【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇お互いに。

「好きでやばい」*優月

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 信じられない。

 オレってば。頭マッサージされながら……。
 ――――……ほんとに寝ちゃった。

 起きたら、抱っこされてる、みたいな。

 ……失態。
 ……だけど、何でか玲央はずっと優しくて。

 ――――……極めつけが。


 そばに居ろよ、だって。


 ……嬉しくて、頷いちゃったけど。

 ……んー――――……どういう意味だろう?

 玲央の側に居ろよって。

 ……ほんとに居ていいなら。
 ……オレ、ほんとに玲央の側に、居るけど。

 ――――……でも、そもそも。
 オレと玲央って。
 住んでる世界が違いすぎて。

 たまたま同じ大学に居るというだけで。

 うちの親も、わりとお金には余裕があるのだと思うのだけど。住むマンションと別のマンションとか。しかもこんな高そうな。
 うーん……桁違いな気がする。美咲情報だと、超大金持ちって言ってたし。

 ていうか。
 バンドのボーカルしてて、超人気があって、恋人は居ないけど、相手はいくらでもいて。そこだけだって。

 不思議な位、オレとの接点とか、共通点が見られない。
 なんかもうここまでくると、かぶる部分が無さ過ぎて、笑ってしまうくらい。

 そばにいろ。

 ――――……いつまで?
 ……玲央が飽きるまで?

 少しでもいいと思って。……最初、玲央と居たいと思ったけど。

 今、居たいから。
 少しの間でも良いから。

 ……ていうか、一度だけでも、良いって、思って。

 玲央についてきたから。



 そばに居ろよなんて言われると。
 すごく、嬉しいんだけど。 どう側に居れば良いのか分からなくて。

 ……ちょっと複雑な気分。
 窓から、綺麗な夜景を見ながら、ぼー、と考えていると。


「優月、水」
「……ありがと」


 この渡される水も。
 ――――……売ってるの見た事のない、ラベル。
 ……んー。全然分からないけど。……んー。高そう。

 ……こういう所から、色々、違うんだよね……。

 苦笑いが浮かびそうになりながら、ソファに腰かけると。
 玲央はオレの隣に座って、水を口にした。


「……どーした?」
「――――……ううん。お水、美味しい」
「ん」

 何となく思い悩んでる事は、何て言ったら良いか分からなくて。

 仕方なく、今素直に思ってる事だけ伝えたら。
 よしよし、と撫でてくれる。

「――――……お前さ、今週ずっとオレと居るだろ?」
「……うん?」

「いつもは、何して過ごしてンの?先週までとか」

 ……それ、オレの事、知りたいって思ってくれるのかな……?
 そんな質問に、何だか少し嬉しくなってしまう。


「……学校からまっすぐ帰る時もあるし。ご飯食べに行く事もあるし。カラオケ行ったり…… 絵を描きに行ったり。あ、火曜じゃなくても行っていいからさ。好きな時に行くし。…… あと、実家に帰ったり……かなあ?」

「バイトとかは?」
「父さんがね、勉強に専念していいよって言ってくれてるから……でも、全然働かないのもなんかなーと思って、短期で色んな事してるよ? やってみたいこと、やってる感じ」
「……たとえば?」

「ほんと色々。 ――――……試験監督とか。催事の店員とか。去年はクリスマスケーキを作る工場に行った。面白かったよ。絵の先生の補助とかも、先生から回ってきたり。蒼くんの個展の受付の手伝いしたり……?」
「――――……ふうん……」

 ぐい、と引かれて、背を、玲央の体に完全に預ける形になる。


「……玲央?」

 後ろ振り仰ごうとしたけれど、ちゅ、と頭にキスされて。
 そのまま、背中を預けて、落ち着いた。


「……なんか」
「ん?」

「……すごく、甘えてる、気がする」
「このカッコ?」

 クスっと笑う玲央に、なんとなく、頭でスリスリしてみる。


「……このカッコもそうだけど…… なんか、全部」
「……全部って?」

「んー……」

 ずーと、スリスリしてたら、笑った玲央に止められて、ちゅ、とこめかみにキスされる。



「……玲央が、優しくて……  なんか全部甘えてる気がする」
「そうか?」

「……そうだよ」


 ほんと。
 あんまり優しくされて。
 そばに居ろとか言われて。

 勘違いしちゃったら、どうしてくれるんだろ。

 ……って。
 自分が思ってる内は、とりあえずは、まあ……大丈夫……かな。


 なんて、思ってたら。
 腕が脇の下から入ってきて、胸の前で、ぎゅーと抱き締められた。


 
「別にいーじゃん。――――……甘えてろよ」

「――――……」
 
 なんかもう、胸が。
 バクバク壊れそう、とかじゃなくて。

 とくとく、みたいな。 少し早い、鼓動。





 なんかこれは。
 ……ほんとヤバい。


 ――――…… 好きで。






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