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第79話:第一の天の楔:火山の洞窟
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ジャックから提供された裏ルートを通り、俺たちは『灼熱の洞窟』の深部へと侵入していた。 そこは文字通り、地獄の釜のような場所だった。
ゴオォォォォ……ッ!
眼下には煮えたぎるマグマの海。 吹き上げる熱風は、呼吸をするだけで肺を焼きそうだ。 本来なら生身の人間が立ち入る場所ではない。
だが、俺たちは平然と歩いていた。 ……いや、「平然」というのは語弊があるかもしれない。精神的にはかなりキツい。 なぜなら――
「暑くはないが……この格好はなんとかならんのか」
グレンが情けない声を上げる。 俺たちが着ているのは、ヴォルグが徹夜で開発した『全環境対応型・耐熱防護服』だ。 機能は完璧だ。数千度の熱波を遮断し、毒ガスも中和してくれる。 問題は、その見た目だ。
全身を覆う銀色のピチピチした素材。 頭には金魚鉢のような球体のヘルメット。 そして背中には、冷却用の魔石が埋め込まれた箱型のタンク。 どう見ても、三流劇団の道化師か、深海の奇妙な魚人のようだ。
「ヒャハハハ! 機能美だ! 文句があるなら裸で泳げ!」
先頭を行くヴォルグだけが、このダサいスーツを誇らしげに着こなしている。
「うぅ……恥ずかしいですぅ……」
「拙者、この姿で敵に会ったら切腹しかねんぞ……」
ティアとカエデが顔を赤くして縮こまっている。 リリだけは、「ジン様とお揃いです!」と嬉しそうにしているが、その美的感覚は少し心配になる。
「無駄口を叩くな。そろそろ最深部だ」
俺はモノクルの解析モードを切り替えた。 熱源反応の向こう側に、異質な魔力反応がある。 天の楔だ。
「見えたぞ。あれだ」
広大な空洞の中央。 マグマの海から突き出した孤島の上に、それはあった。 高さ十メートルほどの、純白の柱。 周囲の溶岩の赤とは対照的な、無機質で神聖な輝きを放っている。 あれが、天理が地上を管理するために打ち込んだ楔の一つ。
「へっ、あんな棒切れ一本で世界を縛ってんのかよ。生意気な!」
グレンが大剣『真・岩砕き』を構え、孤島へと続く細い石橋を渡ろうとする。 その時だった。
「あ、あのっ! 私が浄化魔法で結界を弱めます!」
ティアが名誉挽回とばかりに前に出た。 だが、その足元には「偶然」浮き上がっていた石畳の突起があった。
「あっ」
ティアの足が引っかかる。 彼女の体はバランスを崩し、石橋から投げ出された。 下は煮えたぎるマグマの海だ。
「きゃあああああっ!?」
「ティア!」
俺たちが手を伸ばすが、間に合わない。 ティアの体が重力に従って落下していく。 このままでは、耐熱スーツごと溶解して消滅だ。
「みゅッ!!」
その時、白い閃光が走った。 ラクだ。 ラクは俺の肩から飛び出すと、空中で体をゴムのように伸ばした。 ビヨーンと伸びた白い毛玉が、落下するティアの足首に巻き付く。
「みゅ~~~~ッ!(ふんぬっ!)」
ラクは石橋の欄干に尻尾(?)を絡ませ、必死に踏ん張った。 バンジージャンプのように空中で停止するティア。 彼女の顔の数センチ下には、マグマが跳ねていた。
「ひぃぃぃっ! あ、熱いぃぃ!」
「引き上げろ!」
グレンが慌ててラクの体を掴み、怪力で引き戻す。 なんとか石橋の上に生還したティアは、腰を抜かしてガタガタと震えていた。
「し、死ぬかと……死ぬかと思いましたぁ……」
「お前な、大人しくしてろと言っただろ!」
俺は怒鳴りつけたが、心臓はまだ早鐘を打っていた。 本当に、こいつの『確率乱高下』は心臓に悪い。 ラクがいなければ即死だった。
「みゅヘン!(かしがないとだめだな!)」
ラクがティアの頭をペシペシと叩く。 ティアは「うぅ、ラク様ぁ……」と平伏している。
「……気を取り直すぞ。ヴォルグ、やれ」
「おうよ! 特製爆弾のプレゼントだ!」
ヴォルグが楔の根元に魔導爆弾を設置する。 俺たちは安全圏まで退避した。
「起爆!」
ドゴォォォォォンッ!!!!!
洞窟全体を揺るがす爆発音。 純白の柱が根元からへし折れ、マグマの海へと崩れ落ちていく。 その瞬間、周囲の空間に漂っていた「監視されているような圧迫感」が、フッと消滅した。
「……やったか」
俺はモノクルで確認した。 このエリアを支配していた天理の干渉波が消失している。 第一の楔、破壊完了だ。
「へっ、ざまぁみろだぜ!」
「まずは一歩、ですね」
グレンとリリが笑みを浮かべる。 だが、俺は気を緩めなかった。 楔を破壊したということは、管理者側にこちらの位置と意図が完全に露見したということだ。
「長居は無用だ。次が来るぞ」
俺たちは崩れゆく洞窟を後にし、次なる目的地へと急いだ。 世界中に打ち込まれた楔は、まだ残っている。 俺たちの反逆は、始まったばかりだ。
ゴオォォォォ……ッ!
眼下には煮えたぎるマグマの海。 吹き上げる熱風は、呼吸をするだけで肺を焼きそうだ。 本来なら生身の人間が立ち入る場所ではない。
だが、俺たちは平然と歩いていた。 ……いや、「平然」というのは語弊があるかもしれない。精神的にはかなりキツい。 なぜなら――
「暑くはないが……この格好はなんとかならんのか」
グレンが情けない声を上げる。 俺たちが着ているのは、ヴォルグが徹夜で開発した『全環境対応型・耐熱防護服』だ。 機能は完璧だ。数千度の熱波を遮断し、毒ガスも中和してくれる。 問題は、その見た目だ。
全身を覆う銀色のピチピチした素材。 頭には金魚鉢のような球体のヘルメット。 そして背中には、冷却用の魔石が埋め込まれた箱型のタンク。 どう見ても、三流劇団の道化師か、深海の奇妙な魚人のようだ。
「ヒャハハハ! 機能美だ! 文句があるなら裸で泳げ!」
先頭を行くヴォルグだけが、このダサいスーツを誇らしげに着こなしている。
「うぅ……恥ずかしいですぅ……」
「拙者、この姿で敵に会ったら切腹しかねんぞ……」
ティアとカエデが顔を赤くして縮こまっている。 リリだけは、「ジン様とお揃いです!」と嬉しそうにしているが、その美的感覚は少し心配になる。
「無駄口を叩くな。そろそろ最深部だ」
俺はモノクルの解析モードを切り替えた。 熱源反応の向こう側に、異質な魔力反応がある。 天の楔だ。
「見えたぞ。あれだ」
広大な空洞の中央。 マグマの海から突き出した孤島の上に、それはあった。 高さ十メートルほどの、純白の柱。 周囲の溶岩の赤とは対照的な、無機質で神聖な輝きを放っている。 あれが、天理が地上を管理するために打ち込んだ楔の一つ。
「へっ、あんな棒切れ一本で世界を縛ってんのかよ。生意気な!」
グレンが大剣『真・岩砕き』を構え、孤島へと続く細い石橋を渡ろうとする。 その時だった。
「あ、あのっ! 私が浄化魔法で結界を弱めます!」
ティアが名誉挽回とばかりに前に出た。 だが、その足元には「偶然」浮き上がっていた石畳の突起があった。
「あっ」
ティアの足が引っかかる。 彼女の体はバランスを崩し、石橋から投げ出された。 下は煮えたぎるマグマの海だ。
「きゃあああああっ!?」
「ティア!」
俺たちが手を伸ばすが、間に合わない。 ティアの体が重力に従って落下していく。 このままでは、耐熱スーツごと溶解して消滅だ。
「みゅッ!!」
その時、白い閃光が走った。 ラクだ。 ラクは俺の肩から飛び出すと、空中で体をゴムのように伸ばした。 ビヨーンと伸びた白い毛玉が、落下するティアの足首に巻き付く。
「みゅ~~~~ッ!(ふんぬっ!)」
ラクは石橋の欄干に尻尾(?)を絡ませ、必死に踏ん張った。 バンジージャンプのように空中で停止するティア。 彼女の顔の数センチ下には、マグマが跳ねていた。
「ひぃぃぃっ! あ、熱いぃぃ!」
「引き上げろ!」
グレンが慌ててラクの体を掴み、怪力で引き戻す。 なんとか石橋の上に生還したティアは、腰を抜かしてガタガタと震えていた。
「し、死ぬかと……死ぬかと思いましたぁ……」
「お前な、大人しくしてろと言っただろ!」
俺は怒鳴りつけたが、心臓はまだ早鐘を打っていた。 本当に、こいつの『確率乱高下』は心臓に悪い。 ラクがいなければ即死だった。
「みゅヘン!(かしがないとだめだな!)」
ラクがティアの頭をペシペシと叩く。 ティアは「うぅ、ラク様ぁ……」と平伏している。
「……気を取り直すぞ。ヴォルグ、やれ」
「おうよ! 特製爆弾のプレゼントだ!」
ヴォルグが楔の根元に魔導爆弾を設置する。 俺たちは安全圏まで退避した。
「起爆!」
ドゴォォォォォンッ!!!!!
洞窟全体を揺るがす爆発音。 純白の柱が根元からへし折れ、マグマの海へと崩れ落ちていく。 その瞬間、周囲の空間に漂っていた「監視されているような圧迫感」が、フッと消滅した。
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俺はモノクルで確認した。 このエリアを支配していた天理の干渉波が消失している。 第一の楔、破壊完了だ。
「へっ、ざまぁみろだぜ!」
「まずは一歩、ですね」
グレンとリリが笑みを浮かべる。 だが、俺は気を緩めなかった。 楔を破壊したということは、管理者側にこちらの位置と意図が完全に露見したということだ。
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