【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「時間」*玲央

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 ソファに戻ると、優月がオレを見上げる。

「もう良いの?」
「ん、もーいい。全然大したことじゃなかった」

 言うと、優月がクスクス笑う。

「でもすごい続けてぶーぶーいってたけど」
「あれは、今日行ったメンバーがスタンプとか入れてきてただけ」
「そっか」

 ふふ、と笑って、優月がまたコーヒーに口を付ける。

「そのコーヒー、苦い?」
「ん?……あー……少し?」
「アイス甘いから、少し苦いのにしたんだけどな……食べながら飲むんじゃなかったら、いつものにすればよかったな」
「平気、美味しいよ……って、ミルク入ってるし」
「あ、優月のには入れた」

 笑いながら頷いて、優月を見つめると、優月はじっとオレを見上げた。

「ありがと。美味しい」
「ん」

 手が自然に、頭に伸びる。
 優月が微笑む。

「……玲央ね」
「ん?」

「いつも、オレの頭、撫で過ぎだと思うんだけど……」

 クスクス笑う優月。

「……撫でるの、嫌か?」

 そう聞くと、えっ?と不思議そうな顔でオレを見上げる。

「そんな訳ない……」

 そう言って、にっこり笑う。
 
「嬉しいよ」

 ……可愛くて、撫でながら、頬に触れる。


「お前を撫でるやつ、他にも居るだろ」
「……」

「……居るよな?」
「んー……? たまにいるかなあ……」

「だよな」

 なんか見かけたし。
 撫でられやすいだろうなとも、思うし。

「……でも、玲央みたいな意味じゃないよ?」

 そう言う優月に、そんなの当たり前。つーか、そんな意味で撫でてたら潰す。……と一瞬思ったけれど。

「……オレみたいな意味って?」
「え」

「何? オレみたいな意味って」

 分かってるけど、聞く。
 ……分かってて聞いてるのを、きっと優月も知ってる。

 ……自然と言ったらしく、改めて聞かれて、考えて、恥ずかしくなったらしい。マグカップを口に持ってって、恐らく、ちょっと隠れようとしてる。

「隠れられないから。優月」

 笑ってしまいながらそう言うと、優月はますます恥ずかしそうな顔をする。


「……玲央が……オレを撫でるのは、どういう意味……?」
「――――……」

 ……はは。
 逆に聞いてきた。

「んー。……すげえ可愛くて、キスしようかなー、撫でようかなーと思いながら……かな。言ったろ、外でキス出来ない時、撫でてるって」
「…………っ」

「つーか、家ん中だと、正直ずっと触っていたいけどな」

 頬にすり、と触れながら、そう言って見つめると。
 びっくりした顔で、オレを見ていた優月は。

 ぽぽぽ。
 急に、赤くなって。

 困った顔のまま、マグカップを握り締めている。


「……お前は、そういう意味でさっき言ったの?」
「――――……」 

 なんだか、ぷるぷると首を振っている。


「そこまで考えてないか」

 クスクス笑いながら、頭を撫でてやると、うんうん頷いている。


「……勇紀がさ」
「……?」

 急に勇紀の名を出したので、少し不思議そうにオレを見上げる。


「優月のカミングアウトうまくいったのか気にして、連絡してきてた」
「……あ、そうなんだ。皆に言ってたの?」
「そう。軽くな」
「そっか」

「大丈夫そうだったって伝えたら、良かったって。颯也と甲斐も、良かったなって感じだった」
「……心配、してくれてたんだ」

 優月は、ふ、と嬉しそうに笑う。


「そーなんだよなー……」
「……ん?」

「勇紀はまだ、優月と知り合って長いみたいだから分かるけど……颯也と甲斐まで、お前のこと心配するんだよな」
「――――……」

「知り合ってまだ短いのにな。絶対、何となく、可愛いと思ってると思うんだよな」
「ん……」

 オレの言葉に、優月は、ちょっと不思議そう。


「……何?」

 どうした? と聞いてみると。

「短いのにて、言うんなら……」
「ん」

「――――……オレと玲央も、そんなに、期間、変わんないよ?」
「――――……」

「……多分、颯也と甲斐って、玲央と会って少しで顔合わせたから」
「――――……」


 ……そういえば。そっか。
 

「なんかオレだけは、優月とずっと前から居る気がしてた」

 そう言うと、優月はクスクス笑う。


「確かにずーーっと、ながい時間は、居る気がするね」


 楽しそうに笑って、キラキラでっかい瞳でオレを見る優月が。
 
 やっぱりすげー可愛いなと。
 思ってしまう訳で。


「……会ってそんな経ってないんだよな」


 しみじみ言うと、うん、と優月が面白そうにオレを見ながら微笑む。





(2022/7/22)

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