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◇「周知」
「瞳?」*優月
しおりを挟む「えー、じゃあさ、優月」
「つかもうお前だまってろ」
玲央が突っ込んでるけど、さすがの稔はめげずに。
「もし明日、玲央が浮気したらどーすんの? 許す? 別れる?」
「――――……浮気……」
呟きながら、んー、と玲央を見つめると、玲央は苦笑い。
「しないけどな」
「もししたらの話、優月」
玲央と稔の言葉に、うううーん、と考えて。
浮気したら。
――――……浮気かー……。
「玲央がオレと別れたいなら、考える……」
「別れたくないって玲央が言ったら?」
「……え。だって、オレ、できたら玲央と別れたくないし……じゃあ、浮気しないでもらえるように頑張る……?」
そう言ったら、稔がきっとオレを鋭く見つめて。
「ダメだぞ優月―! それって、浮気男を益々つけあがらさせる考え方だぞー」
何だかものすごい勢いで、反対されて。
もう何だか、可笑しくてしょうがない。
「分かんないよ。されたら考えるよ。もし繰り返されるなら諦めるし」
「だから、しないっつの」
むぎゅ、と玲央の片腕に抱き締められてしまった。
そのまま、よしよしされたまま、稔から見えないように隠されて。
「お前、マジで余計な事言うな。つーか、もー聞くならオレに聞け」
玲央がオレを抱き締めたまま、そんな風に言ってる。
あんなに何か聞かれるの、嫌がってたのに。
ていうか、別にオレ、平気なんだけどな。
――――……玲央、優しい。
ふふ、と笑ってしまう。
「え、玲央に聞いていいの?」
「マジで?」
勇紀や甲斐まで玲央の言葉に反応する。
「でもさー、玲央も優月の好きなとこ聞いたら、全部とか言おうとしたかんね。聞いてもノロケが返ってくるだけなんだよなー……」
あーやだやだ、と勇紀が言うと。
「はー? 全部ー?? マジで言おうとしたの?」
「……まあ。言おうとしたな」
オレを小脇に抱えるみたいにしたままで、玲央が頷くと。
「はあああ?? マジ意味がわかりません」
稔の言葉に、颯也も「まあ確かに今までの玲央なら分かんねえんだけど」と苦笑い。
「じゃあ、優月の何が好きなの。言えよ、好きなとこ」
「――――……好きなとこ」
玲央が、ふと、オレを見下ろして。目が合うと、じー、と見つめられる。
「……優月の瞳」
「め??」
一旦稔を見て言った後、玲央がオレに視線を戻して、また目が合うと、ふ、と柔らかく笑う。
「言いたいこと全部訴えてくんの、すげー可愛いから」
「……っ」
ボッと、火が付いたみたいにオレ、赤くなったと思う。
だって、顔、すごいあっつい。
「――――……」
しーん。と。
部屋が静まり返って。
オレは、玲央をただ見つめ返すしかできなくて。
玲央は、なんかマズイか?とでも言いたそうに、稔に視線を向けて。
しばらく、玲央と稔が、見つめ合って。
「……つかもう――――…… なんかもう。……お前、ほんと誰だよ??」
稔がはーーーー、とため息と共に言うと、皆が笑い出して。
もうほんと諦めろ、とか。そう言う事を稔に向けて言い始める。
「玲央って、オレの瞳が好きなの?」
「――――……」
皆が騒がしい中、そう聞いたら。
「別に。目が合うといつもすげぇ可愛いから、今一番に言っただけ。嫌いなとこねーし。全部好きだと思ってるけど?」
と、もっと恥ずかしい答えが返ってきて。
また改めて赤くなってると、察知した稔が。
「またお前、恥ずかしいセリフ吐いたろ!!!」
「吐いてねーし」
玲央はそう言い返してたけど。
稔は鋭いなー。
……なんて、密かに思った。
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