歩く災害と呼ばれた【薄幸の美少女】を救ったら、俺にしか懐かない最強の守護者になった件。~運を下げるスキルで追放されたけど、彼女と一緒なら無敵

ジョウジ

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第47話:旅の仲間たち

 東方への遠征が決まった以上、やるべきことは山積みだ。 ギルドへの長期休暇申請、屋敷の管理手配、そして旅の物資の調達。 俺とリリは、手分けして準備を進めていた。

 その一環として、俺は裏路地にある『ヴォルグ魔導鍛冶工房』を訪れていた。 留守の間、発注していた家事道具のメンテナンスや、屋敷の防衛システムの維持を頼むつもりだったのだが。

「ああん? 東方だぁ?」

 煤けた作業着姿のヴォルグが、ゴーグルをずらして俺を睨みつけた。 その目が、ギラリと怪しく光る。

「おいジン。東方ってのは、あの『ヤマト』がある東方のことか?」 

「ああ、そうだ。そこへ行く用事ができてな」 

「……マジか」

 ヴォルグは手元のハンマーを放り投げ、俺の肩をガシッと掴んだ。 熱い。そして力が強い。

「連れてけ」 

「は?」 

「俺も行く。いや、連れてけ。置いてったら呪ってやる」

 ヴォルグの目から、狂気じみた情熱が噴き出している。

「東方にはな、伝説の金属『ヒヒイロカネ』が眠ってるって噂があるんだよ! ミスリルよりも軽く、オリハルコンよりも硬く、魔力を通せば赤く輝く夢の金属だ! 鍛冶師として、死ぬまでに一度はお目にかかりてぇと思ってたんだ!」

 唾を飛ばして熱弁するヴォルグ。 なるほど。職人の探究心というやつか。 確かに、長旅になる以上、装備のメンテナンスができる鍛冶師が同行してくれるのは心強い。それに、現地の未知の素材を加工できる腕利きがいれば、戦力強化にも繋がる。

「……わかった。だが、足手まといになるなら置いていくぞ」 

「ケッ、誰に口きいてやがる。俺の作った『自走式・多目的・殲滅馬車』があれば、荒野だろうが海の上だろうが快適な旅を約束してやるよ!」

 何か不穏な単語が混じっていた気がするが、移動手段の確保はありがたい。 俺はヴォルグの同行を許可した。

        ◇

 屋敷に戻ると、今度は庭で素振りをしていたグレンが待ち構えていた。 アルスとの戦いで負った傷は、あの異常なタフネスですっかり塞がっている。

「よう旦那。リリの嬢ちゃんから聞いたぜ。東へ行くんだって?」 

「ああ。お前には留守番を頼むつもりだ。屋敷の警備は重要だからな」

 俺がそう言うと、グレンは露骨に嫌そうな顔をした。

「えー、やだね。俺も行く」 

「即答かよ。契約はどうした」 

「契約内容は『ジンの護衛』だろ? 旦那が遠くに行くなら、ついていくのが筋ってもんだ」

 グレンはヴォルグに修理させたばかりの大剣を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。

「それによう、東方って言やぁ、『サムライ』とか『ニンジャ』とかいう手練れがいるんだろ? この辺の盗賊共じゃ、もう準備運動にもなりゃしねえ。俺はもっと、ヒリつくような戦いがしてぇんだよ」

 戦闘狂(バトルジャンキー)の血が騒いでいるらしい。 まあ、こいつの戦闘力と耐久力は折り紙付きだ。未知の土地で何が起こるかわからない以上、最強のタンクがいるのは安心材料ではある。食費が嵩むのが難点だが。

「……はぁ。好きにしろ。ただし、飯代は自分の働きで稼げよ」 

「っしゃあ! 流石旦那、話がわかる!」

 グレンがガッツポーズをする。 これで、前衛(グレン)、中衛(リリ)、後衛(俺)、そして後方支援(ヴォルグ)というパーティ構成が出来上がった。 バランスは悪くない。性格のバランスは崩壊しているが。

「ジン様、お帰りなさいませ」

 屋敷の中から、旅装束に着替えたリリが出てきた。 荷物の整理を終えたらしい。 その肩には、当然のように白い毛玉――ラクが乗っている。

「みゅう!(じゅんびかんりょう!)」

 ラクが俺を見て、ビシッと敬礼した。 こいつに関しては、置いていくという選択肢すらない。リリと離れれば、リリの不運制御に支障が出るし、何よりリリが泣く。

「……結局、全員で行くことになったか」

 俺は苦笑し、集まった面々を見渡した。 最強の暗殺者。 変人の爆弾魔(鍛冶師)。 脳筋の傭兵。 謎の白い毛玉。 そして、性格の悪い軍師。

 まともな奴が一人もいない。 だが、このメンバーなら、どんな理不尽な運命が待ち受けていようと、笑って踏み潰していけそうな気がした。

「よし。出発は明日だ。今日は英気を養うぞ」 

「はいっ! 最後の晩餐……いえ、壮行会ですね! 張り切ってご馳走を作ります!」

 リリが嬉しそうにキッチンへと走っていく。 ラクも「みゅー!」とその後を追う。 グレンとヴォルグは「酒だ酒!」「俺の新作爆弾を見せてやる!」と盛り上がっている。

 騒がしい夜になりそうだ。 俺は夜空を見上げた。 東の空に輝く星が、俺たちを呼んでいるように見えた。
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