「トリプルSの極上アルファと契約結婚、なぜか猫可愛がりされる話」

星井 悠里

文字の大きさ
178 / 178

176.くっついちゃえば。



 瑛士さんは、ふと時計を見てから、オレに視線を戻した。

「そろそろ寝た方がいいよね。ごめん、オレが来たせいで寝不足にさせちゃうね」
「そんなことないです。……嬉しかった、ですよ。瑛士さんの姿を見たとき」
「そっか。なら、よかった」

 ふ、と笑い合って、静かに息をついた。

「明日は早くここを出て、途中のパーキングで朝食にしようね。さっきチェックアウトして先に帰るって、伝えておいたから」
「あ、はい。分かりました」
「じゃあ、おやすみ、凛太」
「はい。おやすみなさい」

 そう言い合って、布団に入り直すと、目を閉じた。
 ……でも、いつもくっついて寝ているから、なんだか落ち着かない。

 んー……。
 二人で寝たら、確かにせまいだろうけど……なんか、離れているのがすごく、なんか……。
 でも、やっぱり瑛士さん、ゆっくり寝てほしいし……。

 しばらく悩んでから、そっと目を開けてみると、瑛士さんはもう目をつむっていて動かない。
 寝ちゃったのかな……眠れたなら、よかった……。

 そんなことを考えながらまた目を閉じた。
 なんだかちょっと、違和感は感じながらも、オレも疲れていたのか、いつのまにか眠りに落ちていた。


◆◇◆

 どれくらい寝ていたのか分からないけど。 
 ぎし、というベッドの音が、耳に届いた

 ……?……

 そのまましばらくはウトウトしていたのだけれど、その音が気になって、ふ、と目を開けた。

 見慣れないベッド。ぼーっとしたまま視線を上げると、瑛士さんと、目が合った。
 一瞬で、ここがどこだか思い出した。

「瑛士さん……?」
「……ごめん。動いたから、起こしちゃった?」
「……いえ。瑛士さんも、目が覚めちゃったんですか……?」
「――ん」

 微笑んで頷く瑛士さんに。
 ……もしかして、寝てないのかな、と、気付く。

 オレは起き上がってスリッパをはくと、瑛士さんのベッドの端に腰かけた。

「凛太?」
 そのまま、瑛士さんのお布団に、もそもそと入り込む。

「――あの……狭いかも、ですけど……」
「――」

「一緒に、寝たい、です……」

 すこし乱れてる浴衣から見える、綺麗な胸筋。

 んー、相変わらず、完璧すぎる……。なんて思いながら、その胸の中に、いつも抱き込まれる時みたいに、すっぽりとはまってみた。

 瑛士さんは一瞬驚いてたけど、すぐに、少し強く抱きしめてくれた。
 ふ、と笑う瑛士さんの、優しい息を感じる。


 いつもの瑛士さんの匂いに包まれて、それだけで、ふっと。
 心も体も、全部が緩んだ。

 
「――りんた……」

 瑛士さんが、オレの頭に、すりと頬を寄せてくれる。
 なんだかゆっくり名前を呼ばれて、くすぐったい。


「狭くても……くっついちゃったら、一緒ですよね……?」
「ふ。そうだね……狭い方が、いいかもしれない」

 笑いを含んだ瑛士さんの声が、耳に心地よく響く。

 ――ああ。なんか。

 ほんの一メートルちょっとの距離が。
 離れていると切ないなんて。


 くっついたら、こんなに幸せなんて。
 ……ほんと、不思議……。


「ありがと。おやすみ、凛太……」
「……ありがとは、オレのセリフです……」
「――オレのセリフだよ」

 髪にキスされたのが分かって、さらに、心の中がほんわかする。
 背に回した手で、ぴと、と密着する。


 途端に、あくびが零れた。
 それは瑛士さんも、一緒で。


 ふふ、とまた笑みが重なって。



「――おやすみなさい」


 そのまま、幸せな気持ちで、眠りについた。

 




(2026/4/24)
感想 175

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(175件)

いぬぞ~
2026.04.20 いぬぞ~

(*^艸^*)フフフ♪
凛太くんと一緒だから瑛士さんがよりキラキラになっちゃってるんですけどね。
相変わらずどっかズレてる凛太くん。勿論瑛士さんはそんなところがたまらない(笑)。

そして耐えろっ、耐えるんだ瑛士ぃぃぃぃぃーーーーーっ!(爆笑)


ちなみに凛太くんが3年生でなくてはならない理由はお酒が飲めないってのもあるかもですが、元は離婚後に大嫌いな父親に色々干渉されてしまわない為にでした(離婚後に6年生とかならもう進路はそっちで邪魔されないよね……って先生に捻り出していただいちゃいましたw)。
もはやこの設定が吹き飛んでしまう位の溺愛っぷりキャ━━━(⸝⸝⸝♡∀♡)━━━♡

2026.04.24 星井 悠里

いぬぞ~さま♡

うふふ。ありがとうございますヾ(*´∀`*)ノ
爆笑されている……(笑)(*´艸`*)

そして……そうだった!!
そうでしたー! 思い出しました!
3年後にお父さんから独立出来るようにってことでしたね~!!
すっきり……助かりました……!♡♡

溺愛です……(´∀`*)ウフフ

解除
いぬぞ~
2026.04.16 いぬぞ~

当然来ますよね。
やっと瑛士さんの執着心が知れ渡ってきました。こんな日が来るのを連載当初からずっと待ち侘びてました。

で、凛太くんと一緒にお泊まりするのを楽しみに一生懸命移動してきた甲斐あって、浴衣着用により凛太くんを悩殺する事に大成功!
勿論凛太くんの可愛い反応に幸せが止まらない瑛士さんなのでした。

2026.04.24 星井 悠里

いぬぞ~さま♡

そうですね、やっと。あ、でも竜と、読者様たちにはバレていたかも(´∀`*)ウフフ
浴衣で悩殺大成功(笑)

凛太、いろいろ初めてな感情なので、
ピュアなのが瑛士さんはに可愛くてたまらないのです(*´艸`*)ふふ。

解除
ねぇね
2026.04.16 ねぇね

見たい👀私も凄い瑛士さん見たい👀パンチが凄い?生まれて一度も出たことない鼻血出るかな?笑笑
凛太も見たいけど…絶~対瑛士さん見せてくれないよね😰🌀壁にならせて下さい!悠里様🙏

体調心配してくださってありがとうございます😆💕✨体調は全然治んなくて優月並みにぽわぽわしてます‼️可愛くは全然ないですが😱
まあとりあえず生きてるから花丸って事で笑笑
変なこと感想書いたら承認不可でお願いします🙇⤵️気を付けてるつもりですが…その時は一発レッドでお願いします‼️

2026.04.24 星井 悠里

ねぇねさま♡

鼻血出たことないんですね……Σ(・ω・ノ)ノ! 記念すべき第一回(笑)
「生きてるから花丸」!その通りです、はなまる満点ですっ💮
今日も無理せず、
ぽわぽわ〜っとゆっくり過ごしてくださいね🍀

解除

あなたにおすすめの小説

転生天使は平穏に眠りたい〜社畜を辞めたら美形王子の腕の中でとろとろに甘やかされる日々が始まりました〜

メープル
BL
毎日深夜まで残業、食事はコンビニの冷たいパン。そんな社畜としての人生を使い果たし、過労死した俺が転生したのは――なんと、四枚の美しい羽を持つ本物の天使だった。 ​「今世こそは、働かずに一生寝て過ごしたい!」 ​平穏な隠居生活を夢見るシオンは、正体を隠して王国の第一王子・アリスターの元に居候することに。ところが、この王子、爽やかな笑顔の裏で俺への重すぎる執着を隠し持っていた!?

お忍び中の王子様、毎日路地裏の花屋に通い詰めては俺を口説くのをやめてください。~公務がお忙しいはずでは?~

メープル
BL
不愛想な店主・ネイトが営む小さな花屋の軒先には、雨音に混じって場違いな男が立ち尽くしていた。 不審者と決めつけたネイトが、迷わず足元の如雨露の冷水を浴びせると――フードの下から現れたのは、整った顔立ちの男、ヴァンスだった。 ​以来、ヴァンスは毎日のように店に現れるようになる。 作業台の隅に居座り、ネイトが淹れる安い茶を啜りながら、ハサミの鳴る音を黙って眺める日々。 自分を王子とも知らないネイトの不遜な態度に、ヴァンスはただ優しく目を細めていた。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

学内一のイケメンアルファとグループワークで一緒になったら溺愛されて嫁認定されました

こたま
BL
大学生の大野夏樹(なつき)は無自覚可愛い系オメガである。最近流行りのアクティブラーニング型講義でランダムに組まされたグループワーク。学内一のイケメンで優良物件と有名なアルファの金沢颯介(そうすけ)と一緒のグループになったら…。アルファ×オメガの溺愛BLです。

塩対応の同室αが実は俺の番を狙っていた

雪兎
BL
あらすじ 全寮制の名門学園に入学したΩの俺は、入寮初日から最悪の同室相手に当たった。 相手は学年でも有名な優等生α。 成績優秀、運動もできる、顔もいい。なのに—— めちゃくちゃ塩対応。 挨拶しても「……ああ」。 話しかけても「別に」。 距離も近づけないし、なぜか妙に警戒されている気がする。 (俺、そんなに嫌われてる……?) 同室なのに会話は最低限。 むしろ避けられている気さえある。 けれどある日、発情期トラブルで倒れた俺を助けてくれたのは、 その塩対応αだった。 しかも普段とは違い、必死な顔で言われる。 「……他のαに近づくな」 「お前は俺の……」 そこで言葉を飲み込む彼。 それ以来、少しずつ態度が変わり始める。 距離は相変わらず近くない。 口数も少ない。 だけど―― 他のαが近づくと、さりげなく間に入る。 発情期が近いと察すると、さりげなく世話を焼く。 そして時々、独占欲を隠しきれない視線。 実は彼はずっと前から知っていた。 俺が、 自分の運命の番かもしれないΩだということを。 だからこそ距離を取っていた。 触れたら、もう止まれなくなるから。 だけど同室生活の中で、 少しずつ、確実に距離は変わっていく。 塩対応の裏に隠されていたのは―― 重すぎるほどの独占欲だった。

竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜

レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」 魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。 彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。

貧乏Ωが御曹司αの将来のために逃げた話。

ミカン
BL
オメガバース

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり