歩く災害と呼ばれた【薄幸の美少女】を救ったら、俺にしか懐かない最強の守護者になった件。~運を下げるスキルで追放されたけど、彼女と一緒なら無敵

ジョウジ

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第101話:天空城の防衛戦

 黄金の船首が城壁を突き破り、俺たちは『天空城』の内部――広大な「前庭」のような空間へと不時着した。 舞い上がる粉塵。崩落する瓦礫。 だが、感傷に浸る暇など一秒もなかった。

『侵入者を確認。迎撃システム、フル稼働』

 無機質なアナウンスが響き渡るのと同時に、空間が殺意で埋め尽くされた。

 ヒュン、ヒュン、ヒュンッ!!

 城の至る所に設置された砲台から、無数の光弾が発射される。 さらに、空間転移によって現れた天使の軍団が、俺たちを取り囲むように展開した。 数は千を超えているだろう。 ここが敵の本丸であることを、嫌というほど思い知らされる物量だ。

「おいおい、いきなり歓迎会かよ!」 

 グレンが大剣を構え、降り注ぐ光弾を弾き飛ばす。

「馬車(ふね)が持たねえぞ! 装甲が蒸発しちまう!」 

 ヴォルグが叫ぶ。 『クイーン・リエル号』は既に半壊状態だ。これ以上の集中砲火を受ければ、俺たちごと爆散しかねない。

「リエル、シールドは!?」 

「展開してるわよ! でも出力が足りない……ッ、きゃあ!」

 リエルが悲鳴を上げる。 至近弾の衝撃で船体が大きく揺れ、彼女がよろめいた。 俺たちの周囲360度、全方位からの十字砲火。 逃げ場はない。

「くっ……!」

 俺は腕の中の黒い繭――ラクとリリを抱きしめ、背を向けた。 俺の【確率操作】で直撃コースの弾道は逸らせる。だが、この密度では「流れ弾」だけで致死量だ。 リリを失うわけにはいかない。 だが、このままではジリ貧だ。

(何か手は……)

 その時だった。 俺の腕の中で、黒い繭がドクンと脈打った。

「……ラク?」

 繭の表面に走る赤黒い光の脈動が、急速に強まっていく。 中から、力強い意志が伝わってくる。 『守る』という、ただ一つの純粋な願い。

「みゅーーーーーーーーーーーーーーッ!!!」

 繭の中から、咆哮のような鳴き声が響いた。 直後、繭から漆黒の波動が爆発的に広がった。

 ブォンッ!!

 それは半球状のドームとなり、俺たちだけでなく、巨大なリエル号をも丸ごと包み込んだ。 迫りくる無数の光弾が、黒いドームに触れた瞬間、ジュッという音を立てて消失していく。

「な、なんだこれは……!?」 

 カエデが目を丸くする。

 これは、ただの防御結界ではない。 ラクの特性――「不運(負のエネルギー)の吸収と変換」。 敵の攻撃という「害意(不運)」を片っ端から喰らい尽くし、無害なエネルギーへと変換しているのだ。

「すげぇ……! 全部防いでやがる!」 

「みゅ、みゅぅ……!」

 俺の腕の中で、繭が小刻みに震えている。 リリの崩壊を抑え込みながら、同時に外部からの攻撃も防いでいるのだ。負担は計り知れないはずだ。 それでも、ラクは守りを解かない。 大好きなリリと、仲間たちを守るために。

「……よくやった、ラク」

 俺は繭を撫でた。 これで、即座に全滅するという最悪のシナリオは回避された。 足場はできた。

「反撃だ! この結界の中から撃ち返せ!」

 俺が叫ぶと、仲間たちが一斉に動き出した。

「おうよ! やられっぱなしは性に合わねえ!」 

 グレンが『ギガント・ハンマー』の魔力を臨界まで充填し、結界の外へ飛び出して天使を殴り飛ばす。

「私の船を傷つけた罪、高くつくわよ!」 

 リエルが生き残っていた魔導砲を操作し、敵の砲台を狙い撃つ。

「援護します! 『ホーリー・レイ(極太ビーム版)』!」 

 ティアの魔法が(バグって)極太レーザーとなり、敵陣を薙ぎ払う。

 黒い結界を拠点(ベース)にした、攻防一体の陣形。 敵の攻撃はラクが無効化し、こちらの攻撃だけが一方的に通る。 理不尽な数の暴力を、理不尽な個の力で押し返す。

『脅威度判定、エラー。戦力差の逆転を確認』

 天使たちの動きが鈍る。 天理の計算が狂い始めている。

「行くぞ。目指すは最上階、『裁定者の間』だ」

 俺は繭を抱え直し、城の深奥へと続く回廊を見据えた。 ここから先は、未知の領域。 だが、俺たちの歩みはもう止まらない。
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