176 / 176
174.我慢……。
……瑛士さんてさ。
ただ整ってるってだけじゃなくて……色っぽすぎるというか。
魅力、ありすぎなんだよね。もう。
そのすごいの、オレみたいな奴に、振りまかなくていいのに。
はー。顔が熱い。
空調の音がやけに耳に響く。
ひたすらにゆっくりと、荷物を片付けていたけれど限界があり、終わってしまった。仕方なく立ち上がる。
「歯、磨いてきますね」
「ん。じゃあオレも一緒にいく」
瑛士さんも立ち上がって、オレと並ぶ。
えええ……別が良かった……。思ったけど、拒否するのも変だなと思って言えず、そのまま一緒にバス―ルームに入った。
先に入った瑛士さんが、備え付けの歯ブラシを渡してくれる。
ありがとうございます、と受け取って、ぱく、とくわえる。
……狭くて、瑛士さんが近い。
しゃこしゃこ磨きながら、ためいきが零れそう。
多分一緒に映っているだろう鏡は、なんとなく見れない。
本当にオレ――こういうのの経験値が低すぎて、もうお話にならない。
ていうか……オレは極端に低いけどさ。
過去に誰かと付き合ってる人だって、きっと瑛士さんとこんなに近くにいたら、無理なんじゃないかなあ。
「なんかさ」
笑みを含んだ瑛士さんのやわらかい声に、さらに心拍が跳ね上がる。
「いつもと違う場所っていうのも、新鮮でいいね。……なんかちょっと、ドキドキしない?」
そんな風に言って、ちら、とオレを斜めに見つめる。
「――」
――そうなの? 瑛士さんも……ドキドキしてるのかな?
といっても、きっと、オレの心臓の速さには、及びもつかないのだろうけど。
少しは、オレといて――ドキドキ、してくれてるのかなって。
なんかそう思うと、嬉しいかも。
曖昧に頷いてから口をすすいで、部屋に戻る。
「――さて。凛太、どうしたい?」
ベッドの手前でオレを振り返り、そう聞いてくる瑛士さん。
どうしたいって何だろう、と首を傾げると、瑛士さんが続けた。
「ちょっと狭いよね、シングルって」
「……そうですか?」
狭いかな? 普通な気もするけど。
でも瑛士さんからしたら、大きいから、狭いのかも。
「瑛士さん、大きいですもんね」
そう言うと、瑛士さんはパッとオレを見て、何も言わない。
オレも、ん? と瑛士さんを見つめ返していると、瑛士さんは、ふと口角を上げた。
「違うよ、そういう意味じゃなくてさ」
意味がよく分からず、その続きの言葉を待っていると。
「一緒に寝るのには、狭そうだなーと思ってさ」
口元を押さえて、くすくす笑う瑛士さん。
……そういう意味、かぁ。赤くなって狼狽えていると、手を取られた。
「ほら、こっちおいで」
やわらかく手を引かれて、ベッドの端に座らされる。
「――やっぱり、来て良かったな」
そう言いながら、瑛士さんは、自然にオレの隣へと腰を下ろした。
……距離、近い。近すぎるんだけどな。
触れてしまいそうなところに、瑛士さんがいる。
「浴衣着てる凛太、見れたし」
顔が傾けられて、綺麗に微笑んだ唇が、目の前にある。
「……オレの、浴衣姿なんて……見て、嬉しいですか?」
思わず言ってしまったセリフに、瑛士さんは眉をあげてオレを見ると、またふんわり笑った。
「うん。すっごく、嬉しいね」
――なんだかもう……ドキドキと緊張のせいで、爆発しそうな気分になってきた。
「……固まってるね、凛太」
なんだか、くすぐったそうに笑うと、瑛士さんの腕がオレの肩に回って、そっと抱き寄せられた。
「なんかすこし、いつもと違う雰囲気も――いいよね」
ぽんぽん、と肩を叩かれる。
「凛太、今日は遅くまで頑張ってたしさ。ゆっくり寝させてあげたいから。我慢する」
「――」
我慢、する?
何だろ、それ。思った瞬間。
瑛士さんの瞳と、視線が絡む。瑛士さんの瞳の奥にある、熱っぽいものが。ふ、と伏せられて。
ちゅ、と頬にキスされた。
……なんだかもう、この世で一番、綺麗なキスの仕方なんじゃないかと、思ってしまった。
傾けた顔の感じも。オレに触れてる綺麗な指も。触れた綺麗な唇も。
そのままゆっくり唇は離れて、至近距離で見つめられる。
何も答えられずにいると、瑛士さんがゆっくり立ち上がって、もう一つのベッドに腰かけた。
「今日は、別々に寝よ。このベッドじゃ、凛太、落ちちゃいそうだしさ。オレも、凛太と寝るの我慢するから――まあ、隣にいてくれてるしね」
瑛士さんがそんなことを言う。
確かに、狭いし。
瑛士さんも寝辛いと思うし。
明日も朝早く運転してもらわないといけないもんね。
ゆっくり寝てほしい。
……のだけれど。
(2026/4/20)
◆◇◆
こんにちは♡
ちょっと長いですが、後書きです(*´艸`*)
読みたい方だけどうぞ。
昨日は、頂いてた誤字報告全部直しました。
ムーン、エブリスタ、フジョッシー、pixiv、アルファポリス、カクヨムも全部笑
ぜんぶ開くの大変なので、遠のいていたんですが、
やっぱり誤字は恥ずかしいので、直してすっきり……! 報告くださった皆さまありがとうございました。
報告くださってた皆さま、
ありがとうございました✨
ふと思ったんですけど。
AIで出力の文章は、誤字直しなんてないよね、きっと。
なんっかいも見てるのに誤字しちゃって、誤字の報告頂いて、ひいいって思いながら直して、てへっありがとうです♡ってやりとりする。
そう思うと。
誤字って、人間ぽくていいなぁって
さっき、なんか思ってました。
いや……誤字はよくないけどね笑
……でもちょっとさっき恥ずかしかったのは。
「鈴を転がすような声」(美声✨)のつもりで。
「鈴が転がるような」(コロコロ?🔔🏃♂️)って書いてて。
えー、気付いてた人いますか~? しかも1話ですよ~今までどなたからもツッコミは来てなかったけれど……笑 スルーしてくださっていたのか、もう言葉として補正が入って、皆さんは正しく読んでいたのか……!?笑😂😂😂
楽しそう感?はアップする😂
けど、
意味違うなあって思って。
……恥ずっ😂😂😂
それから、凛太の学年と年なのですが、
書き始めた最初、大学二年生19歳で書いてたら、なにかがおかしくて、
たしか皆さんにもご報告して、「大学三年生の20歳」に変えて……
頭のなかではそれですすめて、お酒とかも飲めるようにしていたのに、
本文で年だけは「19歳」のまま直さずに来ちゃってまして! なんでだろー?
すみません、凛太は大学三年生の二十歳ですので、以後それで……!!
(あと、瑛士さんが着たのはイルカのTシャツであってます♡ ペンギン着たのは凛太ですので、そこは直してません(*'ω'*)♡)
ありがとうございました♡
星井 悠里ヾ(*´∀`*)ノ
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(172件)
あなたにおすすめの小説
続・過疎配信の常連は、大手配信者でした 〜初めての推しは、過疎配信者でした〜
imaco
BL
☆こちらは、前回のお話「過疎配信の常連は、大手配信者でした」のIbuki視点です。
前のお話を読んでいただいてからのほうが、話の流れがわかるかもしれません。
タイトル・あらすじ通りのお話です。
スランプに悩んでいた大手配信者・Ibukiは、偶然見つけた過疎配信に救われた。
ゆるくて、優しくて、ただ楽しそうにゲームをする配信者・ひなた。
気づけば彼は、俺の“最推し”になっていた。
正体を隠し、“エー”として通い詰め、スパチャを投げる日々。
けれどある日、うっかり本アカウントでコメントしてしまい、その関係は壊れてしまう。
もう行かない方がいいとわかっている。
それでも――どうしても、あの声が忘れられない。
だからもう一度だけ。
ただの“エー”として、君の配信に戻ってもいいですか?
転生天使は平穏に眠りたい〜社畜を辞めたら美形王子の腕の中でとろとろに甘やかされる日々が始まりました〜
メープル
BL
毎日深夜まで残業、食事はコンビニの冷たいパン。そんな社畜としての人生を使い果たし、過労死した俺が転生したのは――なんと、四枚の美しい羽を持つ本物の天使だった。
「今世こそは、働かずに一生寝て過ごしたい!」
平穏な隠居生活を夢見るシオンは、正体を隠して王国の第一王子・アリスターの元に居候することに。ところが、この王子、爽やかな笑顔の裏で俺への重すぎる執着を隠し持っていた!?
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました
こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。
αが離してくれない
雪兎
BL
運命の番じゃないのに、αの彼は僕を離さない――。
Ωとして生まれた僕は、発情期を抑える薬を使いながら、普通の生活を目指していた。
でもある日、隣の席の無口なαが、僕の香りに気づいてしまって……。
これは、番じゃないふたりの、近すぎる距離で始まる、運命から少しはずれた恋の話。
隣の番は、俺だけを見ている
雪兎
BL
Ωである高校生の湊(みなと)は、幼いころから体が弱く、友人も少ない。そんな湊の隣に住んでいるのは、幼馴染で幼少期から湊に執着してきたαの律(りつ)。律は湊の護衛のように常にそばにいて、彼に近づく人間を片っ端から遠ざけてしまう。
ある日、湊は学校で軽い発情期の前触れに襲われ、助けてくれたのもやはり律だった。逃れられない幼馴染との関係に戸惑う湊だが、律は静かに囁く。「もう、俺からは逃げられない」――。
執着愛が静かに絡みつく、オメガバース・あまあま系BL。
【キャラクター設定】
■主人公(受け)
名前:湊(みなと)
属性:Ω(オメガ)
年齢:17歳
性格:引っ込み思案でおとなしいが、内面は芯が強い。幼少期から体が弱く、他人に頼ることが多かったため、律に守られるのが当たり前になっている。
特徴:小柄で華奢。淡い茶髪で色白。表情はおだやかだが、感情が表に出やすい。
■相手(攻め)
名前:律(りつ)
属性:α(アルファ)
年齢:18歳
性格:独占欲が非常に強く、湊に対してのみ甘く、他人には冷たい。基本的に無表情だが、湊のこととなると感情的になる。
特徴:長身で整った顔立ち。黒髪でクールな雰囲気。幼少期に湊を助けたことをきっかけに執着心が芽生え、彼を「俺の番」と心に決めている。
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学時代後輩から逃げたのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞ポイントいれて頂いた方々!ありがとうございました!!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
ですよね。。。
二人を見守る世界だけでいい、、、なんてのは、、、、
凛太が哀しまないといいな、と思ってます。
バニラアイスの最後の一口🥰
読んでいて悶えてしまいました。
うみさま♡
ヾ(*´∀`*)ノわーい♡
悶えていただけて嬉しいです✨🩷
アイス………ぅう〜最高です!
とろさま♡
うふふ🩷
ありがとうございますヾ(*´∀`*)ノ🩷🩷