【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇週末の色々

◇価値観*玲央

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「ゆづき……」
「うん?」

「シャワー、明日の朝で良い?」
「うん」

「――――……このまま寝るか」
「ん」

 ふふ、と笑う優月。

「……優月」
「ん?」

「明日、送るから」
「ん?」

「仕事んとこまで送る」
「え。いいの?」

「――――……で、おまえが働いてる間色々して。昼ご飯、外出れるんだろ? 一緒に食べようぜ?」
「出れるけど……え、でも、何時間もあるよ?」
「いい。 オレは用事済ませとくから」

「あと、帰りも。一緒に帰ろ」
「――――……」

 優月がふ、と笑んだ気がして、腕の中の優月を覗き込むと。


「嬉しいけど――――……そんなに待ってたら疲れない?」
「やることは、あるからさ」

「……んー。……帰ってくれてても、いいんだけど」
「嫌なら帰るけど」

「嫌な訳ないじゃん…… いいの??」
「いい」

 ――――……まあ確かに、今までの人生で、
 やった事のない、事だけど。
 
「ありがと……あ、でも、ほんとに暇になったら帰ってて?」
「なったらな」
「うん」


 優月をオレの肩に乗っけて、軽く抱きしめていたけれど。


「寝辛いか?」
「んー寝辛くはないけど……」
「けど?」

 優月が、オレから少し離れて、枕の上に頭をのせた。
 そのまま真正面から見つめて、ふ、と微笑んだ。

「玲央が肩痛くなっちゃいそうだから」

 オレの手にそっと触れて、軽く握る。
 大事に包んでるみたいにオレの手に触れたまま、じっとオレを見つめると。


「……なんかオレさ」
「ん?」

「こんな風に、男の人と寝るとか……考えた事も無くてさ」
「――――……」

「この1週間、ずーと、何でだろうって気持ちもあったんだけどね」

 じーと、オレを見つめたまま。


「もうなんか……玲央じゃないと無理って、思う位で」
「――――……」


「人って、1週間で、こんなに価値観変わるんだなーて……」


 ぽわぽわとした言葉を、ゆっくりした口調で話す優月が、無性に愛しい。

 ――――……つか、価値観の話をするなら。
 オレの価値観のが変わった気がするけど。


 変わったというか、もう180度変換。みたいなレベル。


「……優月」
「ん?」


「オレのマンションに、来ないか?」
「え」

「――――……引っ越してきてもいいけど。……急ぎすぎ?」
「……ん、と。 嬉しい、けど――――……まだ、早い……???」

「まだ早いって思うなら、とりあえず、生活に必要な物とか、学校のもの全部、オレんちに、入れて? それでしばらく過ごして、オレと暮らして問題ないってお前が思えたら……引っ越してきて」
「――――……」

 そう言ったら。しばらくオレを見つめていた優月は。
 ふふ、と笑んだ。


「……玲央の家、誰も入った事ないんじゃないの?」
「無いよ」

「――――……良いの、オレ、入るどころじゃなくて、今の話だと、暮らす事になっちゃうみたいだけど……」

 オレは、優月の手が触れてない方の手で、優月の頬に触れて、ぷに、と摘まんだ。


「価値観がすげえ変わったのは、オレもだし」
「――――……」

 体を起こして、優月にキスして。


「……一緒に、居てほしいんだよ、優月」


 そう言ったら。
 優月は、じっとオレを見つめて。
 それから、ふ、と瞳を緩めて。泣きそうに、笑った。


「はー……もう、玲央」
「――――……」



「……好き過ぎて、困る、んだけど……」


 言いながら、オレの首に手をかけて、少しだけ力を入れて引いて、
 下から、オレの唇にキスをした。


「……一緒に、居たいから。居るね」
「ん」


 頷いて。
 見つめあうと。

 優月、何でか涙目だし。


「――――……優月」

 抱き寄せて。
 よしよし、と頭を撫でると。

 優月が、クスクスわらった。



「――――……玲央に撫でられるの、好き」
「……オレもお前撫でんの、好き」


 クスクス笑いあって。
 ふ、と息をつく。


「寝よ、優月」
「ん」

「……おやすみ」

 言いながら、額にキスすると。優月はそのまま、すり、とオレの体に頭を寄せてきて。「おやすみなさい」と言った。



 ――――……なんかもう。
 この先ずっと、こんな風にしながら、優月と眠りたいな……。


 なんて思いながら。
 すう、と寝息を立て始めた優月の髪を、かなり長いこと、撫でてから。

 すごく、穏やかな、眠りについた。



 


 

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