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ラルフ・クライバーは帝国軍中将である。
新人教育と人事を担当しているが、帝国軍大将であるシグルド・ファーレンハイトが魔物討伐で帝都を離れる際には必ず代理を務めている。
自分で商会も持っており、忙しい日々を過ごしている内に三十路を越えてしまったが、女性が少ない軍属では出会いも少ない。
子爵家の三男坊である彼が家を継ぐ必要もなく、周りから何かを言われることもなかったので本人も気にしてはいなかった。
仕事で城へ顔を出せば城仕えの女性から声を掛けられることもある。
若い時は適当に恋人を作っては別れを繰り返していたが、現在は遊ぶ相手すらいない綺麗な身だ。
ラルフが久しぶりにその人物へ出会ったのは、帝都にある子爵家の別邸へ向かう途中であった。
普段、領地に居る兄が帝都へ出て来ており、ラルフの休日に合わせてランチでもと誘われたのだ。
官舎からは多少距離があったが、運動の為に歩いて向かっていたラルフは街中の喧騒に気付いた。
叫び声でひったくりが出たのだと分かる。
警邏中の軍人もいるはすだが、近くにいない場合も考え、ラルフは騒ぎの中心へと急いだ。
逃げる者と追う者を確認し、ラルフはひったくり犯へ近付く。
ところがあと少しというところで、彼の目の前に軍服を着た青年が現れた。
小柄な青年であるが、自分よりも大きなひったくり犯を背負って鮮やかに投げ飛ばす。
そして地面へ倒れた犯人を手際よく捕縛した。
そこで初めて青年の顔を見たラルフは納得した。
一昨年入隊したディルク・フォルストだったからだ。
身体は小さいが運動神経は抜群で、自分の弱点を長所に変える戦い方が出来る青年だ。
剣術だけでなく体術でも、上手く相手の力を受け流して隙を作らせる。
入隊試験を監督していた――新人教育や昇進試験で何度も会っていた――ラルフは、彼の事を知っていた。
特にディルクの妹であるディアナとは縁あって良く覚えていたこともあり、双子の兄であるディルクには何かと目を掛けていた。
ディルクは後から来た同僚へひったくり犯を引渡し、被害者と共に警邏の詰め所へ向かう様に指示をした。
一段落したところを見計らってラルフが声を掛ける。
「お疲れ様、ディルク」
「クライバー中将、ご無沙汰しております」
「また一段と強くなったんじゃないかい」
「そんな。中将の足元にも及びませんよ」
「どうだろう?私はもう現場を離れているからね。ああ、君が提出する報告書も良く書けてる。上からの評価が高いから、すぐに少佐になれるよ」
「褒めて頂き光栄です。ただ、実は父が身体を壊していまして」
「伯爵が?」
「妹が領地の仕事を手伝ってくれているのですが、予定よりも早く退役しなければならないかもしれません」
軍属にある者は貴族であればラルフのように嫡男以外――次男、三男――が多い。
家を継ぐことがなく、他で身を立てる場合、軍へ入隊する方法が手っ取り早い。
だがディルクは嫡男で、元々、三年間という期限を切られていた。
勿体ないとラルフは思うが、同じ貴族として仕方のない立場ということも理解できる。
「ディルクが軍を離れる予定がなければ、いずれは私の補佐をして欲しかったんだけどね」
ラルフの補佐をしていた者は数カ月前に海軍へ転属になった。
今は空席で、ラルフはいつも以上に忙しい身であった。
その上、シグルドが副官であり婚約者でもあるアリシアへの愛を暴走させては仕事を抜けるので、予告なく大将代理で呼び出されることも多い。
多忙のラルフは次の補佐を探している最中で、実力でいえばその筆頭であるディルクはすでに辞めることが決まっている。
ディルクが少佐に昇進すれば自分の補佐として引き抜くことが出来るだけに、どうにも諦めが付かなかった。
つい愚痴が零れ出る。
「私としても……中将の元で働きたいと思っておりました」
ディルクは肩を落とす。
「詮無い事を言って済まなかった。伯爵の回復を祈っているよ」
ラルフは慌てて謝罪した。
少し垂れ目で童顔のディルクが沈んだ顔をすれば、まるで苛めているような気分になる。
兄との時間が迫っていることに気付いたラルフはそこでディルクと別れた。
帝国は当主が認めれば嫡男以外でも家を継ぐことが出来る。
ディルクの妹が婿をとる、という方法も難しくはない。
軍人としての素質がある彼を手離すのは組織的にも、また個人的にも惜しい。
そんな事を考えながら、ラルフは子爵家の別邸へ向かった。
※
ラルフがディルクの双子の妹であるディアナ・フォルストと出会ったのは5年前のこと。
魔物討伐の帰りにラルフの部下が体調を崩し、屋敷へ立ち寄ったことがきっかけだ。
病気ではなく魔力切れが原因だったのだが、田舎には――領主の屋敷にさえ――高価なポーションは常備していない。
急遽、近くの森へ住んでいる薬師の所へ向かうことになったディアナへラルフは帯同を申し出たが、彼女はその申し出を断った。
薬師は限られた人間以外と関わることを嫌う偏屈だったからだ。
それでもラルフは食い下がった。
仕方なく、薬師の家の前までという約束でディアナは彼と共に馬を駆って薬師の所へ向かった。
薬師の元で在庫していたポーションを手に入れたディアナだったが、その帰りに運悪く魔物と鉢合わせた。
魔物に怯えた馬から降りて、彼女は躊躇いなく剣を抜いた。
「ディアナ嬢!」
ラルフの焦った声など聞こえないように、ディアナは飛び掛かってきた小型の魔物を切り伏せた。
それはあっという間に形を失い、魔石だけが地面へ残される。
彼女が冷静に周りを確認すれば、小型だけでなく中型の魔物も居た。
「ここは街に近いので殲滅したいのですが、協力して頂けますか?」
「……ああ」
まだ成人していない――15歳の――しかも女性であるディアナの動きにラルフは一瞬見惚れた。
彼女の胆力と剣捌きに圧倒されつつも、ラルフも鞘から剣を抜いて魔物を駆逐していく。
魔物討伐が本業のラルフには、物足りないぐらいだったが、それが油断を招いた。
「危ないっ!」
背後を取られたと思った瞬間、ディアナの剣が魔物の身体を貫いた。
魔法を使えばラルフ自身で倒せたが、ディアナの方が僅かに早かった。
ラルフは形が崩れていく魔物を眺める。
誰かに庇われたのは、久しぶりの事だった。
「……剣の師はいるのかい?」
幼い頃から剣を握っていなければ出来ない動きに、ラルフは場違いな質問をした。
ディアナは少し首を傾げて剣を納める。
「私の従姉であるシア姉さん、ええと、アリシア・ベティーヌから時々教わっています」
身近な人物の名前に、ラルフは目を瞠った。
アリシア・ベティーヌは19歳という若さで大将付き副官になった秀才だ。
剣の腕、魔力、事務処理能力、どれをとっても文句なしの実力を持っている。
そして、若いながらラルフと同じ中将という階級で同僚でもあった。
「泣く子も黙る鬼教官の弟子とはね」
声には出さなかったが、ラルフは納得した。
貴族の知識を引っ張り出す。
アリシアの母親とディアナの亡くなった母親が姉妹であり、プラチナブロンドと薄い青の――アリシアと濃さは違うが――瞳の色は確かに似ている。
更に家系図を遡れば、姉妹の実家も軍閥として有名な家だった。
「ディアナ嬢は軍の養成学校へは行かないのかい?」
「え?」
「それだけ強ければ副官殿にも劣らない軍人になれると思うよ」
身体は大きくないが、先程の戦い方を見れば軍人としての素質があることは分かる。
アリシアの後へ続けとばかりに、最近は女性の軍人も増えてきていた。
とはいえ、出会って一日も経っていない相手に話すことではなかった、とラルフは口元を押さえた。
ディアナはそんな彼の様子には気付かず、落ち着いてきた馬へと騎乗する。
ラルフの質問に答えないまま、彼女は屋敷へ向かうために手綱を握った。
無事に届けられた薬でラルフの部下はすぐに回復した。
大事を取って一晩だけ屋敷へ滞在した小隊は、翌日には帝都へと出発した。
たったそれだけの出逢いだったが、ラルフは忘れられなかった。
ディルクを見るたびに、ディアナのことを思い出す。
双子で顔が一緒であることも、思い出す原因なのだろう。
ラルフは訓練場にいるディルクへ視線を向ける。
彼は自分よりも身体の大きな者と剣の打ち合いをしていた。
あの時見たディアナの剣筋に良く似ていた。
二人ともアリシアが教えたのなら、それも道理だ。
押し返す強さはないが、しなやかで無駄のない剣捌きに懐かしさを覚える。
「あと一年か」
「勿体ないと顔に書いてあるぞ、ラルフ」
隣に居たシグルドが珍しく揶揄う様に言う。
ラルフは眉を下げた。
「ディルクが嫡男でなければ、とつい考えてしまって。貴族の事情は分かってるつもりなんですが」
「伯爵の体調が万全ではないと聞いている。長くても約束の期間までしか軍には居られないだろう」
「閣下のお口添えがあっても?」
シグルドは顎に手を当ててディルクを見た。
小柄な身体を物ともせずに相手へ立ち向かう姿は好感が持てる。
このまま軍へ残れば、中将になれる逸材ではあった。
「そんなに惜しいか」
シグルドの実家であるファーレンハイトは公爵家である。
その伝手――言い換えれば圧力――を使えば、ディルクを退役させずに済むかもしれない。
だが、それはラルフが嫌う貴族的なやり方だ。
「ええ……ですが、出過ぎたことを言いました。忘れて下さい」
自分の発言に嫌悪したのか、ラルフは苦い顔をしていた。
新人教育と人事を担当しているが、帝国軍大将であるシグルド・ファーレンハイトが魔物討伐で帝都を離れる際には必ず代理を務めている。
自分で商会も持っており、忙しい日々を過ごしている内に三十路を越えてしまったが、女性が少ない軍属では出会いも少ない。
子爵家の三男坊である彼が家を継ぐ必要もなく、周りから何かを言われることもなかったので本人も気にしてはいなかった。
仕事で城へ顔を出せば城仕えの女性から声を掛けられることもある。
若い時は適当に恋人を作っては別れを繰り返していたが、現在は遊ぶ相手すらいない綺麗な身だ。
ラルフが久しぶりにその人物へ出会ったのは、帝都にある子爵家の別邸へ向かう途中であった。
普段、領地に居る兄が帝都へ出て来ており、ラルフの休日に合わせてランチでもと誘われたのだ。
官舎からは多少距離があったが、運動の為に歩いて向かっていたラルフは街中の喧騒に気付いた。
叫び声でひったくりが出たのだと分かる。
警邏中の軍人もいるはすだが、近くにいない場合も考え、ラルフは騒ぎの中心へと急いだ。
逃げる者と追う者を確認し、ラルフはひったくり犯へ近付く。
ところがあと少しというところで、彼の目の前に軍服を着た青年が現れた。
小柄な青年であるが、自分よりも大きなひったくり犯を背負って鮮やかに投げ飛ばす。
そして地面へ倒れた犯人を手際よく捕縛した。
そこで初めて青年の顔を見たラルフは納得した。
一昨年入隊したディルク・フォルストだったからだ。
身体は小さいが運動神経は抜群で、自分の弱点を長所に変える戦い方が出来る青年だ。
剣術だけでなく体術でも、上手く相手の力を受け流して隙を作らせる。
入隊試験を監督していた――新人教育や昇進試験で何度も会っていた――ラルフは、彼の事を知っていた。
特にディルクの妹であるディアナとは縁あって良く覚えていたこともあり、双子の兄であるディルクには何かと目を掛けていた。
ディルクは後から来た同僚へひったくり犯を引渡し、被害者と共に警邏の詰め所へ向かう様に指示をした。
一段落したところを見計らってラルフが声を掛ける。
「お疲れ様、ディルク」
「クライバー中将、ご無沙汰しております」
「また一段と強くなったんじゃないかい」
「そんな。中将の足元にも及びませんよ」
「どうだろう?私はもう現場を離れているからね。ああ、君が提出する報告書も良く書けてる。上からの評価が高いから、すぐに少佐になれるよ」
「褒めて頂き光栄です。ただ、実は父が身体を壊していまして」
「伯爵が?」
「妹が領地の仕事を手伝ってくれているのですが、予定よりも早く退役しなければならないかもしれません」
軍属にある者は貴族であればラルフのように嫡男以外――次男、三男――が多い。
家を継ぐことがなく、他で身を立てる場合、軍へ入隊する方法が手っ取り早い。
だがディルクは嫡男で、元々、三年間という期限を切られていた。
勿体ないとラルフは思うが、同じ貴族として仕方のない立場ということも理解できる。
「ディルクが軍を離れる予定がなければ、いずれは私の補佐をして欲しかったんだけどね」
ラルフの補佐をしていた者は数カ月前に海軍へ転属になった。
今は空席で、ラルフはいつも以上に忙しい身であった。
その上、シグルドが副官であり婚約者でもあるアリシアへの愛を暴走させては仕事を抜けるので、予告なく大将代理で呼び出されることも多い。
多忙のラルフは次の補佐を探している最中で、実力でいえばその筆頭であるディルクはすでに辞めることが決まっている。
ディルクが少佐に昇進すれば自分の補佐として引き抜くことが出来るだけに、どうにも諦めが付かなかった。
つい愚痴が零れ出る。
「私としても……中将の元で働きたいと思っておりました」
ディルクは肩を落とす。
「詮無い事を言って済まなかった。伯爵の回復を祈っているよ」
ラルフは慌てて謝罪した。
少し垂れ目で童顔のディルクが沈んだ顔をすれば、まるで苛めているような気分になる。
兄との時間が迫っていることに気付いたラルフはそこでディルクと別れた。
帝国は当主が認めれば嫡男以外でも家を継ぐことが出来る。
ディルクの妹が婿をとる、という方法も難しくはない。
軍人としての素質がある彼を手離すのは組織的にも、また個人的にも惜しい。
そんな事を考えながら、ラルフは子爵家の別邸へ向かった。
※
ラルフがディルクの双子の妹であるディアナ・フォルストと出会ったのは5年前のこと。
魔物討伐の帰りにラルフの部下が体調を崩し、屋敷へ立ち寄ったことがきっかけだ。
病気ではなく魔力切れが原因だったのだが、田舎には――領主の屋敷にさえ――高価なポーションは常備していない。
急遽、近くの森へ住んでいる薬師の所へ向かうことになったディアナへラルフは帯同を申し出たが、彼女はその申し出を断った。
薬師は限られた人間以外と関わることを嫌う偏屈だったからだ。
それでもラルフは食い下がった。
仕方なく、薬師の家の前までという約束でディアナは彼と共に馬を駆って薬師の所へ向かった。
薬師の元で在庫していたポーションを手に入れたディアナだったが、その帰りに運悪く魔物と鉢合わせた。
魔物に怯えた馬から降りて、彼女は躊躇いなく剣を抜いた。
「ディアナ嬢!」
ラルフの焦った声など聞こえないように、ディアナは飛び掛かってきた小型の魔物を切り伏せた。
それはあっという間に形を失い、魔石だけが地面へ残される。
彼女が冷静に周りを確認すれば、小型だけでなく中型の魔物も居た。
「ここは街に近いので殲滅したいのですが、協力して頂けますか?」
「……ああ」
まだ成人していない――15歳の――しかも女性であるディアナの動きにラルフは一瞬見惚れた。
彼女の胆力と剣捌きに圧倒されつつも、ラルフも鞘から剣を抜いて魔物を駆逐していく。
魔物討伐が本業のラルフには、物足りないぐらいだったが、それが油断を招いた。
「危ないっ!」
背後を取られたと思った瞬間、ディアナの剣が魔物の身体を貫いた。
魔法を使えばラルフ自身で倒せたが、ディアナの方が僅かに早かった。
ラルフは形が崩れていく魔物を眺める。
誰かに庇われたのは、久しぶりの事だった。
「……剣の師はいるのかい?」
幼い頃から剣を握っていなければ出来ない動きに、ラルフは場違いな質問をした。
ディアナは少し首を傾げて剣を納める。
「私の従姉であるシア姉さん、ええと、アリシア・ベティーヌから時々教わっています」
身近な人物の名前に、ラルフは目を瞠った。
アリシア・ベティーヌは19歳という若さで大将付き副官になった秀才だ。
剣の腕、魔力、事務処理能力、どれをとっても文句なしの実力を持っている。
そして、若いながらラルフと同じ中将という階級で同僚でもあった。
「泣く子も黙る鬼教官の弟子とはね」
声には出さなかったが、ラルフは納得した。
貴族の知識を引っ張り出す。
アリシアの母親とディアナの亡くなった母親が姉妹であり、プラチナブロンドと薄い青の――アリシアと濃さは違うが――瞳の色は確かに似ている。
更に家系図を遡れば、姉妹の実家も軍閥として有名な家だった。
「ディアナ嬢は軍の養成学校へは行かないのかい?」
「え?」
「それだけ強ければ副官殿にも劣らない軍人になれると思うよ」
身体は大きくないが、先程の戦い方を見れば軍人としての素質があることは分かる。
アリシアの後へ続けとばかりに、最近は女性の軍人も増えてきていた。
とはいえ、出会って一日も経っていない相手に話すことではなかった、とラルフは口元を押さえた。
ディアナはそんな彼の様子には気付かず、落ち着いてきた馬へと騎乗する。
ラルフの質問に答えないまま、彼女は屋敷へ向かうために手綱を握った。
無事に届けられた薬でラルフの部下はすぐに回復した。
大事を取って一晩だけ屋敷へ滞在した小隊は、翌日には帝都へと出発した。
たったそれだけの出逢いだったが、ラルフは忘れられなかった。
ディルクを見るたびに、ディアナのことを思い出す。
双子で顔が一緒であることも、思い出す原因なのだろう。
ラルフは訓練場にいるディルクへ視線を向ける。
彼は自分よりも身体の大きな者と剣の打ち合いをしていた。
あの時見たディアナの剣筋に良く似ていた。
二人ともアリシアが教えたのなら、それも道理だ。
押し返す強さはないが、しなやかで無駄のない剣捌きに懐かしさを覚える。
「あと一年か」
「勿体ないと顔に書いてあるぞ、ラルフ」
隣に居たシグルドが珍しく揶揄う様に言う。
ラルフは眉を下げた。
「ディルクが嫡男でなければ、とつい考えてしまって。貴族の事情は分かってるつもりなんですが」
「伯爵の体調が万全ではないと聞いている。長くても約束の期間までしか軍には居られないだろう」
「閣下のお口添えがあっても?」
シグルドは顎に手を当ててディルクを見た。
小柄な身体を物ともせずに相手へ立ち向かう姿は好感が持てる。
このまま軍へ残れば、中将になれる逸材ではあった。
「そんなに惜しいか」
シグルドの実家であるファーレンハイトは公爵家である。
その伝手――言い換えれば圧力――を使えば、ディルクを退役させずに済むかもしれない。
だが、それはラルフが嫌う貴族的なやり方だ。
「ええ……ですが、出過ぎたことを言いました。忘れて下さい」
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