【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

文字の大きさ
414 / 856
◇「周知」

「触んな」*玲央

しおりを挟む
「……んで? 何、夏休みで考えてた事って」

 オレが色々吹き飛ばしながら、話を変えたら。
 ああ、と颯也が頷いた。

「夏休みさ、地方のライブハウス巡りしないか?」
「地方?」

「前から、地方でもやって、っていう要望が多かったろ? 夏休み、大きめのライブハウスでライブしない? 泊まるとこは、キャンプとかさ、遊ぶとこ巡ってもいいしさ。 優月連れてけば、さっきの話一石二鳥じゃねえ?」
「――――……ライブか」

 ふーん、と少し考えて。

「美奈子さんと里沙さんには聞いたのか?」

 甲斐に視線を流すと、ああ、と頷く。

「さっき聞いてみた。良いってさ。こないだのライブハウス位なら、楽器とかの移動のスタッフが居れば、後はライブハウス任せでもいいでしょって言ってた。ライブハウスの情報は、また送ってくれるから、選べば予約とか諸々は、会社の方でやってくれるって」
「ふーん……お前らは、皆やろうってなったのか?」

「さっき玲央が言ってたのも、一緒に出来るし。いいんじゃない?」

 勇紀がそう言って、笑う。

「優月もライブ見れるの喜ぶだろうし。まあ、ついてくかどうかは優月に聞いてからだけど」
「後で聞いてみる。――――……まあ、話してた限りは、そんなに用事があるって感じも無さそうだったけどな……」

「とりあえず、じゃあ、今からでライブハウスが空いてるとこがあればって感じかな」
「まだ三か月弱あるし、全部埋まってるって事はないでしょ。美奈子さん達が動いてくれるって言うし」
「なんかさっき電話した時は、既にすげー張り切ってた」

 甲斐も笑いながらそう言ってる。

「いーじゃん、楽しそう。近場ならオレもライブ見がてら、一緒に遊びに行こうかなー」

 なんて稔も言い出して、楽しそうに身を乗り出してくる。

「じゃあ、前向きに検討、って事で。出来そうなら、旅しながらやるか」

 オレが言うと、三人皆、笑んで頷く。


 ライブしながら、地方巡りか。
 ――――……早く話したいな。どうだろ。喜ぶだろうか。

 楽し気な三人と、稔や周りのメンバーと話しながら、ふと優月の方に視線を向けると。
 さっきの事も特に気にして無さそうに、楽しそうに友達と話してる。

 まあ、優月はいつ見ても楽しそうだけど。

「――――……」

 優月の隣の奴が、優月の肩に手を回した
 そのまま、よしよし、と頭を撫でている。

 
 ――――……むか。

 ……って。
 まあ。……優月みたいな奴って、可愛がられるだろうし。
 ……触られやすそうだし。撫でられそうだし。
 別に深い意味なんてねえだろうけど。優月の方にも、まったく意味ねえだろうし。と、分かっているし。

 ……さっき、女子に絡まれまくってたオレが言う事でもないのも、よく分かってはいるのだけれど。


 さわんな、と思うオレ。――――……はー。





しおりを挟む
感想 830

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

ルームメイトが釣り系男子だった件について

perari
BL
ネット小説家として活動している僕には、誰にも言えない秘密がある。 それは——クールで無愛想なルームメイトが、僕の小説の主人公だということ。 ずっと隠してきた。 彼にバレないように、こっそり彼を観察しながら執筆してきた。 でも、ある日—— 彼は偶然、僕の小説を読んでしまったらしい。 真っ赤な目で僕を見つめながら、彼は震える声でこう言った。 「……じゃあ、お前が俺に優しくしてたのって……好きだからじゃなくて、ネタにするためだったのか?」

ヴァレンツィア家だけ、形勢が逆転している

狼蝶
BL
美醜逆転世界で”悪食伯爵”と呼ばれる男の話。

隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。

下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。 大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。 ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。 理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、 「必ず僕の国を滅ぼして」 それだけ言い、去っていった。 社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編! 過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。 ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。 だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。 ……俺も、ちゃんと応えたい。 笑って泣けて、めいっぱい甘い! 騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー! ※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。

処理中です...