【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「心配?」*優月

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 おいしいアジフライだったな~
 玲央のお皿ちらっと見たけど、結局アジフライ食べたみたいだったし。

 ふふ。勇紀も食べてたし、オレの周りもアジフライ食べてたな。
 面白い。なんか幸せ。
 
 なんて思いながら、教室まで歩いていると。


「優月―!」

 明るい声に振り返ると、案の定、美咲で。
 美咲は一緒に居た女の子に、先に行っててと言って、オレのところに駆け寄ってきた。

「なーんか、一人で幸せそうに歩いてるけど」

 クスクス笑う美咲に、苦笑い。

「ああ、なんか……アジフライ定食食べてる人が周りにたくさん居たなーって思って」
「何それ?」
「とにかく、アジフライだらけだったの、お昼」
「ますます何それ」

 余計に、笑われる。

「あ、ねえ、優月、智也から連絡きたんだけど……夕飯食べに行くの、水曜でもいい?」
「うん、多分大丈夫。玲央にも一応聞いてみるね」

 そう言うと、美咲は、ふ、とオレを見る。

「その感じだと、ずーっと一緒に居る?」
「……うん、居る」

「今優月のマンション、帰ってないの?」
「うん。玲央んちに、居るよ」
「ふうん……そうなんだ」

 クスッと、美咲が笑う。

「聞きたいこと、やまほどあるけど……」
「え」
「時間ないから、ごはんの時にするね」
「う、ん。分かった」

 ちょっとドキドキしつつ、なんだかすごくニコニコしてる美咲に頷く。
 すると、美咲は、「なんか、優月さぁ」と言いながら、さー、と頭から下まで、視線を走らせる。

「それって、神月のセンス?」
「え。あ。うん、上の服はそう」

「なんかね、あたしずっと思ってるんだけどさぁ、女子ってね」
「うん?」

「彼氏が良い人で幸せだと、なんか可愛くなるんだよね。それってさ、別におしゃれしようと、特別頑張ってなくても、そうなるの。……と、思ってるのね、あたしは」
「うん……?」

 美咲は、オレをまっすぐ見つめて、クスクス笑った。

「優月を見てたら、それって女子だけじゃないんだ、と、ちょっと思っちゃった」
「――――……」

「って、それは、どういうことでしょうか?」

 にこにこ笑って、オレを見つめてくる美咲。

 え。えと。どういうことでしょうか???
 ……可愛くなるのが、女子だけじゃない、てことは……?

「それって……オレが可愛くなってるってこと……???」
「せいかーい」

 クスクス笑われて、「からかわないでよ」と苦笑すると。
 途端に真顔で。

「からかってないよ。なんか可愛くなってる、優月。服も、優月に似合ってるけど、多分優月は買わない服だよねって感じ。ってことは、神月は、ちゃんと、優月に似合うってものが、分かってるんだなあと思って……」
「――――……思って、何??」

 途中で止まった美咲の言葉を促すと。


「思って……ちょっと、安心、しちゃった、ていうのが、正しい、かな」
「――――……心配、してる?」

「うーん……心配してたつもりはなかったんだけど、なんか今自然に、安心したっていう言葉が出そうになったから。まだ、してたのかも」

 少し、困ったみたいな笑顔。

「――――……なんか、ごめん。心配しちゃってて」

 美咲はそう言うけど。なんだか、嬉しくなってしまう。

「心配してくれて、ありがと、美咲」

 なんかほんと。
 ありがとう、としか、思わない。

 笑顔で、そう言ったら。
 少し困った顔をしていた美咲は、オレを見て、すぐに、いつものキラキラ笑顔に戻った。

「ん」

 美咲は短く頷いてから、「ありがと、優月」と言って、オレの背中をポンポンとたたいた。

「じゃあ、水曜のこと、決まったら教えて」
「うん、分かった。またね」

 美咲は、バイバイ、と手を振って。長い髪を揺らして、走り去っていく。
 その姿を見送りながら。

 ついつい、微笑んじゃうのは。
 しょうがないよね。

 なんか、嬉しいし。



 






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