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終わる世界
警鐘
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泣き声が聞こえる。
真黒の虚空の中で、寂しく響くように。
果ての見えない暗闇の中を寄る辺さえ無いままに、けれど、拙いながらにベソをかきながらも歩き続ける少女の嗚咽が聞こえてきます。
何度も転んで失敗してその度に蹴られ怒られ罵られながら、けれども逃げ出す事も、そもそも行く当ても縋れるものも無い、無力で不自由な少女が小さく蹲って、小さく漏れ出すくらい微かにしか聞こえないよう声を押し殺して泣いているのです。
だから●●●は、その童の元に向かおうとしました。
いつものお仕事のように、『最果て』で死した魂のお客様達に寄り添うように、なぜあの童が泣いているのか話を聞こうと思ったのです。
困っている者、特に泣いている幼子には手を差し伸べるのが多分、いえ、きっと正常な人間が持つ当たり前の情なのだと●●●は信じています。 だって、それこそは正しく、そして良い事なのでしょうから。
……しかし、そうして一歩を踏み出そうとしたその時、誰かに肩を引かれて静止させられました。
『貴女』は、行っては駄目。
『わたし』のためにも、『貴女』のためにも、アレの事は気にしてはいけないのよ。
●●●の肩を引いて呼び止めたのは、知らない声の知らない誰か。
真っ黒な髪に碧い瞳の、見た事の無い女の人でした。
女の人は忠告めいた言葉を並べて●●●の手を取ると、まるであの少女からの元に近寄らせまいとばかりに、引き離そうとするように急ぎ足で●●●の手を引いてどんどんと歩を進めて行きます。
……どうして?
どうして、あの子を気にしてはいけないの?
●●●は、女の人に尋ねます。
あの子は、あんなにも泣いているのになんでなの、と……。
……あれは、今や彼方に忘失されてしまったお話だから。
知らない『貴女』、識らない『貴女』、今となっては最早、『貴女』が何もしる事の出来ない『ーーーア』のお話なのだからよ。
あれは『貴女』の心の中にある廃棄場の深く奥底にただただ沈澱していくだけだった多くの記憶の中の、その最初の一つ。 今となってはもはや無く、そして亡きに等しい過去の残骸で、本物だった『貴女』の本当の現実なの。
だから、どうか『貴女』はしらないで。
『わたし』の全てをしっては駄目なのよ。
しればきっと、『貴女』はまた苦しむ事になるのだから。
なんでですか、と●●●は女の人に聞きます。
だって、どれだけ必死に語られようと、どれだけ必死に嘆願されようと、●●●にはそんなよく分からないお話になんて納得は出来ませんから。
すると、女の人は困ったように言葉を詰まらせて、けれども少しの逡巡の後に再び言葉を紡ぎ始めました。
『わたし』は……とても痛かった、から。
心を掻き毟られて痛かった、この身を遊興で弄ばれて痛かった、心無き路傍の石ころを演じなければ生きられなくて痛かった、向けられる好奇と悪意の無常な言葉が痛かった、信じてもらえなかった事が痛かった。
罪を科せられ、罰を与えられ、折られ抉られ棄てられて、それでもずっと苦しくて………そうして、いつしか感じていた痛みが無くなって『わたし』が完全に消え去るその時まで、ずっとずっとずっとずっと、ずーーっと、痛かったもの。
………ねえ、『貴女』。
『貴女』は大丈夫? 『貴女』は、どこも痛くない?
苦しくない?
問われて●●●が「はい」と首肯すれば、彼女は安堵の吐息を一つ漏らして「なら、よかったわ」と呟きます。
……何なのでしょう、この人は?
言葉が交わせている気なんてまるでせず、ただずっと利己的な訴えを言い募っているだけで、まるで訳の分からない事ばかり言っていて……それなのに、その言葉にはまるで●●●に訴えかけるような響きがあって、悲痛な悲鳴のようであるのです。
何だと言うのでしょうか。
この女の人は●●●を静止して、何か伝えたい事でもあるというのでしょうか?
無いわ、『貴女』に伝える事なんて何も無い。
『わたし』はただ、こんな場所に迷い込んできてしまった『貴女』には無事に現実へと帰っていってほしいだけ。
何もしらず、何も見ず、今すぐに『貴女』だけで帰ってちょうだい。
『貴女』には『わたし』なんて識らず、知らず、しらないままに生きていてほしいから。 もう二度と、あんな思いを『貴女』にまでしてほしくなんてないのだから。
だから『貴女』は帰りなさい。
『貴女』の生きる現実へと帰りなさい。
そして、二度とこんな残骸なんかを気にも留める事なんてしないで、全部忘れてしまうのよ。
それは、明確な拒絶の意志を示す言葉の羅列。
けれども其処には悪意も嫌悪も無く、どちらかと言えば●●●を守るため、或いは『何か』から遠ざけるための拒絶のようにも聞こえます。
それは危険からか、それとももっと感覚的なものからか。
それは……例えば、恐怖、とか?
……詮索はしないで。
全部忘れて、もう二度と思い出そうともしないでちょうだい。 『わたし』の事も、こんな何にもならない『わたし』だった『貴女』の残骸の事も、全部全部。
恐怖?
ええ恐ろしいわ、とってもね……。
でも、きっと『貴女』は知らないでしょう、知る筈も無いでしょう恐怖だったわ! ……だから、『わたし』はもうそんなものは見たくなんてないの。
お願いだから忘れて、忘れて、全て忘れて何もしらないで夢から醒めて『貴女』の生きる今を生きて。
でないと、『わたし』ではない『貴女』がまた苦しむ事になる。
『わたし』も、『貴女』も、苦しむ事になる。
……そう、なってしまう。
だからーーーお願いよ、もうこれ以上『ーイーー』を苦しめないで!!
悲痛な慟哭、ただそれだけが空間に鳴り響く。
それは嘆願のようであり、罪の酌量を望む悲鳴のようでもあり、まるで命乞いをするかのような叫びでした。
そして叫びに呼応するように、少しずつ●●●の意識は揺らいでいって、立っていられないどころかまるで浮遊するかの如くふわふわと空間を漂うような感覚に陥っていきますーーーどうやら、目覚めが近いようです。
……ああそうでした、今の●●●は眠っているのでした。
だからこれは多分、夜明けの目覚め。
あの童も女の人も、全ては●●●の見る夢の住人。 そしてこれは夢の終わりで、●●●の始まり。
だったら、もう夢になんて構ってはいられません。
夢から醒めるのです。
●ナ●には、やるべき事があるのですから。
●ナシは、ナナシ。
『最果て』にて死した魂達を見送る葬送人であり、ただ誰かのために奉公する使命を拝した、ただのーーー罪人、ナナシなのですから。
ーーーこの『わたし』は全てをしっているけれど、ああ……。
でも『貴女』はもう何もしらなくていいのよ、わざわざ切り捨てられた『わたし』をしって苦しむ事なんてありはしないの。
………だからどうか、何一つとして報われず、『わたし』として最後の最期まで救われる事なんて無かった『貴女』がいつか安らかな眠りにつくその日まで、どうか、今の『貴女』が何もしらないままであらん事を。
せめて、いつか迎える最期くらいは、『貴女』が幸せでいられる事を願っていますーーー。
どうか『貴女』は何一つとて、しる事無かれ。
また、『ーーーー』が壊れてしまわないためにも。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……ああ。 夢、なのね」
夢想からの意識の浮上。
知覚に先ずは触覚が付与され、身を横たえている上質な毛布の手触りと温もりを感じて一つ。
次いで、嗅覚が朝の冷えた空気の匂いを感じれば、ナナシはいつもそこで起床時刻を悟って、自身の目覚めと現実への回帰を自覚します。
夢は終わりで、現実なのだと。
そして、全ては夢とそれだけです。
だって、夢は所詮夢だって、前にナナシの夢の話をした時に妖精さんがそう言っていたのですから。
「ゆめ………」
でも、今もその時も、やはり全部は素直に呑み込んで流す事は出来ませんでした。
夢の中で見た、女の子。
叩かれて、蹴られて、罵られて逃げ場無く泣いていたあの子の姿はそう易々と忘れられるものでなく、そして、何処か既視感を覚えるのですから。 ずっと、『最果て』から外に出た事なんて無かったナナシがそんな事を見たり聞いたりした覚えなんて無い筈なのに。
それに、あの女の人は……。
「……いいえ、あれは夢。 ただの夢で、ナナシが気にする事じゃないわ」
ほんの少しだけ見た夢について考えて、けれども答えが出てこないからナナシはそこで考える事を放棄します。 だって、妖精さんだって所詮は夢だって言っていたのだもの。
それに、夢なんかより大事なものは現実の事。
今は、ナナシが知るべきなのは夢の意味ではなくて現実のこの世界、この国の事なのです。
……だから、夢の事なんて考えている暇はナナシには無いのです。
ええ、ほんの少したりとも。
「起きなきゃ……今日はカルネが来てくれるんだもの。 ナナシがこんな寝惚けていたんじゃ要らない心配をさせてしまうわ……」
今のナナシは、この国の事を知らなくてはならない。
知って、今度こそレイド様とロイド様の争う意味、意義を知ってそれを止めなければならないのです。 でないと、いずれこの生者の国は内輪揉めの末に『泥』によって滅んでしまうでしょうから……。
知るべき事を知らなくては……だから、ナナシの事なんて今はどうでもいいのです。
……ええ、世の中には知らない方が良い事や、知る必要の無いものだってあるのですから。
だから、あんな夢の事なんて、何一つとて知る必要は無いのです。
真黒の虚空の中で、寂しく響くように。
果ての見えない暗闇の中を寄る辺さえ無いままに、けれど、拙いながらにベソをかきながらも歩き続ける少女の嗚咽が聞こえてきます。
何度も転んで失敗してその度に蹴られ怒られ罵られながら、けれども逃げ出す事も、そもそも行く当ても縋れるものも無い、無力で不自由な少女が小さく蹲って、小さく漏れ出すくらい微かにしか聞こえないよう声を押し殺して泣いているのです。
だから●●●は、その童の元に向かおうとしました。
いつものお仕事のように、『最果て』で死した魂のお客様達に寄り添うように、なぜあの童が泣いているのか話を聞こうと思ったのです。
困っている者、特に泣いている幼子には手を差し伸べるのが多分、いえ、きっと正常な人間が持つ当たり前の情なのだと●●●は信じています。 だって、それこそは正しく、そして良い事なのでしょうから。
……しかし、そうして一歩を踏み出そうとしたその時、誰かに肩を引かれて静止させられました。
『貴女』は、行っては駄目。
『わたし』のためにも、『貴女』のためにも、アレの事は気にしてはいけないのよ。
●●●の肩を引いて呼び止めたのは、知らない声の知らない誰か。
真っ黒な髪に碧い瞳の、見た事の無い女の人でした。
女の人は忠告めいた言葉を並べて●●●の手を取ると、まるであの少女からの元に近寄らせまいとばかりに、引き離そうとするように急ぎ足で●●●の手を引いてどんどんと歩を進めて行きます。
……どうして?
どうして、あの子を気にしてはいけないの?
●●●は、女の人に尋ねます。
あの子は、あんなにも泣いているのになんでなの、と……。
……あれは、今や彼方に忘失されてしまったお話だから。
知らない『貴女』、識らない『貴女』、今となっては最早、『貴女』が何もしる事の出来ない『ーーーア』のお話なのだからよ。
あれは『貴女』の心の中にある廃棄場の深く奥底にただただ沈澱していくだけだった多くの記憶の中の、その最初の一つ。 今となってはもはや無く、そして亡きに等しい過去の残骸で、本物だった『貴女』の本当の現実なの。
だから、どうか『貴女』はしらないで。
『わたし』の全てをしっては駄目なのよ。
しればきっと、『貴女』はまた苦しむ事になるのだから。
なんでですか、と●●●は女の人に聞きます。
だって、どれだけ必死に語られようと、どれだけ必死に嘆願されようと、●●●にはそんなよく分からないお話になんて納得は出来ませんから。
すると、女の人は困ったように言葉を詰まらせて、けれども少しの逡巡の後に再び言葉を紡ぎ始めました。
『わたし』は……とても痛かった、から。
心を掻き毟られて痛かった、この身を遊興で弄ばれて痛かった、心無き路傍の石ころを演じなければ生きられなくて痛かった、向けられる好奇と悪意の無常な言葉が痛かった、信じてもらえなかった事が痛かった。
罪を科せられ、罰を与えられ、折られ抉られ棄てられて、それでもずっと苦しくて………そうして、いつしか感じていた痛みが無くなって『わたし』が完全に消え去るその時まで、ずっとずっとずっとずっと、ずーーっと、痛かったもの。
………ねえ、『貴女』。
『貴女』は大丈夫? 『貴女』は、どこも痛くない?
苦しくない?
問われて●●●が「はい」と首肯すれば、彼女は安堵の吐息を一つ漏らして「なら、よかったわ」と呟きます。
……何なのでしょう、この人は?
言葉が交わせている気なんてまるでせず、ただずっと利己的な訴えを言い募っているだけで、まるで訳の分からない事ばかり言っていて……それなのに、その言葉にはまるで●●●に訴えかけるような響きがあって、悲痛な悲鳴のようであるのです。
何だと言うのでしょうか。
この女の人は●●●を静止して、何か伝えたい事でもあるというのでしょうか?
無いわ、『貴女』に伝える事なんて何も無い。
『わたし』はただ、こんな場所に迷い込んできてしまった『貴女』には無事に現実へと帰っていってほしいだけ。
何もしらず、何も見ず、今すぐに『貴女』だけで帰ってちょうだい。
『貴女』には『わたし』なんて識らず、知らず、しらないままに生きていてほしいから。 もう二度と、あんな思いを『貴女』にまでしてほしくなんてないのだから。
だから『貴女』は帰りなさい。
『貴女』の生きる現実へと帰りなさい。
そして、二度とこんな残骸なんかを気にも留める事なんてしないで、全部忘れてしまうのよ。
それは、明確な拒絶の意志を示す言葉の羅列。
けれども其処には悪意も嫌悪も無く、どちらかと言えば●●●を守るため、或いは『何か』から遠ざけるための拒絶のようにも聞こえます。
それは危険からか、それとももっと感覚的なものからか。
それは……例えば、恐怖、とか?
……詮索はしないで。
全部忘れて、もう二度と思い出そうともしないでちょうだい。 『わたし』の事も、こんな何にもならない『わたし』だった『貴女』の残骸の事も、全部全部。
恐怖?
ええ恐ろしいわ、とってもね……。
でも、きっと『貴女』は知らないでしょう、知る筈も無いでしょう恐怖だったわ! ……だから、『わたし』はもうそんなものは見たくなんてないの。
お願いだから忘れて、忘れて、全て忘れて何もしらないで夢から醒めて『貴女』の生きる今を生きて。
でないと、『わたし』ではない『貴女』がまた苦しむ事になる。
『わたし』も、『貴女』も、苦しむ事になる。
……そう、なってしまう。
だからーーーお願いよ、もうこれ以上『ーイーー』を苦しめないで!!
悲痛な慟哭、ただそれだけが空間に鳴り響く。
それは嘆願のようであり、罪の酌量を望む悲鳴のようでもあり、まるで命乞いをするかのような叫びでした。
そして叫びに呼応するように、少しずつ●●●の意識は揺らいでいって、立っていられないどころかまるで浮遊するかの如くふわふわと空間を漂うような感覚に陥っていきますーーーどうやら、目覚めが近いようです。
……ああそうでした、今の●●●は眠っているのでした。
だからこれは多分、夜明けの目覚め。
あの童も女の人も、全ては●●●の見る夢の住人。 そしてこれは夢の終わりで、●●●の始まり。
だったら、もう夢になんて構ってはいられません。
夢から醒めるのです。
●ナ●には、やるべき事があるのですから。
●ナシは、ナナシ。
『最果て』にて死した魂達を見送る葬送人であり、ただ誰かのために奉公する使命を拝した、ただのーーー罪人、ナナシなのですから。
ーーーこの『わたし』は全てをしっているけれど、ああ……。
でも『貴女』はもう何もしらなくていいのよ、わざわざ切り捨てられた『わたし』をしって苦しむ事なんてありはしないの。
………だからどうか、何一つとして報われず、『わたし』として最後の最期まで救われる事なんて無かった『貴女』がいつか安らかな眠りにつくその日まで、どうか、今の『貴女』が何もしらないままであらん事を。
せめて、いつか迎える最期くらいは、『貴女』が幸せでいられる事を願っていますーーー。
どうか『貴女』は何一つとて、しる事無かれ。
また、『ーーーー』が壊れてしまわないためにも。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「……ああ。 夢、なのね」
夢想からの意識の浮上。
知覚に先ずは触覚が付与され、身を横たえている上質な毛布の手触りと温もりを感じて一つ。
次いで、嗅覚が朝の冷えた空気の匂いを感じれば、ナナシはいつもそこで起床時刻を悟って、自身の目覚めと現実への回帰を自覚します。
夢は終わりで、現実なのだと。
そして、全ては夢とそれだけです。
だって、夢は所詮夢だって、前にナナシの夢の話をした時に妖精さんがそう言っていたのですから。
「ゆめ………」
でも、今もその時も、やはり全部は素直に呑み込んで流す事は出来ませんでした。
夢の中で見た、女の子。
叩かれて、蹴られて、罵られて逃げ場無く泣いていたあの子の姿はそう易々と忘れられるものでなく、そして、何処か既視感を覚えるのですから。 ずっと、『最果て』から外に出た事なんて無かったナナシがそんな事を見たり聞いたりした覚えなんて無い筈なのに。
それに、あの女の人は……。
「……いいえ、あれは夢。 ただの夢で、ナナシが気にする事じゃないわ」
ほんの少しだけ見た夢について考えて、けれども答えが出てこないからナナシはそこで考える事を放棄します。 だって、妖精さんだって所詮は夢だって言っていたのだもの。
それに、夢なんかより大事なものは現実の事。
今は、ナナシが知るべきなのは夢の意味ではなくて現実のこの世界、この国の事なのです。
……だから、夢の事なんて考えている暇はナナシには無いのです。
ええ、ほんの少したりとも。
「起きなきゃ……今日はカルネが来てくれるんだもの。 ナナシがこんな寝惚けていたんじゃ要らない心配をさせてしまうわ……」
今のナナシは、この国の事を知らなくてはならない。
知って、今度こそレイド様とロイド様の争う意味、意義を知ってそれを止めなければならないのです。 でないと、いずれこの生者の国は内輪揉めの末に『泥』によって滅んでしまうでしょうから……。
知るべき事を知らなくては……だから、ナナシの事なんて今はどうでもいいのです。
……ええ、世の中には知らない方が良い事や、知る必要の無いものだってあるのですから。
だから、あんな夢の事なんて、何一つとて知る必要は無いのです。
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