23 / 856
◇初めての夜
「イイかも」*玲央 ※
しおりを挟む優月が、オレに何かしてくれようとしてたのが、可愛くてからかっていたら、それに対する反応がますます可愛くて。なんかあまりに可愛すぎて、正直少し困った。
……つか、全部初めてなのに。
何をしてくれようとしてたんだか。
深く、口づけて、思うままにキスしてると。
「……ふっ……ン」
おずおずと、優月から舌を触れさせてきて。
ゆっくりと、絡めてきた。
……可愛すぎ……。
しばらく、優月の動きに合わせてやってると。
は、と熱い息が、間で零れた。
「……ゆづき」
少し、離して。赤い顔を見つめると。
「――――……お前、すげえ、かわい」
思わず、その言葉が、漏れてしまう。
脱衣所に連れ込んで、肌に触れると。
柔らかさとか、滑らかな感じとか。
好みとしか言いようのない感じ。ずっと触っていたくなる。
オレが脱いでからは、オレからずっと視線を逸らす、そんな反応も新鮮。
オレのする事に、いちいち、恥ずかしがって、でも、拒否らないのが、また可愛くて。無性にキスマークをつけたくなって、首筋に吸い付いたら、ものすごい驚いた顔で、何してるのか聞かれた。
いちいち可愛くて。やばいし。
なんか、オレ……すげえ浮かれてて。オカシイ。
いつもなら脱がせて一緒にバスルームに連れ込むけれど。
心の準備して、と少し離れたのは。
少し、自分も落ち着こうと思ったのと。全部恥ずかしがって戸惑いまくりの優月に、ある程度覚悟して欲しかったから。
すごく時間がかかるかもなと思いながら、先にシャワーを浴びていると。そんなに待たずに、ドアが開いた。
振り返ると、まっすぐな瞳がオレを見て、また少し赤くなった。
「……準備、できた?」
と聞くと。
「一応……した」
小さな声で、でもちゃんと、そう返ってきた。
「一応でも十分。 ……優月、来いよ」
手を出すと、すぐに触れてきた。そのまま引き寄せて抱き締めると、腕の中でまた真っ赤になった。
どこを触っても、震える。こらえているようなのに、声が漏れる。
……なんでこんなに、可愛いかな。
初めてのくせに。
……初めてだからなのか?
肌白くて、色素が薄いのか、乳首や性器も綺麗で。
同じ男なのに、なんでこんなに綺麗かな……。
「――――……綺麗、ここの色……」
思わず、ふ、と笑ったら、真っ赤になった。
首筋が弱すぎる優月。歯を軽く立てるだけで、大きく震える。
「ん……ぅン……」
下を激しく刺激すると、仰け反る。
「――――……もうイきそう?」
「………っ」
「ちゃんと言って」
「……っうん、イき、そう……」
ちゃんと、言う優月に、ふ、と笑んでしまう。
恥ずかしがるくせに、我慢したりしなくて、ものすごく素直。
つか、こんなの――――……どうしたって、可愛い、よな。
「ん。良く言えたな」
つい、そんな風な言葉が出てきてしまう。
普段、全く言わない言葉と、浮かばない感情に、自分でも戸惑うし、なんだか心の中が、くすぐったい。
それでも。目の前にいる、優月を見てると。
自然と、そうなってしまう。
「いいよ、ゆづき――――……好きな時に、イッて」
「……ん、んっ……っ……」
抱き締めてる腕の中で、びくん、と、震えて。
優月が手の中でイった。
震える体も。声も、上がった息も。
――――……なんだろ、すげえ、イイかも。
「――――……優月」
どんな顔でイったんだろうと、自分の方を向かせると。
上気した頬と、涙が潤んだ瞳。
……ヤバい。
……可愛い。
キス、したい。
「……んン……っ……」
体、くっついてるのも。
「……裸でくっつくの、気持ちいい?」
「……うん」
「オレも、お前の肌、気持ちいい」
頭を、撫でてしまう。
そのままぼー、としてる優月の頭を洗い、自分も適当に洗うと、バスルームを出た。バスタオルで拭いてやって、バスローブを着せてやると、優月はくす、と笑った。
「何?」
「テレビとかでしか見ない」
「え?」
「バスローブって、着るの普通なの?」
「ああ、バスローブ…… 楽だから」
どうせ、すぐベットで脱ぐから服要らないし。
……脱がせやすいし。そういう意味で楽。
色々思うけど、無邪気にふうん、と言ってる優月にはとりあえず黙っとく。
「バスローブなんて、実家にもないし、うちにもないし」
「――――……まあ、そっか……」
優月を鏡の前に立たせて、ドライヤーのスイッチを入れた。
風を優月にあてると、きょとんとした顔で振り返った。
「かけてくれるの?」
もうかけ始めてるのに、そんな質問。
オレが頷くと、優月はじっとオレを見つめてから、ものすごい、嬉しそうに笑った。
「……玲央、優しい。ドライヤーかけてもらうとか、髪切る時位」
前を向いて、鏡越しにオレに視線を向けて、にこにこ笑う。
「ありがと、玲央」
「……ああ」
さっきまで、あんなエロイ顔して、びくびく震えてたのに。
そんなのかけらもない顔で、微笑んでる。
――――……いつもならざっと乾かしておわりなのに、
……やたら丁寧に乾かしてしまった。
734
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる