【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇週末の色々

◇そばに。*玲央

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 どうすっかなー……。

 何となく、ずっと考えてた。
 ちょっと間が空いたライブだったからか、セフレの中でも、付き合いが長い奴は、ほとんど今日来てる。

 それを確認してから、また色々考える。


 ――――……ライブで、Loveの意味が分かると言ったのは、そういう意味も含ませて言った。いきなり言うよりも、聡い奴はそこらへんで気付いてくれると思って。その後、言いやすいとも、思ったから。

 でも、あまりにはっきり言うのもなと、ぼやかしたからか、打ち上げが始まって近づいてくる奴らは、気にしてる風もなく、誘ってくる。

 ……今後、オレが優月と付き合う、として。
 隠し続けるなんて、不可能。

 一緒に居る所も見られるだろうし、街を歩いてたって、オレの事を知ってる奴は結構居る。ずっと、隠れていくなんて、無理。

 だから、優月と一緒に居る事は、隠さない。

 でも、セフレと切ってない状態で、優月と付き合ってるなんて言ったら、優月に迷惑がかかるかも。恋人が出来たら終わり、とは言ってはあるけど、実際は、順番守ったほうが、スムーズな気がする。
 と、したら――――……。

 オレに、片思いの相手が居るって事にするのが良い気がする。

 好きな奴ができて、迫りたいから、もうセフレはやめたい。その方が、きっと良い。

 ……実際、片想いに近い気がするし。
 優月はオレの事が好きだとは言うけど、セフレとか理解できない部分もあるし、割り切ろうとしてるところもあって、オレを完全に信じてはない。好き、一緒に居たいと伝えると嬉しそうだけど、それを全部本気にはしてくれていない。

 誘うのも、一緒に居たがってるのも、全部オレから。
 一番最初から、全部オレからだった。

 優月はオレを好きだって言ってくれてるけど――――…… 多分優月なら誰とでも幸せになれると思う。

 オレが手を離せばきっと、女の子と、普通の恋もできると思う。
 優月と居るのを幸せだと思う子は、絶対居るだろうし。

 ――――……でも。
 できるなら、離したくない。

 側に、居て欲しい。
 オレの手で、幸せに、笑わせておきたい。


 オレ1人で先走ると――――……失敗すると面倒な事になる気がする。


「――――……なあ。今ちょっと真面目な話、していいか?」

 隣に居た勇紀に言う。

「んー、もちろん。それって皆で?」
「出来たら、皆で」

 勇紀が、メンバーと、美奈子さんと里沙さんを呼んだ。
 このメンバーで集まってる時は、さすがに誰も寄っては来ない。

 何何?という、皆の顔を見ながら。

「悪い、打ち上げ入ってからで……あのさ。オレ本気で、セフレやめにしたい、んだけど。……とにかく優月に、迷惑が掛からない方法で終わらせたくて。どうすべきだと思う?」

 最後まで言った瞬間、皆が一斉に苦笑い。

「なんだよ?」
 首を傾げながらそう言うと。

「……なんか。変われば変わるっつーか」
 甲斐が笑う。

「しかも優月に迷惑かからない方法って……そこが一番なんだと思うと、なんかおかしくて」
 勇紀もクスクス笑う。

「からかってねーで話そうぜ」
 自分も笑いながらも、颯也はそう言う。

「んー、つか……そのままほっといて、誘われたら断るっつーんじゃダメなのか?」
 甲斐の言葉に、オレは首を振った。

「それだと、優月がいつまでたっても、信じないから、無理」
「――――……」

 また苦笑いの全員を、視線で流す。
 颯也がオレをまっすぐに見た。

「別に一晩限りの奴にまで連絡する必要はないだろ? そこらへんは、お前が、恋人が出来たって話でも流せばいいし」
「それはじゃあこっちでやるわよ。SNS使ってさりげなく、情報流す」

 美奈子さんが言って、里沙さんも頷く。

「恋人っていうか…… オレが片思い中、みたいにできますか?」
「――――……恋人、じゃなくて? 片思い?」

「オレが勝手に片思いしてて、これから迫るからって方が良いかと。実際そんなようなもんだし」
「――――……オッケイ。じゃあそれで上手く流すわ」

「今日1人女友達で、結構発信力ある子が来てて。……オレからそっちにも頼んでみてもいいですか?」
「うまくできる子ならOK」

 多分、と頷いた。

「――――……付き合い長い奴は、今日ほとんど来てんの?」

 勇紀の問いに、来てる、と答えると。

「ライブでLoveの意味が分かるとか言ってたし、Stay歌ったし。分かる奴は分かってるかもしんないけど……でもな」

 颯也がそう言うと、甲斐が頷いて続けた。

「長い奴は、直接、好きな奴が出来たって送るのが一番なんじゃねえの? だって、そういう約束で関係もってんだろ?」
「だよね。宣言してる奴には送った方がいいよ」

 勇紀も頷いてる。

「分かった。じゃあそーする。――――……てことで、オレこれからは、好きな奴が居るっつーことでいくから、よろしく」

 そう言うと。
 皆、ぷ、と笑って。

「ほんと、玲央じゃないみたい。片想いとか言っちゃってるし」
「ほんとに玲央なの? 中身違うんじゃねえ?」
「1週間で別人だよな……」

「あら、私は前の玲央がああだったからこそ、超萌えるけど」
「私もー! しかも会って1週間でとか。ドラマみたいよねえ?」

 勇紀と甲斐と颯也。プラス。美奈子さんと里沙さん。
 皆苦笑いだったり、クスクス笑いだったり。

 とりあえず、全員スルーして、オレは息を付いて、顔をあげた。



 もう、なんと言われようと、優月が不安に思う事は、無くしたい。
 しかも、なるべく、早く。


 素直に、まっすぐ、信じてもらえるように。






 
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