【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「恋人」

「頭溶けそう」*玲央




「――――……このままマンション連れ帰って、抱きたいけど……」
「…………っ」

 
 一度抱き締めてから、仕方なく、腕を解いた。


「離すって約束したからしょうがないな……。コンビニ行こ」

 優月の道具を持ってドアを開けると。

「うん」

 通り過ぎようとした頭を撫でる。

「持つよ、ありがと」

 荷物を受け取ろうとした優月を遮って。

「いいよ、別れる時渡す」

 ドアを閉めて、一緒に歩き出す。

 その時ふ、と。思ったのは。


「優月がさ」
「ん?」

「もっと、オレを欲しがったらいいな」
「え?」


「……オレいつも、お前が欲しいから」


 そう言ったら。


「――――……今更なんだけど」

 優月は、きょとんとしてオレを見上げてくる。

 ふーん。
 ……優月も欲しがってはくれてんのか。


「オレ……ちょっと自制してるだけだよ。学校だから」
「……その自制がきかなくなる位、欲しがってくんねーかな」

 頬に触れながら言ってから。


「…………って、何言ってんだろうな、オレ」

 自分でちょっと呆れてしまう。
 どんだけ好き好きみたいなこと、ずーっと優月に言ってんだろ。

「多分さ」
「うん?」

「優月は、オレがそういう事大好きながっついてる奴って、思ってるんだろうけどさー」
「がっついてるって…… そんなこと、思わないよ?」
「そうか?」
「うん」

「……今までこんな風にはしてないんだぜ? 信じる?」

 斜めに見下ろすと。優月はじー、とオレを見つめる。
 見られている事が恥ずかしくなってくるような、まっすぐな瞳で。



 ふと、初めて会った時の、やたらまっすぐ見つめてくる瞳を、思い出した。
 ――――……あん時と、同じ。 まっすぐな、瞳。


「――――……そういや、会った時から、キスしたいキスしたいって言ってたっけな、オレ」
「――――……」

 思い出しているのか、んー、と視線を外した優月を覗き込む。


「そうだったなあって、今思ってるだろ」
「……キス、していい?っていうのは、聞かれたなあって……」

「うん、聞いた。キスしたかったんだよ、お前に」

 ――――……ほんとに、何であんなとこで、初めて会った男に。
 しかも、全然エロさのかけらもなかった優月にキスしたいと思ったか。

 思い出そうとしても、何だか、良く思い出せない。

 ……でもその後繰り返し繰り返し、キスしたいと思って、可愛いと思って、近くに居たいと、思って――――……。


 全部の感情を、ずーっと上書きしてるような、感覚。


「なんか、すでに懐かしいな?」


 こんな風に、一緒に居れるようになって、良かった。

 そっと頬に触れて、くすぐったそうな優月の頬をぷに、と摘まんだ。


 その後、どこまでの人に話すかとかを優月が改めて聞いてきて。
 どこまででも、と言ってたら、家族の話になった。

 オレんちは、もう少し先の方がよさそうっていうのは、ただの感覚。

 出会ってすぐ、付き合ってすぐで話しても、
 どうせすぐ飽きるんだろ、と言われて終わりそうだから。

 長く付き合った上て、言わないと、話にもならなそう。
 ――――……まあ、今までのオレの行いが悪いんだけど。


 優月は、付き合ってるのを話すのは後でいいから、紹介はしたいって言い出した。
 双子の話をしだして。
「カッコいい人、好きだから騒ぐ」みたいなことを言ってたけど。

 優月がどんなところで育ってきたのか、ずっと気になってるオレとしては。
 すぐにでも行きたい位。
 そんな話をしていたら。

「会いたいの? 普通、親とか会うの緊張しない?」

 そう言われた。まあ、確かに世の中一般はそうだろうけど。

「会いたい気持ちの方が圧勝」
「……変なの、玲央」

 優月にクスクス笑われた。

 その後、優月と一緒にクロのおやつを買いに行ったコンビニで、期待値Maxのおばちゃん達をからかうとともに、優月の反応も楽しんでから店を出た。


 優月は、恥ずかしがって、困ってたけど。 
 なんか、面白くて。

 
 こんなに誰かを好きな事を、誰かに言ったり、ほのめかしてみたり。
 そんなこと、今まで生きて来て、初。


 なんかほんと――――……優月が好きで、本当に可愛いなとか、
 頭溶けてそうなことを思っていたら。


 チョコを渡してきて。
 ――――……口に入れたら、可愛いとか言いながら、つついてくる。


 もうマジでダメだ。
 ――――……可愛いのはお前だっつーの。

 
 人があんまり通らない、木に隠れて見えにくいから、優月がキスを受けてくれるのを良い事に。


 昼休みの間中、めちゃくちゃキスしてしまった。

 まあ。人に覗き込まれたら丸見えなのだけど、別にいっかと思いながら。



 チョコの味が分からない位、キスが甘い、とか。

 ――――……ほんと、優月の発言て。




 ……可愛くて、頭、溶けそうになる。






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