【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
113 / 856
◇お互いに。

「贅沢なシャンプー」*優月

しおりを挟む

 夕陽が綺麗で。

 玲央が優しくて。日没まで一緒に空を見て。
 キスされて。 なんかロマンチックだなーと思ったりして。

 好きな、オムライスのお店に一緒に行った。
 オレが払うと言い張って、払わせてもらった。

 なんか、いっつも、出してもらってるってどうなのだろうと思って。
 そりゃお金持ちだから玲央的には全然良いんだろうけど。
 ……とりあえず、オレが連れていったお店だし、とりあえずここだけ払わせてと。   そしたら、面白そうな顔をしながら、じゃあ、ありがと、と言ってくれた。
 なんか楽しいなあ~とウキウキしながら歩いて、玲央のマンションに着いた。それで、玄関に入ったら――――……。

 何か、よく分からないけど。
 急に壁に押し付けられて。

 玲央が、急に、めちゃくちゃ、発情……したみたいになって。

 なんか――――……キスから、始まったのは、分かってるんだけど。

 上から下まで、なんか全部、一気に色んな事をされてるみたいな感覚で。
 全然ついていけないまま、頭真っ白にさせられて。

 ……最後だけ、嫌すぎて、はっきりしてた。

 シャワーも浴びてないのに、口でされて。
 それだけだってありえないのに。


 また、飲ん――――……わーわーわー。もう、無い……。
 ほんと、無い。

 ……もう。



 怒ってたら、シャンプーしてくれるって。
 いつまでも怒ってても……ていうか、オレが怒るのも何か違う気がして。

 頷いたら、抱き上げられて、また運ばれてしまった。


 ……玲央って。
 オレのこと。


 ……何だと思ってて、こんな風に、優しくするんだろう。


 また触られちゃうかなとビクビクしてたけど、体は普通に洗わせてくれて。その間にお湯が張られたバスタブに、言われるままに、浸かる。

 バスタブに寄りかからされて、頭を外に出させられて。

「――――……目、つむってな?」

 玲央はシャワーを緩く出すと、オレの髪を流した。
 目を伏せて、優しい手の感触を感じていたら。

 玲央が、口ずさむみたいに歌い始める。


 わーなんか。
 ……すっごく……贅沢な気がする……。


 シャンプーの良い匂いがして、優しい手が頭に触れる。


 

 ――――……歌、上手だなー……。
 なんか全部、心地よい。


「優月、きもちいい?」
「……うん。すごく……」

「眠い?」

 くす、と笑って。

「眠くない……玲央の歌が、好き」
「ん?――――……あ、今の歌?」
「うん……続き、歌ってほしい……」

 玲央がくす、と笑う気配がして。 
 顎をくい、と上げられて、ちゅ、とキスされた。

「――――……しにくいな」

 そりゃそうだよね。
 顔の向き、上下逆だし。

 クスクス笑ってしまう。

「流してからにしよ」

 そんな風に言いながら、優しくまた洗い始めてくれる。

 
「……かゆいとこは?」
「んー……ありません……」

「ん」

 クスクス笑って。それから、また歌を口ずさんでくれる。


    玲央の声。
    ……ほんと。いい声。

 洗い終えて、丁寧に流されて。
 それから、まためちゃくちゃ良い匂いのリンスがつけられる。


「マッサージしてやる。サービスな?」
「……ん」

 気持ちい。
 一気に眠くなってくる。

「……何でマッサージまで上手なの……?」
「オレが店でやられてるのを真似してるだけ。気持ちいい?」
「……うん」
「じゃーよかった」

 クスクス笑いながらの、優しい手。


 ――――……ああ、もう気持ちよすぎ……。



 なんか。
 ……玲央と居るのって。幸せ過ぎて。



 ――――……頭ん中、どろどろに、溶けそう……。






しおりを挟む
感想 830

あなたにおすすめの小説

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

可愛いがすぎる

たかさき
BL
会長×会計(平凡)。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

心からの愛してる

マツユキ
BL
転入生が来た事により一人になってしまった結良。仕事に追われる日々が続く中、ついに体力の限界で倒れてしまう。過労がたたり数日入院している間にリコールされてしまい、あろうことか仕事をしていなかったのは結良だと噂で学園中に広まってしまっていた。 全寮制男子校 嫌われから固定で溺愛目指して頑張ります ※話の内容は全てフィクションになります。現実世界ではありえない設定等ありますのでご了承ください

(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? 騎士×妖精

処理中です...