【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「胸が」*優月

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 一緒にサラダも作って、先に焼けたシラスのピザと一緒に、食事を始める。

「柚子胡椒、おいしーね」
「そうだな」
「双子たちも好きそう。今度教えてあげよ」
「ん。柚子胡椒、好きなの?」
「うん、焼き鳥とか好きだし」

「ふーん……そうなんだ。居酒屋メニュー好き?」
「うん、そうそう。好きだと思う」
「そっか」

 玲央がオレを見て、「いつかあの二人と、居酒屋で酒飲んだりするかもな?」と楽しそうに笑う。

「――――……」
「あ、先のこと過ぎた? つか、オレ達もまだ飲めないもんな」

 黙ったオレに、勘違いした玲央が笑いながら、そんな風に聞いてくる。

「違うよ」
「ん?」
「……ずっと先のこと、そういう風に話してくれるのが嬉しくて、固まっちゃっただけ」
「――――……ああ。そういえば」

 玲央は少し考えてから、オレを見て、ふ、と微笑む。

「自然に出てるな、ずっと先のことも」
「――――……」

 なんか玲央って、オレを、キュンキュンさせて、心臓を止めようとしてるんだろうかという位に……胸が痛い。
 一気に真っ赤になるというよりは、なんだか、返事をできないまま、玲央はもう普通にピザを食べてるのに。オレだけ、ずーっとじんわり、顔が熱くなってくるというか。

 玲央って。
 ……玲央ってほんと。

 うぅ。胸が……。

「優月?」

 なんか不思議そうな顔をして、玲央がオレを見てくる。

 そんな不思議そうな顔されても……。全然分かってないで、そんな嬉しすぎることを平気で言って、オレがすごく胸がやられれても気づかないとか。
 ……ああ、なんかもう、玲央って……。

「玲央……」
「ん? あ」
 その時、オーブンがピーピー鳴って、二枚目のピザが焼けた。

「取ってくるから待ってて」
「うん……」

 立ち上がってオーブンの蓋を開けて、「優月、すごい美味そ」と玲央が言う。立ち上がって、玲央が取り出したピザを見にいく。生地にマヨネーズを塗って、ジャガイモと玉ねぎとウインナーとチーズたっぷりのピザ。

「ほんとー。美味しそう」
「な?」

 玲央が包丁でピザを切りながら、「ピザカッター、買おっか?」と言う。

「包丁でも切れるけどね……チーズがくっついちゃうかな?」
「まあ大丈夫と言えば大丈夫」
「でも、クルクル切るの、雰囲気あるから、好きかも」

「――――……絶対買お」
 オレを見つめてから、クスクス笑って玲央が言う。

「あれ? 買うの決まりなの?」
「決まり。可愛いから」

 ……ん? 可愛いから?
 首をかしげると、「クルクルいっぱい切っていいからな」と笑われる。

 クルクル切るのが可愛いってこと?
 会話についていけずに、玲央を見てると。

「ああ。なんか、そういうの楽しそうにやってそうで、優月が可愛いって思っただけ」

 クスクス笑って、玲央がオレを見つめる。

 ああ……もう……ていうかもう……。
 キュンってするんだよう、玲央ー……。

 ……玲央の可愛いって、ストライクゾーンがめちゃくちゃ広いなぁ。不思議……。と思いながらも、胸が痛い。

「あ、さっき優月、何か言いかけたよな?」

 切り終えて、オレを見つめてくる玲央に、ん、とさらに言葉に詰まる。
 言いたい言葉が決まってたわけじゃないのに、玲央、て呼んでしまってだけなんだけど。

「……えーと……」
「ん?」

「……んー…………」
「うん?」

 玲央がオレの言葉を待って、じっと見つめてくる。


「……玲央の言うことってさ……」
「ん」
「……胸が痛い……」
「ん??」

 きょとんとされて。
 ……あ、ちょっと可愛いなんて思うと、余計胸が痛い。




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