47 / 150
第47話:旅の仲間たち
東方への遠征が決まった以上、やるべきことは山積みだ。 ギルドへの長期休暇申請、屋敷の管理手配、そして旅の物資の調達。 俺とリリは、手分けして準備を進めていた。
その一環として、俺は裏路地にある『ヴォルグ魔導鍛冶工房』を訪れていた。 留守の間、発注していた家事道具のメンテナンスや、屋敷の防衛システムの維持を頼むつもりだったのだが。
「ああん? 東方だぁ?」
煤けた作業着姿のヴォルグが、ゴーグルをずらして俺を睨みつけた。 その目が、ギラリと怪しく光る。
「おいジン。東方ってのは、あの『ヤマト』がある東方のことか?」
「ああ、そうだ。そこへ行く用事ができてな」
「……マジか」
ヴォルグは手元のハンマーを放り投げ、俺の肩をガシッと掴んだ。 熱い。そして力が強い。
「連れてけ」
「は?」
「俺も行く。いや、連れてけ。置いてったら呪ってやる」
ヴォルグの目から、狂気じみた情熱が噴き出している。
「東方にはな、伝説の金属『ヒヒイロカネ』が眠ってるって噂があるんだよ! ミスリルよりも軽く、オリハルコンよりも硬く、魔力を通せば赤く輝く夢の金属だ! 鍛冶師として、死ぬまでに一度はお目にかかりてぇと思ってたんだ!」
唾を飛ばして熱弁するヴォルグ。 なるほど。職人の探究心というやつか。 確かに、長旅になる以上、装備のメンテナンスができる鍛冶師が同行してくれるのは心強い。それに、現地の未知の素材を加工できる腕利きがいれば、戦力強化にも繋がる。
「……わかった。だが、足手まといになるなら置いていくぞ」
「ケッ、誰に口きいてやがる。俺の作った『自走式・多目的・殲滅馬車』があれば、荒野だろうが海の上だろうが快適な旅を約束してやるよ!」
何か不穏な単語が混じっていた気がするが、移動手段の確保はありがたい。 俺はヴォルグの同行を許可した。
◇
屋敷に戻ると、今度は庭で素振りをしていたグレンが待ち構えていた。 アルスとの戦いで負った傷は、あの異常なタフネスですっかり塞がっている。
「よう旦那。リリの嬢ちゃんから聞いたぜ。東へ行くんだって?」
「ああ。お前には留守番を頼むつもりだ。屋敷の警備は重要だからな」
俺がそう言うと、グレンは露骨に嫌そうな顔をした。
「えー、やだね。俺も行く」
「即答かよ。契約はどうした」
「契約内容は『ジンの護衛』だろ? 旦那が遠くに行くなら、ついていくのが筋ってもんだ」
グレンはヴォルグに修理させたばかりの大剣を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
「それによう、東方って言やぁ、『サムライ』とか『ニンジャ』とかいう手練れがいるんだろ? この辺の盗賊共じゃ、もう準備運動にもなりゃしねえ。俺はもっと、ヒリつくような戦いがしてぇんだよ」
戦闘狂(バトルジャンキー)の血が騒いでいるらしい。 まあ、こいつの戦闘力と耐久力は折り紙付きだ。未知の土地で何が起こるかわからない以上、最強のタンクがいるのは安心材料ではある。食費が嵩むのが難点だが。
「……はぁ。好きにしろ。ただし、飯代は自分の働きで稼げよ」
「っしゃあ! 流石旦那、話がわかる!」
グレンがガッツポーズをする。 これで、前衛(グレン)、中衛(リリ)、後衛(俺)、そして後方支援(ヴォルグ)というパーティ構成が出来上がった。 バランスは悪くない。性格のバランスは崩壊しているが。
「ジン様、お帰りなさいませ」
屋敷の中から、旅装束に着替えたリリが出てきた。 荷物の整理を終えたらしい。 その肩には、当然のように白い毛玉――ラクが乗っている。
「みゅう!(じゅんびかんりょう!)」
ラクが俺を見て、ビシッと敬礼した。 こいつに関しては、置いていくという選択肢すらない。リリと離れれば、リリの不運制御に支障が出るし、何よりリリが泣く。
「……結局、全員で行くことになったか」
俺は苦笑し、集まった面々を見渡した。 最強の暗殺者。 変人の爆弾魔(鍛冶師)。 脳筋の傭兵。 謎の白い毛玉。 そして、性格の悪い軍師。
まともな奴が一人もいない。 だが、このメンバーなら、どんな理不尽な運命が待ち受けていようと、笑って踏み潰していけそうな気がした。
「よし。出発は明日だ。今日は英気を養うぞ」
「はいっ! 最後の晩餐……いえ、壮行会ですね! 張り切ってご馳走を作ります!」
リリが嬉しそうにキッチンへと走っていく。 ラクも「みゅー!」とその後を追う。 グレンとヴォルグは「酒だ酒!」「俺の新作爆弾を見せてやる!」と盛り上がっている。
騒がしい夜になりそうだ。 俺は夜空を見上げた。 東の空に輝く星が、俺たちを呼んでいるように見えた。
その一環として、俺は裏路地にある『ヴォルグ魔導鍛冶工房』を訪れていた。 留守の間、発注していた家事道具のメンテナンスや、屋敷の防衛システムの維持を頼むつもりだったのだが。
「ああん? 東方だぁ?」
煤けた作業着姿のヴォルグが、ゴーグルをずらして俺を睨みつけた。 その目が、ギラリと怪しく光る。
「おいジン。東方ってのは、あの『ヤマト』がある東方のことか?」
「ああ、そうだ。そこへ行く用事ができてな」
「……マジか」
ヴォルグは手元のハンマーを放り投げ、俺の肩をガシッと掴んだ。 熱い。そして力が強い。
「連れてけ」
「は?」
「俺も行く。いや、連れてけ。置いてったら呪ってやる」
ヴォルグの目から、狂気じみた情熱が噴き出している。
「東方にはな、伝説の金属『ヒヒイロカネ』が眠ってるって噂があるんだよ! ミスリルよりも軽く、オリハルコンよりも硬く、魔力を通せば赤く輝く夢の金属だ! 鍛冶師として、死ぬまでに一度はお目にかかりてぇと思ってたんだ!」
唾を飛ばして熱弁するヴォルグ。 なるほど。職人の探究心というやつか。 確かに、長旅になる以上、装備のメンテナンスができる鍛冶師が同行してくれるのは心強い。それに、現地の未知の素材を加工できる腕利きがいれば、戦力強化にも繋がる。
「……わかった。だが、足手まといになるなら置いていくぞ」
「ケッ、誰に口きいてやがる。俺の作った『自走式・多目的・殲滅馬車』があれば、荒野だろうが海の上だろうが快適な旅を約束してやるよ!」
何か不穏な単語が混じっていた気がするが、移動手段の確保はありがたい。 俺はヴォルグの同行を許可した。
◇
屋敷に戻ると、今度は庭で素振りをしていたグレンが待ち構えていた。 アルスとの戦いで負った傷は、あの異常なタフネスですっかり塞がっている。
「よう旦那。リリの嬢ちゃんから聞いたぜ。東へ行くんだって?」
「ああ。お前には留守番を頼むつもりだ。屋敷の警備は重要だからな」
俺がそう言うと、グレンは露骨に嫌そうな顔をした。
「えー、やだね。俺も行く」
「即答かよ。契約はどうした」
「契約内容は『ジンの護衛』だろ? 旦那が遠くに行くなら、ついていくのが筋ってもんだ」
グレンはヴォルグに修理させたばかりの大剣を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。
「それによう、東方って言やぁ、『サムライ』とか『ニンジャ』とかいう手練れがいるんだろ? この辺の盗賊共じゃ、もう準備運動にもなりゃしねえ。俺はもっと、ヒリつくような戦いがしてぇんだよ」
戦闘狂(バトルジャンキー)の血が騒いでいるらしい。 まあ、こいつの戦闘力と耐久力は折り紙付きだ。未知の土地で何が起こるかわからない以上、最強のタンクがいるのは安心材料ではある。食費が嵩むのが難点だが。
「……はぁ。好きにしろ。ただし、飯代は自分の働きで稼げよ」
「っしゃあ! 流石旦那、話がわかる!」
グレンがガッツポーズをする。 これで、前衛(グレン)、中衛(リリ)、後衛(俺)、そして後方支援(ヴォルグ)というパーティ構成が出来上がった。 バランスは悪くない。性格のバランスは崩壊しているが。
「ジン様、お帰りなさいませ」
屋敷の中から、旅装束に着替えたリリが出てきた。 荷物の整理を終えたらしい。 その肩には、当然のように白い毛玉――ラクが乗っている。
「みゅう!(じゅんびかんりょう!)」
ラクが俺を見て、ビシッと敬礼した。 こいつに関しては、置いていくという選択肢すらない。リリと離れれば、リリの不運制御に支障が出るし、何よりリリが泣く。
「……結局、全員で行くことになったか」
俺は苦笑し、集まった面々を見渡した。 最強の暗殺者。 変人の爆弾魔(鍛冶師)。 脳筋の傭兵。 謎の白い毛玉。 そして、性格の悪い軍師。
まともな奴が一人もいない。 だが、このメンバーなら、どんな理不尽な運命が待ち受けていようと、笑って踏み潰していけそうな気がした。
「よし。出発は明日だ。今日は英気を養うぞ」
「はいっ! 最後の晩餐……いえ、壮行会ですね! 張り切ってご馳走を作ります!」
リリが嬉しそうにキッチンへと走っていく。 ラクも「みゅー!」とその後を追う。 グレンとヴォルグは「酒だ酒!」「俺の新作爆弾を見せてやる!」と盛り上がっている。
騒がしい夜になりそうだ。 俺は夜空を見上げた。 東の空に輝く星が、俺たちを呼んでいるように見えた。
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
追放即死と思ったら転生して最強薬師、元家族に天罰を
タマ マコト
ファンタジー
名門薬師一族に生まれたエリシアは、才能なしと蔑まれ、家名を守るために追放される。
だがそれは建前で、彼女の異質な才能を恐れた家族による処刑だった。
雨の夜、毒を盛られ十七歳で命を落とした彼女は、同じ世界の片隅で赤子として転生する。
血の繋がらない治療師たちに拾われ、前世の記憶と復讐心を胸に抱いたまま、
“最強薬師”としての二度目の人生が静かに始まる。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります
しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。
納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。
ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。
そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。
竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。