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◇ライブ準備
「甘ったるくて」*優月
しおりを挟む「ほんと、優月の髪、柔らかいよな」
「――そ、そう?」
「ん。洗ってても気持ちいい」
泡立てられた指先が、頭皮をマッサージするように優しく動く。
気持ちよさに、うっとり。
「気持ちいい?」
「うん……」
「よかった」
玲央の声があったかい感じで耳に落ちてきて、胸の奥まであったかくなる。
ほんとずるいなぁ、って思う。
こういう何気ない仕草とか……なんならもう、玲央の呼吸が触れるだけで、好きって、思わされちゃうし。
「なあ、さっきのさ。弱気になったとか、優月を信じてないとかじゃなくてさ」
「……ん」
「急がなくていいからって、一回言っておこうと思っただけだからな」
「……うん。分かった」
優しい声に、ふふ、と笑ってしまう。
……急いでるのかな。
…………まあ確かに。
付き合ってすぐ、家族に会ったりしてて。不思議だけど。
別に無理矢理急いでいるというよりは、そういう縁みたいな感じがあって、そうなってるだけで……。
希生さんなんて、蒼くんのところで偶然会っちゃってるしなあ……。
「……オレ、玲央が居てくれたらなんでもいいよ?」
「ん。分かった。ていうか、それ、オレもだから」
クスクス笑いながら、優しく地肌をマッサージされてると。
なんかくすぐったくて。きもちくて。
シャワーで流し始めてくれたのだけれど。
耳の側、指がくすぐって、びく、と震えてしまった。
「ひゃっ……!」
びくついて、首をすくめちゃうと、玲央が笑った。
「目はつむってて」
「……っひ」
ぞく、としてぎゅうっと目をつむる。
「泡、ついちゃったから」
「……っっん、ン……」
耳の中に手が入って、くるん、と滑らされて、変な声が出た。
「や、くすぐったい……」
顔、めっちゃ熱い。だって、洗ってくれてるだけなのにオレってば変な声だして……っっ。
「あ、悪い」
玲央はそんな風に言うので、わざとじゃない、のかな。
でも、耳って、玲央がキスするときとか、よく触るし、ベッドでも、耳に舌、とか入れるし。
絶対、玲央と付き合ってから、耳がヤバい場所になっちゃった気がしてるんだよ。それまで、耳なんか、普通、触んないし。なんともない場所だったのに。
やばい。なんか。下。反応、しそう。
お風呂の中だから、見えないかな……っっ。
わーん、もう、早く、終わって、早く。
ぎゅうう、と目をつむって耐えていると、玲央が、はい終わり、と言った。
はあ、よかった……。
平気を装って、顔を上げるけど、なんか体の奥の方が、なんだかゾクゾクしてて……。
もうオレのバカ……、と思ってると。
不意に玲央に手首を掴まれて、くるん、と逆向きにさせられてしまった。
その上、お湯の中から、引きだされて、しまい…………。
「なんで、反応してンの?」
クス、と笑う玲央の瞳に。
羞恥に、顔が、真っ赤になった、と思う。
「だって……玲央が、触り方……」
「オレはただ耳洗ってあげてただけだろ」
からかうような言い方。
でも、愛しそうに、オレを見下ろしてくる。恥ずかしすぎて、目に涙が滲むと。
ちょっと目を見開いた玲央が、くす、と笑った。その手が伸びてきて、オレのを、包み込むみたいに触れてきた。一瞬で、心臓が、跳ねる。
「……んん」
「……可愛すぎじゃねえ?」
耳もとにかかる低い声が、体の奥に響いてしまう。
「……っぁ」
急に激しく刺激されて、腰がびくんと揺れた瞬間、強張った体を抱き寄せられる。首筋に舌が這ってきて、その熱さに、ぞわっと背筋が震える。
「……ん、ぅ」
喉の奥から勝手に声がこぼれて、玲央にぎゅ、としがみつく。
「んん、ぁ、……っ」
気持ちいとこ、刺激されてあっという間に、全身熱くなる。
「かわいーな」
「ンッ……んん」
敏感になりまくってる耳に玲央の舌が入ってきて、脳に響く水音に大きく震えた。
「ん、や……っ……ん、っぁ」
あっという間に玲央の思うままで。
うう。くやし……。
と思うのだけれど。
普段は涼しい顔してる玲央の、甘ったるくて熱っぽい顔を見られるこの時が。やっぱり好きすぎて。
ついつい自分から、玲央の唇に、唇を寄せてしまった。
(2025/9/14)
ブクマ5555、楽しみにしてたのに見られなかった…( ´∀` )💦
いつもありがとうございます✨
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