【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇初めての夜

「新鮮」*玲央

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 クロのおやつを買って戻ると優月が居て。
 キスしていいか聞くと、すぐに頷いた。

 頷きはしたけれど、本当にいいのか、
 触れるだけの、キスを、続けた。

 キスを離して見つめると、優月は涙目のまま、見つめ返してきて。
 舌を入れても、ちゃんと、受け入れてくれる。

 一生懸命、息を吸ってるのが可愛くて、そのままにしておいたのだけれど、少し苦しそうになってきて。ふ、と笑ってしまった。

「……鼻で息しろよ」

 教えてからまたキスすると、少し鼻で吸う気配。それとともに、ふ、と声が漏れる。

 ――――……こいつの反応……ほんと、ツボ。

 思うまま、深くキスして、優月の口内をめちゃくちゃ舐める。
 激しくすると一瞬退こうとしたので、頭を押さえて、深くキスする。


「……んンっ……ん、う……っ」


 また、息ができなくなってる。
 苦しそうに、眉が寄って、声が漏れる。

 舌を絡めて、思うままにキスしてると、触れてる首筋が、熱くなってきて、じんわり、汗ばんでくる。


 …舐めたい。
 なんて、思った瞬間。

 優月から、ふっと力が抜けて、後ろにかくん、と倒れそうになった。咄嗟に支えて、自分の方に引き寄せると。

 倒れそうになったことすら、ちゃんとは分かってなさそうな、とろん、とした顔。 ふ、と笑ってしまう。

「――――……すげえ、気持ち良いって顔」

 言って、その頬に触れて、こめかみあたりにキスすると、優月は、オレの服を、きゅ、と握ってきた。


「……優月――――……このまま、部屋、来る?」
「――――……」

「来たら……もっと、色々しちまうけど」


 そう言ったら。
 優月は、一瞬黙って。 けれどすぐに、「……行く」と言った。

 クロのおやつを優月に渡すと、食べさせながら、なんだか丸くなってる。
 上からしばらく見ていたけれど。少し屈んで、髪から首筋に触れてみた。


「っあ……」

 そんな声が漏れて。
 ――――……何だか、もっと、触れたくなる。


「――――……お前ほんと、良い反応……」

 言うと同時に優月の手を掴んだ。

「――――……行ける?」
「……うん。クロ、またね」

 クロに別れを告げて優月が立ち上がったので、そのまま、歩き出す。


「――――……玲央、手……」
「ん。……嫌?」


 優月を見下ろすと。
 視線が、少し、戸惑うように、揺れて。
 けれど、最終的には。
 
「……や、じゃない…」

 言って、微笑んだ優月が、なんだか可愛く思えてしまって。
 余計にしっかり手を握って、自分に引き寄せた。

 大学の裏手なので、あまり人も歩いていない中、マンションについて、一旦手を離した。エレベーターに入って、ドアを閉めると。

 優月が妙に固まってるのに気づく。

「――――……緊張してる?」

 聞いたら、とても素直に「うん」と頷く。少し話そうかなと思って。


「……優月って、名字、なに?」
「花宮」

「学部、どこ?」
「教育学部……」

「何年?」
「2年」

「教師になるのか?」
「まだわかんない」


 名字聞かなかったな、とか。
 学部どこで何年なんだろ、とか。

 優月に会わない週末、少し気になってた事を、続けて聞いてみる。

 …タメなのか。
 教育学部。先生とか。……イメージはあるな。

 まじめそうだし。優しい良い先生になりそぅ。
 ……でも、小学校までかな。それより上だと、優月がからかわれて遊ばれそう。なんて思って、少し笑ってしまう。

 優月は、答えてはくれているけれど、心ここにあらずな感じ。

 マンションに色々連れてきた中で、優月が一番静か。 感想とかも、一切無い。

 リビングに通した後、オレが冷蔵庫に水を取りに行ってる間、一歩も動かなかった。


「ありがと……」
 水を受け取って、静かに飲んでる優月に、
 
「飲んだら、シャワー浴びよ」

 と囁いたら。ぐっと詰まって、むせ始めた。


「……大丈夫か?」


 …初めての奴って、皆こんなんなのかな。

 高校の途中で、普通に付き合うのに疲れてからは、慣れてる奴と慣れた流れで、進めてきたから。

 反応がいちいち、新鮮。


 今の優月なんて、ディープキスしてからもっと色々する、と宣言して連れて来てるんだから、シャワー位当たり前と、思うのだけれど。

 優月にとっては、違うらしい。

 むせてる背を、さすりながら、笑ってしまう。
 やっとおさまった、優月の頬に、手をかける。
 

「オレは、優月がシャワー浴びなくても全然いいけど」
「――――……っ」

「そのままでオレに色んなとこ、なめられるの、優月は嫌がりそうな気がして。……平気なら、このままベッド行くけど、どーする?」


 そう聞くと。
 見ている目の前で、予想していた通り、優月が真っ赤になって。

 
「……っシャワー、貸して」

 と、言った。

「ん、いーよ」

 まあ、そうだろうと思ったけど。
 くす、と笑って。
 その髪を撫でる。

 触り心地の良い髪。
 ――――……セットしてるとかじゃなくて、適当に切ってもらったのをそのままにしてる感じ。でもなんか、さらさらしてて、柔らかくて、触り心地が良い。

 ……つか、優月って、どこでも触り心地、良いな。

 頬も、髪も、首筋も。
 さっき握ってた、右手も、触り心地、良かったしな。


 もっと、色んなとこ、触りたい。
 そんな事を思いながら、なにやら一生懸命見上げてくる瞳を見つめる。



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