【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「恋人」

「チョコとkiss」*優月 ※

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 コンビニから急いで出て来て、いつもの所に向かう途中に、クロを見つけた。抱っこして、いつもの芝生に座って、クロにおやつをあげる。

「美味しい? クロ」

 美味しそうに食べてるクロに話しかけながらおやつをあげて。
 ふと思い出した。

「……次行く時がちょっと怖い」
「ん? ……ああ、コンビニか」

 オレのセリフに一瞬不思議そうにした後、すぐに可笑しそうに笑う。

「もー、笑い事じゃないよ、しかもはっきり言ってもないしさ」
「もう分かっただろ、あれで」

「そうだけど、仲良しとしか言ってないじゃん?」
「まあ。そういえばそうか」

「絶対すっごい聞かれる……玲央、次も一緒に行こうね?」

 クロをナデナデしながらそう聞くと、オレを見つめて玲央は、クスクス笑った。

「いいよ」

 ちょっとホッとする。
 オレだけだと、もう絶対、狼狽えて終わってしまう。


「お茶飲むか?」
「ありがと」

 麦茶を渡されて、一口飲んだところで、思い出した。
 よしよし、とクロを撫でながら、

「玲央、チョコ食べたい?」
「チョコ?」

「うん、美咲がくれたの。すごいおっきいチョコ。美味しいって」

 鞄をがさごそ探して、美咲からもらったチョコを3こ、取り出す。

「ん」
「どれが良い? 味が違うんだって。感想聞かせてねって、言ってた」

「どれでも――――……じゃあ赤いのは?」
「んー……」

 赤い包み紙のチョコを見ると、ミルクと書いてあった。

「これ、ミルクだって。はい」

 玲央の手に、ころん、と赤い包み紙のチョコを渡す。

「美咲、チョコ好きだからさ、美咲が美味しいって言うなら、ほんとに……」

 話しながら、ふと、玲央の顔を見ると。

 ぱく、とチョコを口に入れた玲央のほっぺが、ぷくっとして、可愛い。


「あは、可愛いね、玲央」

 でっぱってる部分を、つん、と指先でつついて、ふふ、と笑ってしまう。

 これかー、美咲がオレの口に入れるとこ見たいとか言ったの。
 玲央も可愛くなっちゃった。

 クスクス笑っていたら。
 黙っていた玲央に、つついた指先を取られて、そのまま、手首をぐい、と引かれた。

「え?」

 びっくりしてる間に、玲央の腕の中に居て。
 次の瞬間には、唇が、重なってきていた。


「んっ……??」

 片手は繫がれたまま。
 顎を片手で押さえられて、一気に深く、キスされる。


「……んン……っ?……」

 玲央の舌が、絡む。
 チョコが、めちゃくちゃ、甘くて、 
 甘い香りと、激しいキスに、頭、くらくら、する。

「――――……ん……っふ……?……」

 ゆっくり、唇が離れて、すり、と頬が撫ぜられる。
 ゆっくりゆっくり、瞳を開いたら。
 
「――――……美味しかった?……優月?」

 ふ、と瞳が優しく緩んで、クス、と笑われて。
 そんな風に、囁かれて。ちゅ、とまたキスされる。

 
「……え?」

 はぁ、と吐いた息が、熱い。すると、玲央は、ふ、と笑って。


「…どうだった? ミルク」

 と聞いてきた。


「……え?」

「チョコ。美味しかった?」


 やっと、質問の意味が分かった。

「……っ……味なんて、分かんない――――……」

「そう? しただろ、チョコの味」
「し、した、けど……」

 玲央が、ぺろ、と自分の唇を舐めて。


「確かにうまいかも。このチョコ」

 そう言いながら、オレがまだ手に握り締めていたチョコに、ふ、と気付くと。


「優月は? どっち食べんの?」
「……キャラメル……」

「金の方?」
「ん……」

 なんだかまだキスしてしまいそうな位近くで、玲央が楽しそうに笑う。
 白い包み紙のをオレの手から取って、オレの鞄にぽん、としまうと。


「優月、そっち食べて。オレもちょっともらう」
「――――……な、何する……」

「お前の口からちょうだい」
「……っなんか恥ずかしくて、無理……玲央、食べていいよ。あげるから」

 恥ずかしすぎてそう言うと、玲央はクスッと笑った。

「なんで? いつもキスしてるだろ。何が恥ずかしいンだよ」
「食べ物、間に入れて食べさせるって……っ」

 真っ赤になってるオレを見て、玲央はますます面白そうに、クスクス笑って。

「何がヤなの?」
「……っ何がって……っ?」

 何がも何も。嫌じゃないけど。
 ……なんか、めちゃくちゃ、恥ずかしいんだもん……っ。
 むり、と、ぷるぷる首を振っていると。

「じゃあ、チョコちょうだい」
「え?」

「食べさせて」
「……ん」

 何だか。見られてるだけで、ドキドキしてしまう。

 だってこれ、玲央の口に、入れたら、きっと。

「――――……」

 玲央の口に、チョコをそっと入れると。
 玲央が、口に入れられたチョコを、歯で、割る。
 

「――――……ん?」

 ふ、と笑んだ唇の奥で、そんな声を出しながら。
 とんとん、と唇に触れられて。

 そのまま、自然と、口を開けてしまうのは。何でなんだろう。

 そっと開けた唇に玲央の唇が触れて。
 甘い甘い固まりが、口の中に、入ってきた。

「……ン、ふ……」

 舌の間で、溶けて。
 甘い香りが、また、抜けてく。


「――――……っ……ふ…………ンっ」

 息が、ちゃんと出来ない。
 頭が朦朧として――――……。


「……んんっ……」

 舌が噛まれて、びく、と体が震えた。


 自分の反応に驚いて、うっすら瞳を開いたら。
 玲央の視線とぶつかって。

 ――――……心臓が、破裂、しそうなんだけど……。

 激しすぎる鼓動に、見つめ合っていられなくて、ぎゅ、と瞳を閉じたら。

 キスが少し外れて、ふ、と笑んだ気配がして。
 最後にもう一度、ちゅ、と唇にキスして。ゆっくり、離れる。



「――――……どっち?」
「……え……?」


 ゆっくりゆっくりと瞳を開ける。
 まっすぐ見つめ合ったら、また、優しく瞳が緩んだ。

 
「さっきのとどっちが美味しかった?」

 すりすりと、親指で頬を撫でられて、くす、と笑われる。


「――――……っわ、かんない……」


 すっかり涙目で、視界がぼやけてて。
 もう。全身、ポワポワする。

 クスクス笑う玲央に、よしよし、と撫でられる。


「……ほんと可愛いな、優月」
「……っ」


「オレ、キャラメルのが好きかなあ。 優月は?」
「……分かん、ない……」

 クスクス笑う玲央。


「あのチョコ、駅ビルん中に入ってたような気がする。今度買ってやるよ」

 ちゅ、とキスされる。
 頭を撫でられながら、少し離してくれる。


 ……人。
 居なかったよね……。

 少し顔を上げて、辺りを見回してから、はー、と息を付いた。
 隣に座ってたクロを撫でる。
 


「……玲央、の……キスが」
「ん?」


「……甘すぎて…… チョコの味の違いは分かんなかった……」


 クロを膝に乗せて、よしよししながら、そう言って。

 はーもう……とため息をついてると。
 ぐい、と引き寄せられてしまう。


「え?」
「――――……せっかく離してやったのに……」


 玲央まで何故かため息を付きながら、オレの肩を掴んで。
 ぐい、とひいて。


 またキスされる。



 遠くで。
 鐘が、鳴りだして――――……。


 しばらくして、玲央が名残惜しそうに、唇を離した。



「……続き、夜する」

 
 なんて囁くから。ただでさえ、もう、玲央の腕の中でくったりしてたのに。
 ますます、顔は熱くなって。


 ……だめだ、これ、もう。


 熱い頬を手で覆って。
 めちゃくちゃ大きなため息をついたら。




 玲央に、めちゃくちゃ面白そうに、笑われた。





 


 









後書き♡♡

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

(2021/12/12) 


プロット書いてた頃から、このシーンだけ結構出来てて。
どこに入れようかなとずっと思ってて(*´ω`)
他の投稿サイトの333ページに合わせてみました(*'ω'*)。
アルファさんでは303ページです(^▽^) ♡
しかも今日は、0.1.2だけの日付の日♡ なんか嬉しい。

途切れさせたくなかったので、今日は長めで(^▽^)♡♡

甘々、でしたか~?(*'ω'*) 
私なりには、精一杯の甘々でした…(*'ω'*)♡ by悠里

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