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第一章 初心者の躍動
第五十九話 晩飯と報告(後編)
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そして渚達は食事を始めてから50分程経つと、3人とも綺麗に食べ切って食器も片付けて食休みしていた。
「ふぅ~久々に手の込んだ物作ったわ…」
渚が疲れたようにソファーに座ってそう言った。
その渚の話を聞いて夏帆は少し不思議そうに聞いた。
「あれって、そんなに手が込んでるの?」
「あ?あぁ…そうだな。まず天ぷらに使った野菜と魚だな。野菜はそれぞれ食べられない所切ったり・洗ったりしたし。魚も小型の味を開きにして、油が跳ねすぎないように水分をとったりした。糠漬けは、糠からかなり前から作っておいたもので、みそ汁はカツオ節で出汁を取ったものだし、炊き込みご飯は言わずもがなってな」
「うわぁ…聞いてるだけでめんどくさそう……」
「本当だな。俺には何を言ってるのかもよく分からんかった…」
渚の説明を聞いた夏帆はその内容に絶対にやりたくないと言ったように渋い顔になっていた。その横で一緒に話を聞いていた夏輝は、普段料理しないためか理解すらできていないようだった。
そんな二人の反応に渚は少し困ったように苦笑いを浮かべていた。
「まぁそんな事よりも、俺はさっさと向こう言って鍛冶やりたいからお先に~!」
渚はそう言うと立ち上がって自分の部屋に行こうとした。
しかしそれを見た夏輝と夏帆は食事の前に話していた事を思い出したようで、はっ!とした様子で慌てて渚を止めた。
「ちょっと待って!兄さん‼」
「あん?なんだよ。俺、結構忙しいんだけど…」
いきなり止められた渚はめんどくさそうに顔をしかめていた。
その渚の様子に夏輝と夏帆は一瞬怯えたようにビクッ!と体を震わせたが、何とか正気に戻るとゆっくりと話し始めた。
「あ、えっと…今兄さん1人になってるじゃん?だから一応誘ったの俺等だし、どうしているのか確認しておこうかな~?って…」
「そうそう!ついでに、私達がどうしているのかも話そうかな?って‼」
夏輝と夏帆の2人は冷や汗を流しながらも何とかそう言った。
そして渚はそんな2人の反応に疑ったように目を細めて観察していたが、すぐに諦めたように小さく溜息を吐き出した。
「はぁ……まぁいいか、でも俺は特に話す事とかないぞ?」
渚のその言葉に夏輝と夏帆は安心したように小さく息を吐き出して、少し呆れたように苦笑いを浮かべていた。
「ははは…兄さんはそうかもしれないけど、俺達的には兄さんがどうしているのか気になるし」
「そうそう!いっしょに行動している訳じゃ無いんだし、少しは意見交換しないと‼」
あまり乗り気ではない渚に2人は元気よく楽しそうにそう言った。
その2人の勢いに渚は少し押されるようにのけ反っていた。
「あ、あぁ…わかった。わかったから、とりあえず落ち着け」
「「あ、ごめんなさい」」
渚が引き気味に言うと夏輝と夏帆の2人は素直に謝って座り直した。
「それで、話すと言っても何を話せばいいんだ?」
2人が座ったのを確認した渚はすぐに根本的な質問をした。
その質問の内容に夏輝と夏帆は一瞬考えて、ゆっくりと答える。
「そうだな…とりあえず、俺達は今は北の草原で狩りをしてレベル上げ中だ」
「そうだね!前に兄さんと言ったのは東だったからね。最初は大変だったけど、今ならもう少し楽に行けるくらいにはなってるよ‼」
「あぁ…そう言えば、東はそこそこのレベルだって言ってたな。それで確か…北が初心者向け?だったかな…」
夏輝と夏帆の話を聞いた渚は、少し前にガラハット達から聞いた話を思い出しながらそう言った。
その渚の話した内容に夏輝と夏帆の2人は、まさか渚が知っているとは思っていなかったようで少し驚いた様子だった。
「え、兄さん何でその事知ってるの?」
「うんうん!私達だって知ったのは、兄さんと別れた後だったのに…」
「?そうだったのか、ってきっり知っていて黙っていたのかと…。そう言う事だったらお仕置きは無しにしよう。それと何で知ってたのかだけど、冒険者ギルドで他の住人の冒険者に聞いただけだけど?」
「「は?」」
渚は特に気にした様子も無く、さも当たり前のように答えた。
しかしその話した内容に夏輝と夏帆の2人は今度こそ本当に固まってしまった。
だがすぐに立ち直ると、小声で話し合っていた。
(おい、早速なんかやらかしてるみたいなんだけど…)
(う、うん、とりあえず、もう少し詳しく話聞いてみようよ?少しはまともかも…)
(そうだよな。正直、これ以上聞くの怖いけど…知っといた方がいいよな…)
短くすぐに話し合いを切り上げた2人は、すぐに渚の方を向いて何事も無かったかのように話し出す。
「えっと、一応聞くんだけど、他にはどんなことを教えてもらった?」
「うん?あぁ……確か、門の方角によって強さが異なる事と、東門のから出た場所の昼と夜のモンスターの名前と注意点。他には…あっ!なんかギルド連合?とか言う協定組織みたいなのがあるらしい事とか、そんなの教えてもらったな‼」
「そ、そうなんだ…」
「し、親切な人で良かったね?」
「おう‼そうだな。かなり丁寧に教えてもらったし、今度なにかお礼でも持って行った方がいいか?」
渚は微妙な二人の反応を特に気にした様子も無く、親切に教えてもらったガラハット達へのお礼について考え始めた。
そんな渚を横目に夏輝と夏帆は、もう一度小声で焦ったように話し合っていた。
(おいぃぃっ!なんか、よく知らない情報まで教えてもらってるだけど?なんだよギルド連合って⁉)
(お、落ち着いて夏輝!と、とりあえず、その事については兄さんに聞けば教えてくれるよ!…たぶん)
テンパって大声を出しそうになった夏輝に、夏帆は慌てて落ち着かせるようにゆっくりと話した。
その話を聞いて少しは落ち着きを取り戻したのか夏輝はゆっくりと息を吐き出した。
(ふぅ……そうだよな。聞けばいいだけだよな…)
(そうそう!そうすればいいだけだよっ‼)
夏帆が励ますように話すと夏輝は何かを決意したような表情で元気よく話し出した。
「それで兄さん!そのギルド連合?ってどういう組織なんだ?」
「うん?あぁ…確か、冒険者・商人・生産の三つのギルドからなる協力体制の事みたいだな。それが出来た原因は、数年前にあった災害?みたいなものが起こった時に、ギルドの連携がうまく出来なくて被害が出たからできた…だったはず!」
夏輝の質問に渚は細かいところまでは憶えていなかったようで、何とか思い出しながらそう答えた。
その渚の話を聞いた夏輝と夏帆は思いのほか簡単に教えてもらえたことに、少し気の抜けた様子でお互いに小さく笑い合っていた。
「そう言う事だったんだな。でも、よくNPCに質問するなんて思いついたな…」
「うんうん!私達は全然してなかったよ?」
夏輝と夏帆が感心したように笑顔で頷きながら話すと、その2人の反応が意外だったのか少し驚いた様子だった。
「え、そうだったのか?俺はてっきりお前達は知っていて隠してると思ってたわ……」
「そうだよ?だって態々聞かなくても、クエスト受けてれば必要な情報は教えてもらえるしね‼」
「俺達はそんな感じで、ギルドでランクに合ったクエストを受けてやってるんだよ。というか、それが一般的なやり方だな」
「マジか…俺って、一般的じゃなかったのか…」
2人の説明を聞いた渚は何故か一般的と言うところに異様に落ち込んでいた。
そんな渚の反応に夏輝と夏帆は疲れたように苦笑いしていた。
だが夏輝と夏帆の2人は、すぐに何処か慣れた様子でゆっくりと話し出した。
「まぁ、それは何時もの事だし、気にしなくていいとしてさ?その話を聞いた後、兄さんは何してただ?」
「そうだよ兄さん!今さら気にするだけ無駄なんだからさ‼」
そんな夏輝と夏帆の遠慮の欠片もないもの言いに渚は少し恨めしそうに睨みつけた。
「お前ら……人が気にしていることを、そんなズケズケと遠慮なく…」
「「だって、もう分かりっ来てた事じゃん?」」
「くっ‼」
しかし夏輝と夏帆の双子の息があった反論に、渚は言い返すことが出来ずに悔しそうに顔をしかめた。
だが渚もどこか慣れているようで、すぐに落ち着きを取り戻すと疲れたように息を吐き出した。
「はぁ~~…もういいや。それよりも説明を聞いた後にどうしてたのか?だったよな?」
「うん、聞いた内容的に外に出ていた事は分かるんだけどな」
「どこで、何をやっていたのか。それが気になってるの!」
「あぁ~そう言う事か!と言っても、別に変った事はしてないぞ?」
「「うん!兄さんのそれは信じてない!とにかく説明‼」」
「そうですか…俺の変な事してない発言は信用ないですか…」
夏輝と夏帆の2人に否定された渚は落ち込んだように少し俯いてしまった。
だがその渚の姿にも2人は特に気にした様子はなかった。
それからすぐに渚は正気に戻ったようで、何処か吹っ切れたようにスッキリした表情で話し出す。
「よ~し‼もういい、気にしてもお前らがやめる気がない事だ・け・は・っ!よく分かったからな」
渚が少し怒ったように力強くそう言うと、夏輝と夏帆は気まずそうに顔を逸らした。
そんな2人の反応に渚は満足そうに大きく頷くとゆっくり話し始めた。
「さて、それじゃぁさっきの話の続き?だが、説明を聞いた後は前と同じ東の草原と森にいたな」
夏輝と夏帆の2人が立ち直るのを待たずに渚は説明を始め。
その説明を聞いた2人は正気に戻ったようで、少し呆けたようにゆっくりと話し出した。
「え?さっきの説明聞いて、その上で初心者向けの北じゃなくて、東に行ったの?」
「おう!しかもさっきログインしただが、時間がちょうど夜でさ?一応出て来るモンスターは聞いてたけど、昼間と全然違う奴らでてきてビックリしたな‼後、数も無駄に多かったな~正直少し疲れた…」
夏輝の漏らした質問に渚は特に気にした様子も無く、むしろ何処か誇らしげに笑顔で答えた。
そんな渚の答えに今度こそ夏輝と夏帆の2人は完全に固まっていた。
しかしそんな2人の様子に気が付かずに渚は、何か思い出したのか説明を続けていた。
「あぁ~そう言えば、森を探索?している時に三人組もプレイヤーに襲われたんだよな。もちろん返り討ちにしてやったけどな‼」
渚は心底楽しそうにいい笑顔で自慢げにそう言った。
もう渚の説明に夏輝と夏帆はろくに反応を示す事なく固まってしまっていた。
そこまでになってようやく二人の様子がおかしい事に気が付いた渚は、少し不思議そうに首を傾げていた。
「?お~い!いきてるか~?」
「「・・・・・・」」
「返事がない、まるで屍のようだ…。っと、ふざけて見たけど本当に動かないな?」
その後も少しの間2人で遊んでいた渚だったが、何をやっても考え込んで動かない2人に飽きて来たのか離れた。
「起きそうにないし、先に部屋行くか‼それじゃぁお先に~!」
渚は正気に戻っていない夏輝と夏帆をおいて一人で先に出て行ってしまったのだった。
そして渚が出って行ってから数分後のリビングで…
「「はぁぁぁぁぁあぁぁ⁉」」
という、2人の叫び声が響いたのだった。
しかしそこにはスデイ渚の姿はなく。それに気が付いた2人は慌てて周囲を探すことになった。
だが結局、すぐに自室にいる渚を見つけて力が抜けたのか、2人はその日はそのまま眠ってしまうのだった。
「ふぅ~久々に手の込んだ物作ったわ…」
渚が疲れたようにソファーに座ってそう言った。
その渚の話を聞いて夏帆は少し不思議そうに聞いた。
「あれって、そんなに手が込んでるの?」
「あ?あぁ…そうだな。まず天ぷらに使った野菜と魚だな。野菜はそれぞれ食べられない所切ったり・洗ったりしたし。魚も小型の味を開きにして、油が跳ねすぎないように水分をとったりした。糠漬けは、糠からかなり前から作っておいたもので、みそ汁はカツオ節で出汁を取ったものだし、炊き込みご飯は言わずもがなってな」
「うわぁ…聞いてるだけでめんどくさそう……」
「本当だな。俺には何を言ってるのかもよく分からんかった…」
渚の説明を聞いた夏帆はその内容に絶対にやりたくないと言ったように渋い顔になっていた。その横で一緒に話を聞いていた夏輝は、普段料理しないためか理解すらできていないようだった。
そんな二人の反応に渚は少し困ったように苦笑いを浮かべていた。
「まぁそんな事よりも、俺はさっさと向こう言って鍛冶やりたいからお先に~!」
渚はそう言うと立ち上がって自分の部屋に行こうとした。
しかしそれを見た夏輝と夏帆は食事の前に話していた事を思い出したようで、はっ!とした様子で慌てて渚を止めた。
「ちょっと待って!兄さん‼」
「あん?なんだよ。俺、結構忙しいんだけど…」
いきなり止められた渚はめんどくさそうに顔をしかめていた。
その渚の様子に夏輝と夏帆は一瞬怯えたようにビクッ!と体を震わせたが、何とか正気に戻るとゆっくりと話し始めた。
「あ、えっと…今兄さん1人になってるじゃん?だから一応誘ったの俺等だし、どうしているのか確認しておこうかな~?って…」
「そうそう!ついでに、私達がどうしているのかも話そうかな?って‼」
夏輝と夏帆の2人は冷や汗を流しながらも何とかそう言った。
そして渚はそんな2人の反応に疑ったように目を細めて観察していたが、すぐに諦めたように小さく溜息を吐き出した。
「はぁ……まぁいいか、でも俺は特に話す事とかないぞ?」
渚のその言葉に夏輝と夏帆は安心したように小さく息を吐き出して、少し呆れたように苦笑いを浮かべていた。
「ははは…兄さんはそうかもしれないけど、俺達的には兄さんがどうしているのか気になるし」
「そうそう!いっしょに行動している訳じゃ無いんだし、少しは意見交換しないと‼」
あまり乗り気ではない渚に2人は元気よく楽しそうにそう言った。
その2人の勢いに渚は少し押されるようにのけ反っていた。
「あ、あぁ…わかった。わかったから、とりあえず落ち着け」
「「あ、ごめんなさい」」
渚が引き気味に言うと夏輝と夏帆の2人は素直に謝って座り直した。
「それで、話すと言っても何を話せばいいんだ?」
2人が座ったのを確認した渚はすぐに根本的な質問をした。
その質問の内容に夏輝と夏帆は一瞬考えて、ゆっくりと答える。
「そうだな…とりあえず、俺達は今は北の草原で狩りをしてレベル上げ中だ」
「そうだね!前に兄さんと言ったのは東だったからね。最初は大変だったけど、今ならもう少し楽に行けるくらいにはなってるよ‼」
「あぁ…そう言えば、東はそこそこのレベルだって言ってたな。それで確か…北が初心者向け?だったかな…」
夏輝と夏帆の話を聞いた渚は、少し前にガラハット達から聞いた話を思い出しながらそう言った。
その渚の話した内容に夏輝と夏帆の2人は、まさか渚が知っているとは思っていなかったようで少し驚いた様子だった。
「え、兄さん何でその事知ってるの?」
「うんうん!私達だって知ったのは、兄さんと別れた後だったのに…」
「?そうだったのか、ってきっり知っていて黙っていたのかと…。そう言う事だったらお仕置きは無しにしよう。それと何で知ってたのかだけど、冒険者ギルドで他の住人の冒険者に聞いただけだけど?」
「「は?」」
渚は特に気にした様子も無く、さも当たり前のように答えた。
しかしその話した内容に夏輝と夏帆の2人は今度こそ本当に固まってしまった。
だがすぐに立ち直ると、小声で話し合っていた。
(おい、早速なんかやらかしてるみたいなんだけど…)
(う、うん、とりあえず、もう少し詳しく話聞いてみようよ?少しはまともかも…)
(そうだよな。正直、これ以上聞くの怖いけど…知っといた方がいいよな…)
短くすぐに話し合いを切り上げた2人は、すぐに渚の方を向いて何事も無かったかのように話し出す。
「えっと、一応聞くんだけど、他にはどんなことを教えてもらった?」
「うん?あぁ……確か、門の方角によって強さが異なる事と、東門のから出た場所の昼と夜のモンスターの名前と注意点。他には…あっ!なんかギルド連合?とか言う協定組織みたいなのがあるらしい事とか、そんなの教えてもらったな‼」
「そ、そうなんだ…」
「し、親切な人で良かったね?」
「おう‼そうだな。かなり丁寧に教えてもらったし、今度なにかお礼でも持って行った方がいいか?」
渚は微妙な二人の反応を特に気にした様子も無く、親切に教えてもらったガラハット達へのお礼について考え始めた。
そんな渚を横目に夏輝と夏帆は、もう一度小声で焦ったように話し合っていた。
(おいぃぃっ!なんか、よく知らない情報まで教えてもらってるだけど?なんだよギルド連合って⁉)
(お、落ち着いて夏輝!と、とりあえず、その事については兄さんに聞けば教えてくれるよ!…たぶん)
テンパって大声を出しそうになった夏輝に、夏帆は慌てて落ち着かせるようにゆっくりと話した。
その話を聞いて少しは落ち着きを取り戻したのか夏輝はゆっくりと息を吐き出した。
(ふぅ……そうだよな。聞けばいいだけだよな…)
(そうそう!そうすればいいだけだよっ‼)
夏帆が励ますように話すと夏輝は何かを決意したような表情で元気よく話し出した。
「それで兄さん!そのギルド連合?ってどういう組織なんだ?」
「うん?あぁ…確か、冒険者・商人・生産の三つのギルドからなる協力体制の事みたいだな。それが出来た原因は、数年前にあった災害?みたいなものが起こった時に、ギルドの連携がうまく出来なくて被害が出たからできた…だったはず!」
夏輝の質問に渚は細かいところまでは憶えていなかったようで、何とか思い出しながらそう答えた。
その渚の話を聞いた夏輝と夏帆は思いのほか簡単に教えてもらえたことに、少し気の抜けた様子でお互いに小さく笑い合っていた。
「そう言う事だったんだな。でも、よくNPCに質問するなんて思いついたな…」
「うんうん!私達は全然してなかったよ?」
夏輝と夏帆が感心したように笑顔で頷きながら話すと、その2人の反応が意外だったのか少し驚いた様子だった。
「え、そうだったのか?俺はてっきりお前達は知っていて隠してると思ってたわ……」
「そうだよ?だって態々聞かなくても、クエスト受けてれば必要な情報は教えてもらえるしね‼」
「俺達はそんな感じで、ギルドでランクに合ったクエストを受けてやってるんだよ。というか、それが一般的なやり方だな」
「マジか…俺って、一般的じゃなかったのか…」
2人の説明を聞いた渚は何故か一般的と言うところに異様に落ち込んでいた。
そんな渚の反応に夏輝と夏帆は疲れたように苦笑いしていた。
だが夏輝と夏帆の2人は、すぐに何処か慣れた様子でゆっくりと話し出した。
「まぁ、それは何時もの事だし、気にしなくていいとしてさ?その話を聞いた後、兄さんは何してただ?」
「そうだよ兄さん!今さら気にするだけ無駄なんだからさ‼」
そんな夏輝と夏帆の遠慮の欠片もないもの言いに渚は少し恨めしそうに睨みつけた。
「お前ら……人が気にしていることを、そんなズケズケと遠慮なく…」
「「だって、もう分かりっ来てた事じゃん?」」
「くっ‼」
しかし夏輝と夏帆の双子の息があった反論に、渚は言い返すことが出来ずに悔しそうに顔をしかめた。
だが渚もどこか慣れているようで、すぐに落ち着きを取り戻すと疲れたように息を吐き出した。
「はぁ~~…もういいや。それよりも説明を聞いた後にどうしてたのか?だったよな?」
「うん、聞いた内容的に外に出ていた事は分かるんだけどな」
「どこで、何をやっていたのか。それが気になってるの!」
「あぁ~そう言う事か!と言っても、別に変った事はしてないぞ?」
「「うん!兄さんのそれは信じてない!とにかく説明‼」」
「そうですか…俺の変な事してない発言は信用ないですか…」
夏輝と夏帆の2人に否定された渚は落ち込んだように少し俯いてしまった。
だがその渚の姿にも2人は特に気にした様子はなかった。
それからすぐに渚は正気に戻ったようで、何処か吹っ切れたようにスッキリした表情で話し出す。
「よ~し‼もういい、気にしてもお前らがやめる気がない事だ・け・は・っ!よく分かったからな」
渚が少し怒ったように力強くそう言うと、夏輝と夏帆は気まずそうに顔を逸らした。
そんな2人の反応に渚は満足そうに大きく頷くとゆっくり話し始めた。
「さて、それじゃぁさっきの話の続き?だが、説明を聞いた後は前と同じ東の草原と森にいたな」
夏輝と夏帆の2人が立ち直るのを待たずに渚は説明を始め。
その説明を聞いた2人は正気に戻ったようで、少し呆けたようにゆっくりと話し出した。
「え?さっきの説明聞いて、その上で初心者向けの北じゃなくて、東に行ったの?」
「おう!しかもさっきログインしただが、時間がちょうど夜でさ?一応出て来るモンスターは聞いてたけど、昼間と全然違う奴らでてきてビックリしたな‼後、数も無駄に多かったな~正直少し疲れた…」
夏輝の漏らした質問に渚は特に気にした様子も無く、むしろ何処か誇らしげに笑顔で答えた。
そんな渚の答えに今度こそ夏輝と夏帆の2人は完全に固まっていた。
しかしそんな2人の様子に気が付かずに渚は、何か思い出したのか説明を続けていた。
「あぁ~そう言えば、森を探索?している時に三人組もプレイヤーに襲われたんだよな。もちろん返り討ちにしてやったけどな‼」
渚は心底楽しそうにいい笑顔で自慢げにそう言った。
もう渚の説明に夏輝と夏帆はろくに反応を示す事なく固まってしまっていた。
そこまでになってようやく二人の様子がおかしい事に気が付いた渚は、少し不思議そうに首を傾げていた。
「?お~い!いきてるか~?」
「「・・・・・・」」
「返事がない、まるで屍のようだ…。っと、ふざけて見たけど本当に動かないな?」
その後も少しの間2人で遊んでいた渚だったが、何をやっても考え込んで動かない2人に飽きて来たのか離れた。
「起きそうにないし、先に部屋行くか‼それじゃぁお先に~!」
渚は正気に戻っていない夏輝と夏帆をおいて一人で先に出て行ってしまったのだった。
そして渚が出って行ってから数分後のリビングで…
「「はぁぁぁぁぁあぁぁ⁉」」
という、2人の叫び声が響いたのだった。
しかしそこにはスデイ渚の姿はなく。それに気が付いた2人は慌てて周囲を探すことになった。
だが結局、すぐに自室にいる渚を見つけて力が抜けたのか、2人はその日はそのまま眠ってしまうのだった。
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