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第92話:オールスター集結
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上空ではリエルの飛行戦艦が派手に暴れ回っているが、地上の状況が好転したわけではなかった。 王都の中央広場。 地下遺跡への入り口があるその場所は、無数の天使たちによって埋め尽くされていた。
「……ちっ、空に気を取られて手薄になってると思ったが、甘かったか」
俺たちは路地裏に身を潜め、広場を埋め尽くす白銀の軍勢を睨みつけた。 空中の部隊がリエルに引きつけられているとはいえ、地上部隊だけで百体はいる。 真正面から突っ込めば、地下への扉にたどり着く前に消耗戦ですり潰されるだろう。
「どうしますか、ジン様。私が囮になって引きつけましょうか?」
リリが短剣を抜き、悲壮な決意を口にする。
「却下だ。お前は『鍵』だ。ここで消耗させるわけにはいかない」
俺は首を振った。 グレンやカエデを使っても、この数を相手にするには時間が足りない。 その間に天理が新たな手を打ってくる可能性もある。
万事休すか。 そう思いかけた、その時だった。
ドォォォォォンッ!!
広場の反対側で、爆発音が轟いた。 天使たちの注意がそちらへ向く。
「なんだ? リエルの誤射か?」
いや、違う。 爆煙の中から現れたのは、武装した一団だった。 先頭に立つのは、凛とした制服に身を包み、巨大な魔導ライフルを構えた女性――。
「総員、射撃開始! 天使どもの注意をこちらへ引きつけなさい!」
ミライだ。 ギルド支部長代理(実質トップ)である彼女が、ギルドの精鋭職員や、王都に残っていた腕利きの冒険者たちを率いて現れたのだ。
「うおおおお! 支部長の命令だ! 撃ちまくれぇ!」
「俺たちの街を勝手に封鎖しやがって! 天罰なんか怖かねぇぞ!」
冒険者たちが一斉に魔法や矢を放つ。 個々の力は天使に及ばないかもしれないが、その数と気迫は圧倒的だ。 統率の取れた波状攻撃が、天使の陣形を崩していく。
「ミライ……!」
俺が驚いていると、ミライがこちらに気づき、ウィンクを飛ばしてきた。
「遅くなりました、ジン様! 上空のリエル様から中継が入りました! ここは私たちが食い止めます! その隙に地下へ!」
彼女は通信機(俺たちが使っているのと同じヴォルグ製)のマイクに向かって叫んだ。
「ありがとう、ミライ。恩に着る!」
「お礼は全てが終わった後に! ……高いですよ?」
頼もしい限りだ。 だが、まだ足りない。 広場の中央、地下への入り口を守るように立ちはだかる、一際巨大な上位天使(アークエンジェル)クラスの個体が動かない。 奴を排除しなければ、先へは進めない。
『排除スル』
上位天使が戦斧を振り上げ、ミライたちの方へ向き直る。 その一撃が放たれれば、冒険者部隊は半壊する。
「させねぇよッ!!」
その時。 横合いから、金色の閃光が走った。
ガギィィィンッ!!!
甲高い金属音と共に、上位天使の戦斧が弾き返された。 巨大な天使の前に割り込み、大剣一本でその攻撃を受け止めた男。 ボロボロの鎧。無精髭。 だが、その背中から放たれる闘気は、かつて「剣聖」と呼ばれた頃の輝きを取り戻していた。
「……ガイル?」
俺は目を疑った。 そこにいたのは、かつて俺を追放した勇者パーティの一員、ガイルだった。 アルスが没落した後、消息不明になっていたはずの男だ。
「よう、ジン。……久しぶりだな」
ガイルは振り返らず、天使と鍔迫り合いをしながら声を張り上げた。
「随分と待たせちまったな! 俺も混ぜてくれよ!」
「……何のつもりだ。お前はアルスと一緒に……」
「ああ。俺は馬鹿だったよ。アルスの言いなりになって、一番大事な仲間を追い出しちまった」
ガイルが大剣に力を込める。 筋肉が膨張し、天使を押し返していく。
「アルスがおかしくなっていくのを見て、怖くなったんだ。逃げ出した俺は、ずっと路地裏で震えてた。……だがよ、お前らが世界を相手に戦ってるのを見たら、じっとしてられなくなったんだよ!」
彼はニッと笑い、剣を構え直した。
「罪滅ぼしなんて言わねえ。ただ、俺は俺の意志で、ここを守る! ……行けよジン! 今度こそ、お前の信じる道を行ってくれ!」
「ガイル……」
俺は短く息を吐き、口元を緩めた。
「ああ。任せたぞ、元同僚」
俺はリリの手を引き、駆け出した。 ガイルが切り開いた道を、ミライたちが確保した血路を、全力で疾走する。
「オラァッ! 剣聖ガイル様のお通りだぁッ!」
背後でガイルの咆哮と、天使の装甲が砕ける音が響く。 かつての因縁も、わだかまりも、この戦場においては関係ない。 今はただ、同じ目的のために背中を預け合う「共犯者」だ。
「行きますよ、ジン様!」
「ああ!」
俺たちは地下遺跡への入り口に飛び込んだ。 背後の光が遠ざかり、闇が俺たちを飲み込む。 だが、怖くはなかった。 地上には、俺たちを信じて戦ってくれる仲間たちがいる。 その想いを背負って、俺たちは最後の楔へと走った。
「……ちっ、空に気を取られて手薄になってると思ったが、甘かったか」
俺たちは路地裏に身を潜め、広場を埋め尽くす白銀の軍勢を睨みつけた。 空中の部隊がリエルに引きつけられているとはいえ、地上部隊だけで百体はいる。 真正面から突っ込めば、地下への扉にたどり着く前に消耗戦ですり潰されるだろう。
「どうしますか、ジン様。私が囮になって引きつけましょうか?」
リリが短剣を抜き、悲壮な決意を口にする。
「却下だ。お前は『鍵』だ。ここで消耗させるわけにはいかない」
俺は首を振った。 グレンやカエデを使っても、この数を相手にするには時間が足りない。 その間に天理が新たな手を打ってくる可能性もある。
万事休すか。 そう思いかけた、その時だった。
ドォォォォォンッ!!
広場の反対側で、爆発音が轟いた。 天使たちの注意がそちらへ向く。
「なんだ? リエルの誤射か?」
いや、違う。 爆煙の中から現れたのは、武装した一団だった。 先頭に立つのは、凛とした制服に身を包み、巨大な魔導ライフルを構えた女性――。
「総員、射撃開始! 天使どもの注意をこちらへ引きつけなさい!」
ミライだ。 ギルド支部長代理(実質トップ)である彼女が、ギルドの精鋭職員や、王都に残っていた腕利きの冒険者たちを率いて現れたのだ。
「うおおおお! 支部長の命令だ! 撃ちまくれぇ!」
「俺たちの街を勝手に封鎖しやがって! 天罰なんか怖かねぇぞ!」
冒険者たちが一斉に魔法や矢を放つ。 個々の力は天使に及ばないかもしれないが、その数と気迫は圧倒的だ。 統率の取れた波状攻撃が、天使の陣形を崩していく。
「ミライ……!」
俺が驚いていると、ミライがこちらに気づき、ウィンクを飛ばしてきた。
「遅くなりました、ジン様! 上空のリエル様から中継が入りました! ここは私たちが食い止めます! その隙に地下へ!」
彼女は通信機(俺たちが使っているのと同じヴォルグ製)のマイクに向かって叫んだ。
「ありがとう、ミライ。恩に着る!」
「お礼は全てが終わった後に! ……高いですよ?」
頼もしい限りだ。 だが、まだ足りない。 広場の中央、地下への入り口を守るように立ちはだかる、一際巨大な上位天使(アークエンジェル)クラスの個体が動かない。 奴を排除しなければ、先へは進めない。
『排除スル』
上位天使が戦斧を振り上げ、ミライたちの方へ向き直る。 その一撃が放たれれば、冒険者部隊は半壊する。
「させねぇよッ!!」
その時。 横合いから、金色の閃光が走った。
ガギィィィンッ!!!
甲高い金属音と共に、上位天使の戦斧が弾き返された。 巨大な天使の前に割り込み、大剣一本でその攻撃を受け止めた男。 ボロボロの鎧。無精髭。 だが、その背中から放たれる闘気は、かつて「剣聖」と呼ばれた頃の輝きを取り戻していた。
「……ガイル?」
俺は目を疑った。 そこにいたのは、かつて俺を追放した勇者パーティの一員、ガイルだった。 アルスが没落した後、消息不明になっていたはずの男だ。
「よう、ジン。……久しぶりだな」
ガイルは振り返らず、天使と鍔迫り合いをしながら声を張り上げた。
「随分と待たせちまったな! 俺も混ぜてくれよ!」
「……何のつもりだ。お前はアルスと一緒に……」
「ああ。俺は馬鹿だったよ。アルスの言いなりになって、一番大事な仲間を追い出しちまった」
ガイルが大剣に力を込める。 筋肉が膨張し、天使を押し返していく。
「アルスがおかしくなっていくのを見て、怖くなったんだ。逃げ出した俺は、ずっと路地裏で震えてた。……だがよ、お前らが世界を相手に戦ってるのを見たら、じっとしてられなくなったんだよ!」
彼はニッと笑い、剣を構え直した。
「罪滅ぼしなんて言わねえ。ただ、俺は俺の意志で、ここを守る! ……行けよジン! 今度こそ、お前の信じる道を行ってくれ!」
「ガイル……」
俺は短く息を吐き、口元を緩めた。
「ああ。任せたぞ、元同僚」
俺はリリの手を引き、駆け出した。 ガイルが切り開いた道を、ミライたちが確保した血路を、全力で疾走する。
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背後でガイルの咆哮と、天使の装甲が砕ける音が響く。 かつての因縁も、わだかまりも、この戦場においては関係ない。 今はただ、同じ目的のために背中を預け合う「共犯者」だ。
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