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◇「周知」
「可愛い玲央」*優月※
しおりを挟む玲央に思い切り寄りかかる姿勢で、オレはイイ匂いのモコモコと、下と横からシュワシュワ来る気持ちいい泡に包まれて。
……なんか。これって。
すごく、すごく、幸せ過ぎるんだけど。
なんて思っていたら。
「……? れお?」
玲央がオレを後ろから抱いたまま、モコモコの泡を手で集め出して。
それをオレの手にのせてくる。
「――――……」
なんか、可愛いこと、しはじめた……。
クスクス笑いながらの玲央がとっても楽しそうなのでそのまま、両手を自分の前に差し出していると、目の前に山盛りのモコモコが出来上がった。
「すご……」
言いながら笑って振り返ると、ふ、と楽しそうに笑う玲央。
ああ、なんか。胸が、きゅん、とする。
カッコイイ玲央も。色っぽい玲央も。大好きなんだけど。
たまに可愛い玲央が、愛しすぎて、もうどうしたらいいのか分からない位で。
「すごい、良い匂いだね、この入浴剤……」
「フローラルブーケだって」
さっきの入浴剤の袋を拾って、玲央が袋の裏を見てそう言う。
「フローラルブーケって聞いた事はあるけど……何の花?」
「色んな花が入ってるって事じゃないか? 花の種類とかは書いてねーな……」
「ずーっとここに居たい位、いい匂い」
フワフワモコモコの泡を、ふー、と吹いて飛ばしてみる。
「良い匂いで、泡が気持ち良くて、玲央が後ろで抱いててくれて……」
振り返って、玲央を見上げると。
瞳が優しく緩む。
――――……ああ、なんか、もう。
オレ、この人が、大好きすぎるなぁ……。
少し玲央の上からずれて、玲央をちゃんと振り返られるように座って。
「ん?」
と、また玲央が笑うので。
ふふ、と笑い返して。
「玲央大好き」
と言ったら。玲央が、何だか一瞬ぴた、と止まる。
「――――……」
それから、はー、とため息を付いて、またオレをちゃんと抱き直して。
「――――……なんか優月のそれにさ」
「……うん?」
なんか、また、ため息の玲央。
「……無邪気すぎて、そーいう意味ないのも分かってんだけど」
「そういう意味って?」
「やらしい意味とか、全然今入ってないの、分かってんだけど」
……やらしい意味??
「……うん?……だけど??」
何だかうまく言葉が繋がらないけど、とりあえず先を聞いてみようとそう言ったら。またしばらく間が空いて。
「――――……勃った」
「……え」
理解した瞬間、かああっと、一瞬で赤くなる。
「何で、オレ――――……こんな無邪気なのに煽られるかなあ……謎……」
ため息と共にそう言った玲央が、腰に指を這わせて。
する、と。 そういう感覚を一気に沸かせるような感じで、触れてくる。
「――――……っ」
「――――……シていい?」
「……っっ」
可愛かった玲央はもう消え果てて。
色っぽい声で、囁かれる。
恥ずかしさで死ねるなら、ほんと、今だと思うけど。
その事態にはならなそうなので。
「……うん……」
顔、めちゃくちゃ熱いけど。
何とか頷いた。
玲央は手を伸ばして、棚にあったオイルとゴムを手に取って。
ラブホって便利……とか呟きつつ。
また一気に、妖しい雰囲気を急にまとって。ふ、と笑む。
「…………っ」
ドキドキなんて、半端じゃなくて。
ドッドッ、と爆発しそうだけど。
キスされながら、立たされて。
壁に手をつかされる。
「……慣らすよ」
「――――……っ」
明るすぎる位、明るくて。
――――……だめだ、これ。恥ずかしすぎるー……。
壁についた手を、ぎゅ、と握って、瞳を閉じた。
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