31 / 56
第29話インフラを整えよう中
しおりを挟む「治水は目立たないが、メリットが多いと言う事は分かった。
それと道路工事に何の因果関係がある?」
道路を改善しなければ、大きなメリットを提示する事は難しいと言うのに、理解されていないのは説明が辛い。
さてどうしたものか……
「道路と言うのは最も一般的な移動手段です。
急な段差をなくし、ぬかるんだ道を無くし、道の揺れを少なくする。
徒歩でも馬でも馬車すら快適に移動する事が出来るようになれば、商人や軍の移動速度は飛躍的に向上し、移動にかかる時間が短くなるので領土は小さくなると言え、ノーフォーク公爵領内でも有数の都市に成長する事でしょう……これは先ほども言いましたが兵にやらせれば練度が上がり、民を雇えば雇用が生まれるのです。あえてやらない手はないでしょう?」
中世ヨーロッパにおいて、最も早い道は古代ローマ時代に整備された街道であったと言うほどであり、海路と古代ローマ時代に整備された道路網によって、イタリア半島の諸王国は商業都市や交易都市として栄える事が出来たのだ。そして金融が発達し、教皇から王族まで排出する事になる名門メディチ(メディシス)家が生まれる要因になったのだ。
そして幸いな事に、古代ローマから現代にいたるまで、道路工事の主な作業には差して変化はない。最も手間はかかるもののチートがしやすい部分なのだ。
「手間はかかりますが、道は長く誰でも使えますし作れます。資金が不安でしたら、商人から借りてもいいですし、住民に課せられている労働税で払わせてもいい良いかと、俺としては関所での税の徴収を撤廃し都市や村に入る際に税金を取れば、今までよりも税金をと取りっぱぐれる事はないと思います」
怖いのは税金を取れない事なので、道路の建設費用の元が取れれば良いのだ。織田信長が近江国(現在の滋賀県)の六角定頼や今川義元の息子の今川 氏真からパク……インスパイアされた楽市・楽座をしようとは思わない。
多くのWEB小説ではこの楽市楽座の手法を用いる事が多いが、欠点として店自体の売上が均一化し、禁制品の類が市に並ぶことになる。城下町や領内の主要都市に商人を集めるための政策であるのだから、税金を下げてやればいい。
もしこれをするのであれば、江戸時代の株仲間のような組合を組織し、一定の権力を与えつつそこから、纏めて税を徴収する仕組みを作る方が効率的で現実的で無理がない。
「それでは、賊の監視と被害を抑える事は出来なくなる……」
収入が少ないのにパウルは、どうやら現代世界で言う【大きな政府】を目指しているようだ。俺個人としては税金の対価が社会サービスなのだから、税を払わずスパイ活動をする旅芸人や商人には、古代ローマ時代のように兎にかく自助! 自助!! 自助!!! とさせればいいのだ。
移動が不安なら傭兵でも冒険者でも雇えばいい。身の丈に合った支出の【小さな政府】の方が、この中世世界の世情には合っているように感じるのは、地理・公民や歴史を学んだ為だろう……
はぁ……少し予算はかかってしまうが、小規模な軍事拠点を作る事で解決するか……
「収支が釣り合いません。村や町の間が一日以上開くようでしたら、その間に軍の駐留所を設けましょう……」
「駐留所だと?」
パウルとてバカではない。言葉の意味が分からない訳ではなくどう言う物か? と聞いているのだ。
「えぇ。徒歩で6時間程度の箇所に、宿場町を造り軍が馬を休ませたりする警邏の拠点とする場所です。商人や旅人が通れば金を落としますから都合は良いと思います。賊も人ですから町で買い物をするでしょうから、【交番】と言う衛兵の駐留所を設け罪人を捕らえたり、巡回する事で犯罪抑止につなげます。
新兵は衛兵をしながら訓練を積めば、兵の損耗を抑える事が出来ると思います。手足を無くしたり怪我をして、前線を引退した兵を再雇用し衛兵の事務仕事をさせれば問題ないかと……もし田舎など何かの理由で宿場町を作る余力がないのなら、一晩明かすあたりに屋敷を立て交代制で兵を駐在させれば問題ないかと思います」
古代オリエントでは、アッシリア帝国とアケメネス朝ペルシア帝国で駅伝制と言う日本で言う駅家……宿場町をより軍事特化にしたものがある。
これは適切な間隔で人・馬・馬車などを常備した施設を置き、施設から施設へと行き来することで逓送し情報を伝え、また使者が旅行する交通・通信の制度を指す。
古代ローマの公道を意味する【クルスス・プブリクス】、イスラム帝国の【バリード】、モンゴル帝国の【ジャムチ】やオスマン帝国、中国、日本などで利用されてきた信頼と実績のある、情報と食料や税金の輸送システムである。
高校時代世界史の教師が、「モンゴル帝国では馬を乗り換えて、広大なユーラシア大陸を高速で横断した」と言っていた事と、アメリカ軍の他国の領土に軍事拠点を作るベースキャンプ方式と、日本の交番(派出所)を合せ、ウチの軍の中継基地を目指した形だ。
128
あなたにおすすめの小説
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界人生を楽しみたい そのためにも赤ん坊から努力する
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は朝霧 雷斗(アサギリ ライト)
前世の記憶を持ったまま僕は別の世界に転生した
生まれてからすぐに両親の持っていた本を読み魔法があることを学ぶ
魔力は筋力と同じ、訓練をすれば上達する
ということで努力していくことにしました
【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。
いな@
ファンタジー
【第一章完結】映画の撮影中に死んだのか、開始五分で処刑されるキャラに転生してしまったけど死にたくなんてないし、原作主人公のメインヒロインになる幼馴染みも可愛いから渡したくないと冤罪を着せられる前に死亡フラグをへし折ることにします。
そこで転生特典スキルの『超越者』のお陰で色んなトラブルと悪名の原因となっていた問題を解決していくことになります。
【第二章】
原作の開始である学園への入学式当日、原作主人公との出会いから始まります。
原作とは違う流れに戸惑いながらも、大切な仲間たち(増えます)と共に沢山の困難に立ち向かい、解決していきます。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした
コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。
クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。
召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。
理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。
ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。
これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。
【村スキル】で始まる異世界ファンタジー 目指せスローライフ!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕の名前は村田 歩(ムラタアユム)
目を覚ますとそこは石畳の町だった
異世界の中世ヨーロッパの街並み
僕はすぐにステータスを確認できるか声を上げた
案の定この世界はステータスのある世界
村スキルというもの以外は平凡なステータス
終わったと思ったら村スキルがスタートする
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる