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◇同居までのetc
「笑える」*玲央
しおりを挟む二限が終わって、昼どうするかなと思っていた時。
「玲央、昼どーすんの?」
隣に居た奴に聞かれて、「ああ……」と返事をしたタイミングで、さっき話していた女子達が近づいてきた。
「ねね、一緒にご飯たべよー?」
オレと、オレの周りにいる男子連中にそう声をかけてくる。
そういう誘いも、前なら別に、何も考えず乗ったんだけど。
「悪い、バンドの奴らと約束してる」
今日は、体育館の裏の食堂に行ってるから来れたらーと、さっき別れる時に勇紀が言ってたのを思い出し、別に嘘じゃないしなと心の中で思いながら、そう言った。
「ねえ、玲央って、好きな子が出来たって噂、ほんと?」
不意に、一人の女子に聞かれて、どこから情報だろうと一瞬思う。
セフレ断ったし、そこらへんからかなと勝手に納得するとともに、まっすぐ視線を向けた。周りの皆もなんとなく聞いてる感じなのは、分かっていたので、はっきり言っとくことにする。
「ほんと。好きな子っつーか、付き合ってるよ」
……こんな言葉を、人に言う日がくるなんて、と思ってしまいながらそう言い切ると、少し後、なんだかとても、キラキラした瞳で見つめ返される。
「応援、してるっ」
「……ん?」
応援?
「今まで玲央のこと、どーなのって思ってたんだけど……今、すっごい見る目変わっちゃった」
「分かる―!」
……どーなのって思ってたのか。
苦笑いしつつ、なんだか変な感じに盛り上がってる女子と、周りで笑ってる男子と。
なんとも言えない感じの会話が続いてるので、オレは立ち上がった。
「まあ、そーいうことだから。触れ回っといてくれていいよ」
そう言ったら、なんだかよく分からないが、きゃっきゃっと楽しそうに女子が頷いた。何かとオレを誘ってた女子は、ちょっと複雑そうではあった気がするが、まあ、これで分かってくれたら、まあいいか……などとも思ってしまう。
近くに居た皆と別れて一足先に教室を出て、勇紀の言ってた学食に向かう。
スマホを開くと、じいちゃんからの連絡が来てた。
いつ来れる? 久も来るし、泊りでもいいぞ。
という内容。
泊りか……。
……恋人のじいちゃんちに泊まり、なんて。
何でって感じで普通は嫌だろうけど。……優月は、喜ぶ気がするのは何でだろ。
何だか自然と笑ってしまいそうなのを抑えつつ、食堂に到着。ずっと奥の方の空いてるテーブルに今まさに腰かけようとしている勇紀を発見。と同時に、その先に、さっきからずっと頭にあった、優月を発見。
姿を見つけると、嬉しくなるって。
――――……相当だよなと思いながら、先に優月の方に向かって歩いてると。勇紀も優月を見つけて、少し離れたところから声をかけている。
何か話した優月と勇紀、勇紀の所に甲斐も発見。
甲斐にもバイバイと手を振ってて、優月はこっちには全然気づいていない。
すぐ近くまで行った時。
「うん。勇紀、仲良しだから」
とか可愛いことを言って、笑ってる優月の声が聞こえた。
思わず、ふ、と笑んでしまいながら。ぽん、と頭を叩くと。
「玲央」
振り返ると同時に、ものすごく嬉しそうに綻ぶ顔。
……もうなんか、可愛いしかないのだけど。
頭んなかで考えてる時もそーだし。
実際、目の前に居ても、そーだし。
この感情は一体。
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