Silens&Silentia シレンス・シレンティア

宮本葵

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第一章「Silensとの出会い」

ep.5 “非日常と日常”

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 神山優斗、中村玲奈、岩城優依、そして宮本蒼はまだ会議室に残っていた。試験の説明も終わり、驚きもあった他クラスの人もいたが、1-Aのメンバーだけは違った。正確には驚いている。だが、驚きを通り越して、何が何だかわからない。

「蒼、いつまでそうしてんだよ。とっとと戻ろうぜ。あの2人も待ってるだろうし。」
「いや、戻る。戻るけども…。」
「私先帰ってるから。じゃあね。」

 中村さんはすぐ帰ってしまう。あまり接したことはないが、冷たいような、だけど悲しいようなそんな雰囲気のする人だ。

「待ってよ、玲奈。一応顔合わせってことで…。」
「顔ならもう合わせてるじゃない。入学式の時から。私、用事あるので。」

 岩城さんが止めるも、無駄だったのか、帰ってしまった。

「玲奈、帰っちゃったね。まあ、ああ言う子だけどよろしくね。」
「いや、いいですよ、岩城さん。中村さんなりに事情とかありそうだから。」
「なんでそう思うんだ蒼?」
「なんか、執念って言うか悲しみっていうかそういう感じの雰囲気があの人からするんだよね。」
「そうか…」

 二人とも黙ってしまう。話すことが少ないからか。言われたことに衝撃があったのか。中村さんの態度が可笑しかったからか。それはわからない。少し寒くて、冷たい雰囲気がするこの空間に静けさが訪れる。「みんな帰っちゃったし、歩きながら自己紹介ってことにしよ!」という岩城さんの言葉でようやく帰る。

「てか、蒼くんっていつSilensに入隊しろって言われた?」
「今日だけど。」
「「今日!?」」
「うん。まあ、Silens自体は記憶消されたけど入学式の時にすでに出会ってるからね。」
「そうか、ちなみに俺は入学式にだ。」
「私は今月の半ばだったなぁ。」

 人によってはすでに先ほどの事態で銃を取り扱ったらしいが、本来は訓練を受けないといけないらしい。訓練をしないで銃を取り扱ったのはものすごく珍しいのだこと。

「だけど蒼だったら銃の訓練しなくても良さそうだけどな。」
「そう?」
「なんか、お前の銃の打ち方って言うかなんて言うか…。すごかったぞ!」
「へぇ~。私全然当たらなかったんだけど~。」
「まあ、射的とか得意だからかな?」

 僕は射的で狙った物を大体当てることができる。と言っても大きいものは当たっても倒れないので意味がないが。楽しく会話して、外の柵の近くまで来た。草むらに隠れるように、そこに指揮官がいた。

「お前らか。今、この周りで遊んでる馬鹿がいてな…。近づくなと言われてるのに入ろうとしている。」
「こんなことよくあるんですか?」
「あるが、大体柵を超えたあたりで一旦射撃して記憶を消している。」

 記憶が消えない場合は。と聞こうか迷ったが、やめておく。

「お前らは地下から寮へ戻れ。鍵はさっきのカードキーで済む。」
「「「了解」」」

 ~ ~ ~ ~ ~

「それにしても、すごいね。まさか寮への直通通路があったとは。」
「これを悪用して女子の寮へ来ないでよね。」
「そんなこと蒼とか俺がするわけがない。」

 地下通路は人四人が並んで歩けるくらいの幅で、狭くもなく快適に歩ける。ただ、やっぱり寒いが。

「じゃあ、私こっちだから。じゃあね。」

 岩城さんとは女子寮への入口と思われるところで別れ、優斗と二人きりになる。

「ごめんな、黙ってて。」
「別に大丈夫だよ。僕も隠し事なんていっぱいあるし。」

 そう、隠し事なんて色々あるんだ。岩城さんにも、中村さんにも、優斗にも。それに僕にも。別に無理に話す必要もないし、そもそもSilensのことは他の人に話してはいけないだろう。

「ここかな?入口。」
「だな。」

 頑丈そうなドアを開けると、空調設備なのか電気設備なのかわからないが、そういう感じの機械が音を立てて動いている。先ほどのドアは「立入禁止」と書かれている。

「ここは寮の地下一階だ。俺たちの部屋まで戻ろうぜ。」

 僕たちの部屋は五階なので上り下りが大変だ。

「あ、お前ら!どこ行ってたんだ。心配したぞ。」

 和也が珍しく怒っている。前にも怒っていた時があったが、結構仲間思いのやつだ。と言っても本当のことを言うことは許されないことなので、「遅くなってごめん。僕も優斗も無事だよ。」と言う。

「そうか。ならいいや。それよりも…?あれ何があったんだっけ…?」
「何があったって…」

 僕が言おうとしたところを、優斗に口を閉ざされた。

「どうしたんだ、優斗?」
「ちょっと蒼と話したいから外にいるね。」
「…ああ、わかった。」

 優斗に引っ張られ、外に出る。

「蒼は聞かされてなかっただろうが、さっきの事件はなかったことになってる。記憶も蒼みたいなやつ以外は消えてるはず。だから思い出させないためにもそのことは言うなよ。」
「わかった。」

 僕みたいな人があまりいなかったからこそ今までバレてきてないんだ。だからこそ、そんなことはありえないし、本当にみんな、Silensの人たち以外はこの事は忘れている。

「お、戻ってきた。全員集合した事だし、ぼちぼち飯作ろうぜ。」
「うん。今日は油淋鶏とかどう?」
「いいじゃん美味そうだな。」
「片栗粉を隣の部屋の人からお裾分けしてもらおうかな~」

 こんな感じで、僕の日常と非日常の混じった不思議な学校生活が今、本当に始まった。
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