具材を掬い上げ口に運ぶ。

「――!?」

 腹ペコ従士は一瞬固まるとこう言った。

「うっま!!」

 その言葉を聞いて口を付けていなかった全員が匙を入れスープを口に運ぶ。
 それからは皆匙が止まらないようで、頻りに匙を動かしている。

「骨があんなにうまいスープになるなんて……」

「しかし燃料代がバカにならなそうだ……」

「食えないモノが食えるようになるんだから仕方がないだろ」

「まあそれもそうか……」

「麦の粉を焼き固めただけの硬いパンや、少し腐った獣臭い塩辛い干し肉にはもう戻れないな……」

「いつでもうまいのはドライフルーツだけだ」

「違いない……」

 従士一同には高評価なようで、今まで戦場で食べて来た酷い食事に思いを馳せた。
感想 14

あなたにおすすめの小説

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

異世界転生したおっさんが普通に生きる

カジキカジキ
ファンタジー
 第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位 応援頂きありがとうございました!  異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界  主人公のゴウは異世界転生した元冒険者  引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。  知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?

スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ
ファンタジー
僕は、諏方賢斗(すわ けんと)十九歳。 パンの製造員を目指す専門学生……だったんだけど。 車に轢かれそうになった猫ちゃんを助けようとしたら、あっさり事故死。でも、その猫ちゃんが神様の御使と言うことで……復活は出来ないけど、僕を異世界に転生させることは可能だと提案されたので、もちろん承諾。 ただ、ひとつ神様にお願いされたのは……その世界の、回復アイテムを開発してほしいとのこと。パンやお菓子以外だと家庭レベルの調理技術しかない僕で、なんとか出来るのだろうか心配になったが……転生した世界で出会ったスライムのお陰で、それは実現出来ることに!! 相棒のスライムは、パン製造の出来るレアスライム! けど、出来たパンはすべて回復などを実現出来るポーションだった!! パン職人が夢だった青年の異世界のんびりスローライフが始まる!!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界の片隅で、穏やかに笑って暮らしたい

木の葉
ファンタジー
『異世界で幸せに』を新たに加筆、修正をしました。 下界に魔力を充満させるために500年ごとに送られる転生者たち。 キャロルはマッド、リオに守られながらも一生懸命に生きていきます。 家族の温かさ、仲間の素晴らしさ、転生者としての苦悩を描いた物語。 隠された謎、迫りくる試練、そして出会う人々との交流が、異世界生活を鮮やかに彩っていきます。 一部、残酷な表現もありますのでR15にしてあります。 ハッピーエンドです。 最終話まで書きあげましたので、順次更新していきます。

異世界転生雑学無双譚 〜転生したのにスキルとか貰えなかったのですが〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
エドガーはマルディア王国王都の五爵家の三男坊。幼い頃から神童天才と評されていたが七歳で前世の知識に目覚め、図書館に引き篭もる事に。 そして時は流れて十二歳になったエドガー。祝福の儀にてスキルを得られなかったエドガーは流刑者の村へ追放となるのだった。 【カクヨムにも投稿してます】

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?