【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇「周知」

「撫でたくなる?」*玲央

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「マジでさ、何が言いたかった訳? 気になって、夏の話できない」

 勇紀が、もー早く言えよ、みたいな感じになって来た。

「……優月って、可愛いか?」

 皆、何秒が止まった後、めちゃくちゃ笑い出した。
 稔と勇紀なんて、大爆笑。

「つか、うるせえし」

 まわりがめっちゃこっちを見てくる。
 優月の視線も飛んできてる気がするが、今は目を合わせないでおくことにした。


「だって――――……」

 ぶはははは、とまたも大笑いの勇紀と稔。

「もーなんなの、玲央」
「そーだよ、ヤバいの分かってたけど、ほんとヤバいな」

 こいつら程じゃないにしろ、甲斐と颯也も可笑しそうに笑いながらオレを見る。

「お前ら、何がそんなにおかしいんだよ」
「だってさ、玲央」

 颯也が口元おさえながら、オレをまっすぐに見る。

「玲央は、可愛いと思ってる訳だろ?」
「……あぁ」
「で、さっきから、勇紀は、優月が可愛いって言ってるわけじゃん」
「ああ」

「なのにもっかい、可愛いかってさ。何なの、頭ん中、優月が可愛いって事しかない訳?って思う――――……よな?」

 颯也がそう言うと、皆、すげー同意してくる。……うざい。

「そーだよ、何なの、オレ達全員に、可愛いって認めさせて、よしよし、とか満足したいのかなーって思っちゃうじゃんか」

 稔の言葉に、は?と睨み、「ちげーわ」と呟く。
 じゃあなんなんだよ?と勇紀がまだ笑いながら聞いてくる。

 何聞こうとしてたんだっけ。とムカつきながら。


「だから……優月の頭を、撫でたりしたくなるかってこと」

 オレの質問に、また数秒黙った後、
 
「……はーー??」

 口々にそんなような音を発して、オレを見てくる。

「……もう良い」 

 オレが完全に口を閉ざそうとしてる気配を察知してか、勇紀が笑いを抑えてる。こういう対応を変えたりするのは、勇紀が早い。稔はまだけらけら笑ってる。

「もう益々意味わかんねーけど……ああ、でもオレは、前から優月の頭、撫でてたかも。なんかイイコイイコしたくなっちゃうんだよなーって……こういう話が聞きたいんじゃない?」
「いや。……そうなんだろうなと思って聞いただけ」

「――――……??」

 勇紀がよく分からないと言った顔で、ふと、背後の優月を振り返る。


「ああ――――……優月が今誰かに撫でられてたとか、そういう事?」

 なんかほんと、こういうとこ。
 楽なような、嫌なような。

「あたり?」
「――――……なんか良く触られるなーと思って」

「いやいや、玲央程じゃないでしょ。なあ?」

 呆れたように言う勇紀に、周り一同、うんうん頷き出した。

「女子の玲央への絡み方って、すごいもんな?」
「優月の事気にする前に、触られない対策した方がいいよ?」

 甲斐と勇紀がそんな風に言って、苦笑い。


「まあ、優月はきっと、男にも撫でられちゃいそうだからな。だからやなんでしょ」
「――――……」

 ほんと勇紀は――――……言ってない事まで読み取るの、得意だと思う。


「あ、もしかして、オレが撫でるのも嫌?」
「――――……お前が撫でるとこ、見た事ねえけど」

「ああ。玲央の前ではやってないかなもしかして。あーよかった。これ、防衛本能が働いてたのかなあ?」

 クスクス笑って、勇紀が胸をなでおろしている。
 問われた颯也が、苦笑いで、そうかもなと答えてるし。



 ――――……まあ。撫でたくなるのは、分かる。

 オレ、どんだけ優月の事撫でてるか、自分でも、ちょっと呆れる位だし。





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