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◇お互いに。
「贅沢なシャンプー」*優月
しおりを挟む夕陽が綺麗で。
玲央が優しくて。日没まで一緒に空を見て。
キスされて。 なんかロマンチックだなーと思ったりして。
好きな、オムライスのお店に一緒に行った。
オレが払うと言い張って、払わせてもらった。
なんか、いっつも、出してもらってるってどうなのだろうと思って。
そりゃお金持ちだから玲央的には全然良いんだろうけど。
……とりあえず、オレが連れていったお店だし、とりあえずここだけ払わせてと。 そしたら、面白そうな顔をしながら、じゃあ、ありがと、と言ってくれた。
なんか楽しいなあ~とウキウキしながら歩いて、玲央のマンションに着いた。それで、玄関に入ったら――――……。
何か、よく分からないけど。
急に壁に押し付けられて。
玲央が、急に、めちゃくちゃ、発情……したみたいになって。
なんか――――……キスから、始まったのは、分かってるんだけど。
上から下まで、なんか全部、一気に色んな事をされてるみたいな感覚で。
全然ついていけないまま、頭真っ白にさせられて。
……最後だけ、嫌すぎて、はっきりしてた。
シャワーも浴びてないのに、口でされて。
それだけだってありえないのに。
また、飲ん――――……わーわーわー。もう、無い……。
ほんと、無い。
……もう。
怒ってたら、シャンプーしてくれるって。
いつまでも怒ってても……ていうか、オレが怒るのも何か違う気がして。
頷いたら、抱き上げられて、また運ばれてしまった。
……玲央って。
オレのこと。
……何だと思ってて、こんな風に、優しくするんだろう。
また触られちゃうかなとビクビクしてたけど、体は普通に洗わせてくれて。その間にお湯が張られたバスタブに、言われるままに、浸かる。
バスタブに寄りかからされて、頭を外に出させられて。
「――――……目、つむってな?」
玲央はシャワーを緩く出すと、オレの髪を流した。
目を伏せて、優しい手の感触を感じていたら。
玲央が、口ずさむみたいに歌い始める。
わーなんか。
……すっごく……贅沢な気がする……。
シャンプーの良い匂いがして、優しい手が頭に触れる。
――――……歌、上手だなー……。
なんか全部、心地よい。
「優月、きもちいい?」
「……うん。すごく……」
「眠い?」
くす、と笑って。
「眠くない……玲央の歌が、好き」
「ん?――――……あ、今の歌?」
「うん……続き、歌ってほしい……」
玲央がくす、と笑う気配がして。
顎をくい、と上げられて、ちゅ、とキスされた。
「――――……しにくいな」
そりゃそうだよね。
顔の向き、上下逆だし。
クスクス笑ってしまう。
「流してからにしよ」
そんな風に言いながら、優しくまた洗い始めてくれる。
「……かゆいとこは?」
「んー……ありません……」
「ん」
クスクス笑って。それから、また歌を口ずさんでくれる。
玲央の声。
……ほんと。いい声。
洗い終えて、丁寧に流されて。
それから、まためちゃくちゃ良い匂いのリンスがつけられる。
「マッサージしてやる。サービスな?」
「……ん」
気持ちい。
一気に眠くなってくる。
「……何でマッサージまで上手なの……?」
「オレが店でやられてるのを真似してるだけ。気持ちいい?」
「……うん」
「じゃーよかった」
クスクス笑いながらの、優しい手。
――――……ああ、もう気持ちよすぎ……。
なんか。
……玲央と居るのって。幸せ過ぎて。
――――……頭ん中、どろどろに、溶けそう……。
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