歩く災害と呼ばれた【薄幸の美少女】を救ったら、俺にしか懐かない最強の守護者になった件。~運を下げるスキルで追放されたけど、彼女と一緒なら無敵

ジョウジ

文字の大きさ
120 / 150

第120話:天理の崩壊

 ヒヒイロカネの双剣が、神の核(コア)を貫通した。 金属音はしなかった。 代わりに、世界中の鎖が弾け飛ぶような、澄んだ音が響き渡った。

『……あ……』

 デウスの動きが止まる。 城と一体化していた黒い泥が、灰となって崩れ落ちていく。 暴走していた魔力が霧散し、空間の歪みが正されていく。

 リリが剣を引き抜く。 その刃は、役目を終えたかのように粒子となって消滅した。 同時に、デウスの核に亀裂が走り、眩い光が溢れ出す。

『……見事だ、人よ』

 光の中から、穏やかな声が響いた。 それは無機質な管理者の声ではなく、どこか憑き物が落ちたような、安らかな響きを持っていた。

『不完全で、愚かで、混沌に満ちた存在。……だが、それ故に、理(わたし)を超えたか』

 デウスの巨体が、光の粒子となってほどけていく。

「ああ。俺たちは不完全だ。だからこそ、互いに補い合い、足掻き、未来を掴み取ろうとする」

 俺はリリの肩を抱き寄せ、消えゆく神を見上げた。

「完璧な筋書きなんて退屈なだけだ。……これからは、俺たちが好き勝手に物語を紡いでいく」

『……よかろう。貴様らの望む「自由」が、どのような結末をもたらすのか。……その答えは、もはや私の知るところではない』

 デウスが微かに笑った気がした。

『行け。……新しき時代の、幕開けだ』

 その言葉を最後に、デウスは完全に消滅した。 光の粒子が天へと昇り、雲を散らし、青空が広がる。

 ズズズズズ……ッ。

 直後、足元が大きく揺らいだ。 神という支柱を失った天空城が、浮力を失い始めたのだ。 管理システムが停止し、世界中に張り巡らされていた天理の干渉が消えていく。

「……終わった、のか?」

 グレンが座り込みながら空を見上げる。 カエデが刀を納め、深く息を吐く。 ティアとヴォルグ、リエルも、崩れゆく城壁の向こうに広がる青空を呆然と見つめていた。

「はい。……終わりました」

 リリが俺を見上げ、涙ぐんだ笑顔で答える。 その体はもう透けていない。 天理が消えたことで、「器」としての役割からも解放され、一人の人間として此処に存在している。

「勝ったんだな、俺たちは」

 俺はリリを抱きしめた。 確かな体温。鼓動。 全てが、ここにある。

 だが、感傷に浸っている時間はなかった。

 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!!!

 天空城が傾き、落下速度を上げ始めたのだ。 制御を失った巨大な質量と、内部で暴走を始めた膨大な魔力エネルギー。それが地上へ激突すれば、隕石衝突に匹敵する衝撃波が大陸全土を焼き尽くすだろう。

「おいおいおい! これヤバくねえか!?」 

 ヴォルグが叫ぶ。 

「落ちる! 落ちますぅぅぅ!」 

 ティアがパニックになる。

 リエルの船は大破し、脱出ポッドもない。 俺たちは勝利と引き換えに、空の孤島に取り残されていた。

「……最後まで退屈させないな」

 俺は苦笑し、眼下に広がる大地を見た。 このまま落ちれば、俺たちはもちろん、地上で待つ仲間たちも消滅する。 自分たちだけ逃げようにも足がないし、逃げたところで帰る場所がなくなる。

「ヴォルグ! 城の動力炉にアクセスして、残存エネルギーを逆噴射させろ! 落下の衝撃を殺すんだ!」

 俺は叫んだ。

「無茶言うな! 制御系は死んでるぞ!」 

「死んでるなら叩き起こせ! リエル、お前の強運で落下ポイントを海へずらせ! 陸地に落ちたら全滅だ!」

 俺は矢継ぎ早に指示を飛ばす。

「わ、わかったわよ! 最後の最後まで人使いが荒いんだから!」 

「へっ、やるしかねえか! 任せろ大将!」

 仲間たちが動き出す。 誰もが疲弊しきっているが、その目に絶望はない。 神すら倒した俺たちなら、これくらいなんとかなるという、根拠のない自信に満ちている。

「総員、この超特大の爆弾(天空城)を解体しながら帰還するぞ! 地上で祝杯をあげるために!」

 俺の号令に、全員が力強く応えた。 崩壊する天空城からの、最後の大脱出劇(兼・世界救済ミッション)が始まる。
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

追放即死と思ったら転生して最強薬師、元家族に天罰を

タマ マコト
ファンタジー
名門薬師一族に生まれたエリシアは、才能なしと蔑まれ、家名を守るために追放される。 だがそれは建前で、彼女の異質な才能を恐れた家族による処刑だった。 雨の夜、毒を盛られ十七歳で命を落とした彼女は、同じ世界の片隅で赤子として転生する。 血の繋がらない治療師たちに拾われ、前世の記憶と復讐心を胸に抱いたまま、 “最強薬師”としての二度目の人生が静かに始まる。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜

サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」 孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。 淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。 だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。 1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。 スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。 それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。 それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。 増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。 一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。 冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。 これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。

【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜

あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」 貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。 しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった! 失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する! 辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。 これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~

きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。 洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。 レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。 しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。 スキルを手にしてから早5年――。 「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」 突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。 森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。 それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。 「どうせならこの森で1番派手にしようか――」 そこから更に8年――。 18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。 「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」 最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。 そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。