【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「髪に触れる」*玲央

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「卵もパンもコーヒーもスープも、とにかく全部美味しかったー」
「ん。良かった」

 ほんと、美味そうに食べてたな。まあいつも通りだけど。
 クスクス笑いながらオレもコーヒーを飲み終えた。
 
「ごちそうさまでした」

 優月が手を合わせながら、オレを見て、「もう出る?」と聞いてくる。

「歯磨いたら出るか。出勤の車に巻き込まれない内に着きたい」
「うん、分かった。お皿とか、このままでいいの?」
「ああ」

 優月が立ち上がって、椅子を戻す。

「玲央、歯磨こう」
「ん? ああ」

 立ち上がって、隣に並ぶと。

「昨日一緒に磨くの楽しかったから」
 なんて、笑う。

「そうだな」

 クスクス笑ってそう返しながら、優月の頭、撫でると。
 嬉しそうにまた笑う。

 並んで歯を磨きながら、話せないので、何となく優月を見ながら。


 朝早くに起きて、しばらく密着してくっついて、朝食べて一緒に歯を磨いて、これから早朝ドライブして、そこからまた学校一緒に行って。

 ――――……やっぱりなんか、すげー健康的。

 そりゃ学生だし、早起きも必要だったら最低限はしてきたけど。
 大体、気分悪いというか、眠いの堪えながらの、不機嫌というか。
 だるいなーと常に思いながら、早起きをクリアしてきたから。

 この健康的な早起き、もしかしてこのまま優月と居るとずっと続くのかな、なんて思うと、不思議でたまらないけど。


 あ ――――……少し、寝ぐせ。
 優月の髪の毛、ホワホワしてるとこを左手の指先で直してると、優月がちょっと不思議そうに、笑う。

「ん?」

 首を少しだけ傾げて、オレを見上げてくる。
 一度、口の中の泡を吐き出して。

「ここ、寝ぐせ」

 言ってからまた歯ブラシをくわえて磨きながら、また髪を弄ってると、優月は鏡の方を見て、オレの触れてたとこに気付くと。うんうん、と頷いた。

 優月は先に口を漱いで、タオルで顔を拭きながら。

「ここ、よく跳ねるの」
「知ってる」

「あ、知ってる?」
「ん」

 そんなやりとりをしてクスクス笑い合いながら、歯磨きを終えた。
 
「玲央、オレのここ、気になる?」
「いや? 別に気になんない。寝ぐせなのかそういう髪なのか、微妙なとこだし。可愛いから良いけど…… どーする? 直してやろうか?」
「え。あ、うん」

 ふんわり笑って頷くので、少し水を付けてから、ドライヤーと、置いてあったブラシで直してやる。

「ついでにちょっと、弄っていい?」
「? うん」

 髪を梳きながらドライヤーを当てて、少し、流す。
 元々サラサラしてる髪だから、ほんと、触ってると気持良いと言うか、可愛いというか。

「オレ、玲央に髪触られるの、すごい好きなんだよね……」
「……そうなのか?」

「うん。優しくて、大好き」
「――――……ん」


 よしよし、と撫でる。


 オレはお前の髪触るの、すげー可愛いから、大好きだけど。
 なんて思いながら、なんかほんと柄じゃなくて、苦笑が浮かぶ。



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