6 / 27
6月1週目「取り替えの始まり」
6月6日「再登場だね。迷惑だなぁ。」
しおりを挟む
今日も雨。予報ではここ1週間はずっと雨らしい。
とすると、今日もまた…
雨音が昇降口前に立っていた。
「あ、湊くん!ちょうどよかった。」
「ちょうどよかったって…何かあったんですか?」
「いや、ちょっとね。登校するときやらかしちゃって…」
と言いながら傘を見せてくる。雨音の傘は半分破れていた。
「何があったらこうなるんですか…?」
俺も流石に引くほど、それは、ボロボロになっていた。
「木に引っかかってしまって、どうにか取ろうと試みたら…。こうなっちゃって…」
なんて不器用なんだ、この人は。
結局今日も相合傘で帰ることになった。そういえば、周りから俺らってどう思われてるんだろ。噂とかになったりしないのかな?
「あ、湊くん。ちょっと、あ!待ってぶつか…」
俺は急に顔面に衝撃がきたことでようやく我に帰った。何にぶつかったのか、下がって見てみる。
まさかの、昨日の顔ぶれだ。
「お、来た来た! 雨音ちゃん、今日もそいつと帰るの?」
「マジで信じらんねー。てか湊、お前調子乗んなよ。そして、当たってくるなよ。わざとかよ。痛えんだよ。あ、お前の思考もたぶん痛いけどなw」
昨日以上に、あからさまな敵意。
俺は言い返す言葉も見つからず、ただ雨音の横に立つしかなかった。昨日の決心なんてどこへ行ってしまったのか。結局陰キャ属性のリーダーと言ってもいいくらいの奴がこんな陽キャのリーダー的なやつと絡んでるのがおかしいんだよな。
「再登場だね。迷惑だなぁ。」
と俺にこそっと言ってから、
「もう、やめてよ」
雨音は苦笑いしながら言い放った
「昨日も言ったけど、誰と帰るかは私の自由でしょ?」
「いやいや! だったら俺らのほうがいいだろ? なぁ雨音ちゃん!」
「そうそう! こんな地味男と歩くよりさ!」
くだらない冗談にしか聞こえないのに、俺の胸には鋭い棘のように刺さる。
雨音は一瞬だけ視線を伏せた後、俺の腕を軽くつついた。
「湊、行こ」
そう言って、雨音は俺の傘にすっと入り込む。え、今なんて?呼び捨て?
あいつらが見えなくなるまでずっと嫌な言葉の混ざった言葉が聞こえてくる。
「……悪いな」
「言ったでしょ。湊くんが悪いんじゃなくて、私が悪いんだから。気にしなくていいよ。あの人たち、前からちょっとしつこいんだ。本当にチクっちゃおうかな。」
笑ってはいるけど、目が少しだけ曇っているのを俺は見逃さなかった。
「いや、何もいえない俺も悪いんだ。そもそも陰キャの俺が雨音みたいな陽キャと吊り合えるわけないし…」
だから、もう今日で終わりにしよう。そう言おうとした時だ。
「そんなことないよ!!」
「え?」
「陰キャと陽キャとか関係ないし。なんでそんなので吊り合うとか決めちゃうの?親衛隊の人もクラスの人だってどうかしてる。あいつ陰キャだから話しかけないでおこうとか、そういうのよくないと思わない?私クラス委員でもあるのに、湊くんみたいな人いっぱいいるのに。何もできなくて。ごめんね。本当にごめん。こんな私でごめんね。あの人たちをどうにかできなくてごめん。クラスをちゃんとまとめられなくてごめん。本当に、本当…に……」
一回も見たことがない雨音が泣いている姿。いつもは強気な雨音が泣いてると言うことは結構やばいってことだ。俺はどうするのが正解なのだろうか?
「雨音、そこまで抱え込むなって。俺だって陰キャだけどさ、ゲームで夜更かししたり、同じ趣味のやつとくだらない話して笑ったり……そういう時間はちゃんと楽しいんだ。陰キャだからって不幸せなわけじゃない。逆に陽キャだって、別に全部が楽しいわけじゃないだろ。周りに気を使ったり、強がったりしてるやつもいる。人間なんて、結局はみんな同じ。ホモ・サピエンスだしな」
俺はちょっと笑いながら続けた。
「だからさ、分ける必要なんてないんだよ。陰キャとか陽キャとか、勝手に線引きして“上”とか“下”とか決めるから苦しくなる。雨音は優しいし、ちゃんとみんなを見てる。それだけで十分すげぇことだと思う。それに、もしクラスでいじめが起きたり差別が広がったりしたら、その時は怒っていい。でも“自分のせい”だなんて思うな。雨音がいるから、あのクラスはちゃんと回ってるんだ。俺、そう思ってる」
言いながら、雨音の涙が止まるのを待った。
「……だからさ。泣くなよ」
ん?なんか雨音の様子がまたおかしくなったような...?
見るとなぜかさっきとまでは違い、少し笑っていた。
「何に笑ってるんだよ、雨音」
「いや、ホモ・サピエンスまでくるのはないでしょ。フフッ。あー、やっぱり湊くんおもしろすぎだわー。」
「泣き止んだと思ったら今度はずっと笑って...。置いて行っちゃいますよ、傘を持って。」
「私傘あるからいいけど、置いていくのはやめてね。私、湊くんと話しながら帰るの好きだし。」
――昨日よりも近い距離で、彼女と歩く。
あの時の背後から聞こえる冷やかしの声が、雨の音で消してくれればよかったのにと思いながら――
とすると、今日もまた…
雨音が昇降口前に立っていた。
「あ、湊くん!ちょうどよかった。」
「ちょうどよかったって…何かあったんですか?」
「いや、ちょっとね。登校するときやらかしちゃって…」
と言いながら傘を見せてくる。雨音の傘は半分破れていた。
「何があったらこうなるんですか…?」
俺も流石に引くほど、それは、ボロボロになっていた。
「木に引っかかってしまって、どうにか取ろうと試みたら…。こうなっちゃって…」
なんて不器用なんだ、この人は。
結局今日も相合傘で帰ることになった。そういえば、周りから俺らってどう思われてるんだろ。噂とかになったりしないのかな?
「あ、湊くん。ちょっと、あ!待ってぶつか…」
俺は急に顔面に衝撃がきたことでようやく我に帰った。何にぶつかったのか、下がって見てみる。
まさかの、昨日の顔ぶれだ。
「お、来た来た! 雨音ちゃん、今日もそいつと帰るの?」
「マジで信じらんねー。てか湊、お前調子乗んなよ。そして、当たってくるなよ。わざとかよ。痛えんだよ。あ、お前の思考もたぶん痛いけどなw」
昨日以上に、あからさまな敵意。
俺は言い返す言葉も見つからず、ただ雨音の横に立つしかなかった。昨日の決心なんてどこへ行ってしまったのか。結局陰キャ属性のリーダーと言ってもいいくらいの奴がこんな陽キャのリーダー的なやつと絡んでるのがおかしいんだよな。
「再登場だね。迷惑だなぁ。」
と俺にこそっと言ってから、
「もう、やめてよ」
雨音は苦笑いしながら言い放った
「昨日も言ったけど、誰と帰るかは私の自由でしょ?」
「いやいや! だったら俺らのほうがいいだろ? なぁ雨音ちゃん!」
「そうそう! こんな地味男と歩くよりさ!」
くだらない冗談にしか聞こえないのに、俺の胸には鋭い棘のように刺さる。
雨音は一瞬だけ視線を伏せた後、俺の腕を軽くつついた。
「湊、行こ」
そう言って、雨音は俺の傘にすっと入り込む。え、今なんて?呼び捨て?
あいつらが見えなくなるまでずっと嫌な言葉の混ざった言葉が聞こえてくる。
「……悪いな」
「言ったでしょ。湊くんが悪いんじゃなくて、私が悪いんだから。気にしなくていいよ。あの人たち、前からちょっとしつこいんだ。本当にチクっちゃおうかな。」
笑ってはいるけど、目が少しだけ曇っているのを俺は見逃さなかった。
「いや、何もいえない俺も悪いんだ。そもそも陰キャの俺が雨音みたいな陽キャと吊り合えるわけないし…」
だから、もう今日で終わりにしよう。そう言おうとした時だ。
「そんなことないよ!!」
「え?」
「陰キャと陽キャとか関係ないし。なんでそんなので吊り合うとか決めちゃうの?親衛隊の人もクラスの人だってどうかしてる。あいつ陰キャだから話しかけないでおこうとか、そういうのよくないと思わない?私クラス委員でもあるのに、湊くんみたいな人いっぱいいるのに。何もできなくて。ごめんね。本当にごめん。こんな私でごめんね。あの人たちをどうにかできなくてごめん。クラスをちゃんとまとめられなくてごめん。本当に、本当…に……」
一回も見たことがない雨音が泣いている姿。いつもは強気な雨音が泣いてると言うことは結構やばいってことだ。俺はどうするのが正解なのだろうか?
「雨音、そこまで抱え込むなって。俺だって陰キャだけどさ、ゲームで夜更かししたり、同じ趣味のやつとくだらない話して笑ったり……そういう時間はちゃんと楽しいんだ。陰キャだからって不幸せなわけじゃない。逆に陽キャだって、別に全部が楽しいわけじゃないだろ。周りに気を使ったり、強がったりしてるやつもいる。人間なんて、結局はみんな同じ。ホモ・サピエンスだしな」
俺はちょっと笑いながら続けた。
「だからさ、分ける必要なんてないんだよ。陰キャとか陽キャとか、勝手に線引きして“上”とか“下”とか決めるから苦しくなる。雨音は優しいし、ちゃんとみんなを見てる。それだけで十分すげぇことだと思う。それに、もしクラスでいじめが起きたり差別が広がったりしたら、その時は怒っていい。でも“自分のせい”だなんて思うな。雨音がいるから、あのクラスはちゃんと回ってるんだ。俺、そう思ってる」
言いながら、雨音の涙が止まるのを待った。
「……だからさ。泣くなよ」
ん?なんか雨音の様子がまたおかしくなったような...?
見るとなぜかさっきとまでは違い、少し笑っていた。
「何に笑ってるんだよ、雨音」
「いや、ホモ・サピエンスまでくるのはないでしょ。フフッ。あー、やっぱり湊くんおもしろすぎだわー。」
「泣き止んだと思ったら今度はずっと笑って...。置いて行っちゃいますよ、傘を持って。」
「私傘あるからいいけど、置いていくのはやめてね。私、湊くんと話しながら帰るの好きだし。」
――昨日よりも近い距離で、彼女と歩く。
あの時の背後から聞こえる冷やかしの声が、雨の音で消してくれればよかったのにと思いながら――
10
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
『専属メイド全員が重すぎる愛で迫ってくる!~大学生の僕、11人?の美女に24時間甘やかされ尽くす生活~』
まさき
青春
僕は、ちょっと普通じゃない日常を送ることになった――それは、専属メイドが全員僕のことを溺愛してくれる暮らしだ。
朝は髪を整えてくれるリナ、朝食で笑顔を見せてくれるミユ、どの瞬間も全力で僕を甘やかす。掃除、料理、悩み相談まで、僕のためだけに動くメイドたち。
「ご主人様の笑顔が見たいんです」
その一言で、僕の毎日はちょっとドキドキ、ちょっと幸せ。
全員が僕を独占したいと競い合う日常の中、僕はどうやってこの溺愛地獄(?)を生き抜けばいいのか――!?
甘々、至れり尽くせりの日常ラブコメ、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる