【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「カンパイ」*優月

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 カラオケについて、パーティールームに案内されて、靴を脱いで入った。
 テーブルの周りを囲むようにソファが置いてある。

 荷物を部屋の隅に置いて、皆が適当に座ろうとしてる時、玲央がオレの腕を引いたので、隣に腰かけた。


「ああーまた優月を隣に……」

 勇紀が騒いでるけど、「これ、当たり前だから」と玲央が一蹴してる。
 玲央の隣に稔と、智也。オレの隣に勇紀、甲斐、颯也。何となく四角く囲むように座ってから、タッチパネルで飲み物を先に注文した。

「食べ物は適当にたのむねー」

 勇紀がそう言うと皆が頷いて。「優月、どれがいい?」とオレの方にタッチパネルを持ってくる。

「適当に色々……」

 そう言いながら、2人で、あれこれ注文している間に、智也が甲斐達に話しかけられて、会話をし始めた。間に稔が入って紹介しながら。

 智也は、ほんと、誰でも話せるもんなあ。
 お兄ちゃんみたいだから、後輩とかにもすごい慕われてたし。

 優しいもんな。うん。
 なんて思いながら、勇紀と注文を終えた頃には。

 颯也と甲斐が、もうすっかり智也と普通に話をしている。

「もう、皆、下の名前で呼んじゃお。玲央も、村澤じゃなくて、智也ね」

 勇紀がそんな風に言うと、オレの隣の玲央は、じゃあオレも玲央でいい、と智也に言ってる。
 智也はちょっと苦笑いだけど、別に否定もしないで、頷いてる。

 こういう場に、稔みたいなのと、勇紀みたいなのが居ると。
 なんかすっごく仲良くなれる気がする……。無理やり感も吹き飛ばして。

 玲央はそういうの自分からいくタイプじゃないだろうし、だからこういう2人が玲央の側に居たっていうのもの、きっと、良かったんだろうなぁと見てると思う。

 飲み物が届いて、皆の手元に行き渡ると。


「じゃあ――――……もう乾杯することは、1個しかないよね」

 勇紀がめっちゃ楽しそうに言って。
 甲斐が、早く言えよ、と笑う。

 なんだろう、乾杯すること、1個って。
 そう思いながら、グラスを持ったまま、勇紀の次の言葉を待っていると。


「玲央と優月、おめでと~」

 言われて、え、と勇紀を見てしまう。

 ――――……あ、それなんだ、1個しかないって。

 すぐに玲央の方を向いて、見上げると、玲央はその大騒ぎな感じに苦笑いしてて。

 
「はい、かんぱーーい!」

 皆がめっちゃワーワー言い出して。「ほんとは酒がいいー」とか騒いでる。

 玲央がオレにグラスを差し出してくるので、かち、と合わせた。


「おめでとうだって」
「ああ」

「……嬉しいね?」

 こそ、と言うと。玲央はオレをマジマジ見て。


「――――……お前、ほんと純粋。 今から何聞かれるんだと、オレはうんざりしてた」

 そんな風に、言いながら、玲央はすごい苦笑い。


「玲央……」

 玲央のセリフに笑っちゃうけど。


 だけど絶対、嬉しそうなのに。
 ……素直じゃないなぁ、玲央。


 オレがクスクス笑うと、玲央もふ、と笑んで、オレをヨシヨシ撫でて。
 そしたら早速「初めからいちゃつくなー」と稔に突っ込まれて。


 あー、うるせー……玲央が呟いてるので、また笑ってしまう。


















◇ ◇ ◇ ◇
(2022/3/8)

エブリさんで初投稿したのが去年のこの日。
実は丸1周年なのです(*´ω`)
ちょうどカンパイの話でした♡
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