せっかく異世界転生したのに、子爵家の後継者ってそれはないでしょう!~お飾り大公のせいで領地が大荒れ、北の成り上がり伯爵と東の大公国から狙われ
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
文字の大きさ
大中小
12 / 14
第12話
しおりを挟む
【周辺マップ:https://kakuyomu.jp/users/a2kimasa/news/16818093076248536036】
ニーベル・フロシュ両男爵軍が攻めて来たのは、ニカが陣頭指揮を執るように命じられてから一時間後の事だった。
見張りの兵からの報せを聞き、物見塔から向こう岸を行軍してくるニーベル・フロシュ両男爵軍を眺める。
兵数は凡そ100と言ったところ。
守備兵を残して出陣してきたことが、外様であるニカでも見て取れた。
行軍も早く、バナー子爵本家の継嗣だけあって部隊の装備も整っているように見える。
対するこちらの軍の総数は130に加え堅牢なプロテゴ城がある。負ける要素がない。
ふうっとニカは深い溜息を付いた。
「ニカ様、敵の兵数が少なくありませんか?」
私は従者の言葉で気が付いた。
「万全を持って落すなら、複数の城から兵を出せるハズ……一体何を狙って……」
「――!? メラ男爵やファウンテン神殿などは潜在的な敵勢力……自身の親族と派閥だけでこの城を落城させようと言うの?」
私は思考を巡らせる。
内政に力を注いでいると伝え聞く、傾奇者のアークが正道通り兵数を揃えずたった100人ぽっちで、堅牢なプロテゴ城を攻めるだろうか?
……何か、何か裏があるハズだ。
少数戦力で城を落す場合、何が必要か考える……兵糧攻めや火砲や魔術師などの攻城兵器。
他には……奇襲《・・》。
不意にその単語が脳裏を過った。
件の襲撃事件を起こしたのは、ファウンテン神殿の北方を流れる川付近の森だと聞いている。
その方向に向けてニーベル男爵さまを捉えるため騎兵を出している。
しかし、捜索が難航しているのか報告は未だ来ていない。
まさか……
「直ぐに捜索に出した騎兵を呼び戻しなさい!」
「なぜですか? 敵軍は川向にいる100程度ではありませんか?」
「ニーベル男爵! アークの行栄は未だ掴めていない。これはタイニーバナー男爵に保護され捜索隊が壊滅していると考えた方が良いわ」
「……なるほど……それでは兵を東に裂きますか?」
「私達の勝利とプロテゴ男爵家の勝利はイコールじゃないわ」
「……判りました。私が上手く誘導しておきましょう」
「苦労を掛けるわ」
「それが私の役目ですので……」
………
……
…
駆鳥《カケドリ》に騎乗した騎士が駆けてくる。
「報告します。哨戒中と思われる。プロテゴ男爵の騎兵十騎を討取りました」
「損害は?」
「騎士は軽傷者が三名、落馬した者が一名でその時に駆鳥《カケドリ》一羽の足が骨折、後に介錯。馬十頭の内死亡が二頭、逃亡が二頭、捕獲が六頭で内一頭には駆鳥を失った騎士が騎乗しております」
「奪った馬に乗ったモノは、後方に回せ。馬の采配は、ヴィクトリカ殿にお任せる」
「……アーク様であればご自分で差配できるのでは?」
「俺には兵を指揮できる部下がまだ育っていないのだ。ヴィクトリカ殿の仕事を見させて欲しい」
「判りました。馬は……騎士家の子共にくれてやれ騎兵戦力は有効だからな」
「はっ!」
伝令に来た騎士はそう言うと後方へ駆鳥を走らせた。
「騎兵戦力を増やすと同時に、騎士爵家の子弟の士気を向上させたのですね」
「陣地や陣形や武器によって有利不利は別れますが、最も重要なのは士気……つまりは “やる気” です。如何に精強な兵と言ど不味い飯が続き、酒や女も無い時間が続けばやる気を失うものです」
俺もヴィクトリカの意見に同意する。
少数の兵でも戦場で勝つことが出来る理由の何割かは、やる気によるところが大きいと思っている。
徒歩30分の場所が戦地の程度の小競り合いでは、兵站や補給は軽視できる。
しかし、本来の戦争では補給線こそ最も重要な要素である。
ヴィクトリカは優秀な将だ。だがそれは、原始的な戦闘による個人の武勇で評価されているだけだ。
この地方を治める野望を持った俺には、欲しい人材だ。
しかし、ヴィクトリカは異母弟ロードの家臣、何とかして俺の家臣にしたいものだ。
斥候によると、河川敷の辺りにニーベル、フロシュ、オールド、ベソル男爵軍が隊列を組んでいるとの事だ。
「重畳だな……」
「兄上、父上……バナー子爵とベソル男爵の軍が来ているとは本当ですか?」
「居城があるオールド男爵領の旗があるらしい」
異母弟ロードの質問に答えつつ、思考を巡らせる。
父上が兄弟であるプロテゴ男爵を討つため、即日兵を差し向けるとは考え辛い。
恐らくは爺の差し金だろう。
「それではこの戦の勝敗は決したようなものですね!」
と笑みを浮かべる弟に俺は思わず苦笑いを浮かべた。
「それはどうかな?」
………
……
…
【scene:プロテゴ城 side:ニカ・フォン・シンネヴァー】
「タイニーバナー方面に兵を固めるですと?」
家宰であるヒル騎士爵の嗣子マーティンは、小馬鹿にしたような声で、ニカの進言を袖にする。
兵法の何たるかをも判らない木っ端騎士風情が、判ったような口を訊く……
「はい。向こう岸に陣取っている四男爵の軍はブラフ。本命はタイニーバナー男爵軍と思われます」
「いいか? プロテゴ城は、細く伸びた台地の先端に位置し背後を川幅150mの小川に預けたこの城は、ケイプヒル伯爵との小競り合いでは前線だったんだぞ!」
「存じております……」
「ならば判っているだろう? ニーベル城のような進攻のための拠点ではく、プロテゴ城は防衛の拠点。目的からして違うんだよ」
確かにプロテゴ城は堅牢だ。
しかしそれは、川の反対側に対してそれも十分に兵を割いていることを前提としたものだ。
「では、我が家の騎士と兵30をタイニーバナー城方面に割くことをお許し願いたい」
「……フン! 勝手にしろ城主さまにはお前が仕事を投げ出したと伝えるからな!!」
そう言うと肩を怒らせて小ヒル騎士爵は部屋を後にした。
「……全く、小ヒル騎士爵にも困ったものだ」
従者しかいなくなった部屋でポツリと独り言を呟いた。
これが聡明なホーン騎士爵が家宰なら……もしも、を考えても意味がない。
今回の戦いは元をただせば、ホーン騎士爵の嫉妬に原因がある。
元来、『プロテゴの両腕』と讃えられていたホーン騎士爵家と、ヒル騎士爵家だがヒル騎士爵の倅……つまり、さきほどのボンクラの小ヒル騎士爵こと、マーティンの並びなき出世によって両家の力の均衡が崩れ功を焦り、バナー子爵本家嗣子の家庭教師を暗殺すると言う手段を取った。
つまりお優しく決断力に乏しいプロテゴ男爵の招いた結果と言える。
バナー子爵に日和見ながら味方する我が家として決断が出来た。
「これで踏ん切りがついたのでは?」
「ええ、ツーグ様には悪いけど私達はこの戦から早々に抜け出させて貰うわ」
「しかし、騎士として一戦も交えないと言う訳には行きますまい」
「全く面倒だわ……武器を取れ! これより戦を始める!」
ニカの双眸は怪しく輝いた。
ニーベル・フロシュ両男爵軍が攻めて来たのは、ニカが陣頭指揮を執るように命じられてから一時間後の事だった。
見張りの兵からの報せを聞き、物見塔から向こう岸を行軍してくるニーベル・フロシュ両男爵軍を眺める。
兵数は凡そ100と言ったところ。
守備兵を残して出陣してきたことが、外様であるニカでも見て取れた。
行軍も早く、バナー子爵本家の継嗣だけあって部隊の装備も整っているように見える。
対するこちらの軍の総数は130に加え堅牢なプロテゴ城がある。負ける要素がない。
ふうっとニカは深い溜息を付いた。
「ニカ様、敵の兵数が少なくありませんか?」
私は従者の言葉で気が付いた。
「万全を持って落すなら、複数の城から兵を出せるハズ……一体何を狙って……」
「――!? メラ男爵やファウンテン神殿などは潜在的な敵勢力……自身の親族と派閥だけでこの城を落城させようと言うの?」
私は思考を巡らせる。
内政に力を注いでいると伝え聞く、傾奇者のアークが正道通り兵数を揃えずたった100人ぽっちで、堅牢なプロテゴ城を攻めるだろうか?
……何か、何か裏があるハズだ。
少数戦力で城を落す場合、何が必要か考える……兵糧攻めや火砲や魔術師などの攻城兵器。
他には……奇襲《・・》。
不意にその単語が脳裏を過った。
件の襲撃事件を起こしたのは、ファウンテン神殿の北方を流れる川付近の森だと聞いている。
その方向に向けてニーベル男爵さまを捉えるため騎兵を出している。
しかし、捜索が難航しているのか報告は未だ来ていない。
まさか……
「直ぐに捜索に出した騎兵を呼び戻しなさい!」
「なぜですか? 敵軍は川向にいる100程度ではありませんか?」
「ニーベル男爵! アークの行栄は未だ掴めていない。これはタイニーバナー男爵に保護され捜索隊が壊滅していると考えた方が良いわ」
「……なるほど……それでは兵を東に裂きますか?」
「私達の勝利とプロテゴ男爵家の勝利はイコールじゃないわ」
「……判りました。私が上手く誘導しておきましょう」
「苦労を掛けるわ」
「それが私の役目ですので……」
………
……
…
駆鳥《カケドリ》に騎乗した騎士が駆けてくる。
「報告します。哨戒中と思われる。プロテゴ男爵の騎兵十騎を討取りました」
「損害は?」
「騎士は軽傷者が三名、落馬した者が一名でその時に駆鳥《カケドリ》一羽の足が骨折、後に介錯。馬十頭の内死亡が二頭、逃亡が二頭、捕獲が六頭で内一頭には駆鳥を失った騎士が騎乗しております」
「奪った馬に乗ったモノは、後方に回せ。馬の采配は、ヴィクトリカ殿にお任せる」
「……アーク様であればご自分で差配できるのでは?」
「俺には兵を指揮できる部下がまだ育っていないのだ。ヴィクトリカ殿の仕事を見させて欲しい」
「判りました。馬は……騎士家の子共にくれてやれ騎兵戦力は有効だからな」
「はっ!」
伝令に来た騎士はそう言うと後方へ駆鳥を走らせた。
「騎兵戦力を増やすと同時に、騎士爵家の子弟の士気を向上させたのですね」
「陣地や陣形や武器によって有利不利は別れますが、最も重要なのは士気……つまりは “やる気” です。如何に精強な兵と言ど不味い飯が続き、酒や女も無い時間が続けばやる気を失うものです」
俺もヴィクトリカの意見に同意する。
少数の兵でも戦場で勝つことが出来る理由の何割かは、やる気によるところが大きいと思っている。
徒歩30分の場所が戦地の程度の小競り合いでは、兵站や補給は軽視できる。
しかし、本来の戦争では補給線こそ最も重要な要素である。
ヴィクトリカは優秀な将だ。だがそれは、原始的な戦闘による個人の武勇で評価されているだけだ。
この地方を治める野望を持った俺には、欲しい人材だ。
しかし、ヴィクトリカは異母弟ロードの家臣、何とかして俺の家臣にしたいものだ。
斥候によると、河川敷の辺りにニーベル、フロシュ、オールド、ベソル男爵軍が隊列を組んでいるとの事だ。
「重畳だな……」
「兄上、父上……バナー子爵とベソル男爵の軍が来ているとは本当ですか?」
「居城があるオールド男爵領の旗があるらしい」
異母弟ロードの質問に答えつつ、思考を巡らせる。
父上が兄弟であるプロテゴ男爵を討つため、即日兵を差し向けるとは考え辛い。
恐らくは爺の差し金だろう。
「それではこの戦の勝敗は決したようなものですね!」
と笑みを浮かべる弟に俺は思わず苦笑いを浮かべた。
「それはどうかな?」
………
……
…
【scene:プロテゴ城 side:ニカ・フォン・シンネヴァー】
「タイニーバナー方面に兵を固めるですと?」
家宰であるヒル騎士爵の嗣子マーティンは、小馬鹿にしたような声で、ニカの進言を袖にする。
兵法の何たるかをも判らない木っ端騎士風情が、判ったような口を訊く……
「はい。向こう岸に陣取っている四男爵の軍はブラフ。本命はタイニーバナー男爵軍と思われます」
「いいか? プロテゴ城は、細く伸びた台地の先端に位置し背後を川幅150mの小川に預けたこの城は、ケイプヒル伯爵との小競り合いでは前線だったんだぞ!」
「存じております……」
「ならば判っているだろう? ニーベル城のような進攻のための拠点ではく、プロテゴ城は防衛の拠点。目的からして違うんだよ」
確かにプロテゴ城は堅牢だ。
しかしそれは、川の反対側に対してそれも十分に兵を割いていることを前提としたものだ。
「では、我が家の騎士と兵30をタイニーバナー城方面に割くことをお許し願いたい」
「……フン! 勝手にしろ城主さまにはお前が仕事を投げ出したと伝えるからな!!」
そう言うと肩を怒らせて小ヒル騎士爵は部屋を後にした。
「……全く、小ヒル騎士爵にも困ったものだ」
従者しかいなくなった部屋でポツリと独り言を呟いた。
これが聡明なホーン騎士爵が家宰なら……もしも、を考えても意味がない。
今回の戦いは元をただせば、ホーン騎士爵の嫉妬に原因がある。
元来、『プロテゴの両腕』と讃えられていたホーン騎士爵家と、ヒル騎士爵家だがヒル騎士爵の倅……つまり、さきほどのボンクラの小ヒル騎士爵こと、マーティンの並びなき出世によって両家の力の均衡が崩れ功を焦り、バナー子爵本家嗣子の家庭教師を暗殺すると言う手段を取った。
つまりお優しく決断力に乏しいプロテゴ男爵の招いた結果と言える。
バナー子爵に日和見ながら味方する我が家として決断が出来た。
「これで踏ん切りがついたのでは?」
「ええ、ツーグ様には悪いけど私達はこの戦から早々に抜け出させて貰うわ」
「しかし、騎士として一戦も交えないと言う訳には行きますまい」
「全く面倒だわ……武器を取れ! これより戦を始める!」
ニカの双眸は怪しく輝いた。
32
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
魔法が使えない落ちこぼれ貴族の三男は、天才錬金術師のたまごでした
茜カナコ
ファンタジー
魔法使いよりも錬金術士の方が少ない世界。
貴族は生まれつき魔力を持っていることが多いが錬金術を使えるものは、ほとんどいない。
母も魔力が弱く、父から「できそこないの妻」と馬鹿にされ、こき使われている。
バレット男爵家の三男として生まれた僕は、魔力がなく、家でおちこぼれとしてぞんざいに扱われている。
しかし、僕には錬金術の才能があることに気づき、この家を出ると決めた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる