【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「玲央の赤ちゃん」*優月

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 夕飯を片付け終えて、玲央の言うクローゼットの奥を見に行くと、何冊かのアルバムが出てきた。

「結構、数、あったな」
「一回も見てないの?」
「見てない」
 苦笑いの玲央に、なんか玲央っぽいなと笑ってしまう。

「なんかドキドキする。早く見よ、玲央」

 手分けして、ソファまで運んで、並んで座った。

「これが最初みたいだな」
 一冊のアルバムを手渡される。
 
「開いちゃうよー?」
「いいよ」

 なんだか本当にドキドキしながら言うと、玲央は可笑しそうに笑いながら、頷いた。

 一ページ目を開くと。
 そこには赤ちゃんの寝顔。

「わぁ……可愛いー!」

 めくるほどに、可愛い赤ちゃん。

「ほんとに髪ふさふさしてるね」
 クスクス笑ってしまうと、玲央も頷きながら、だろ?と笑ってる。

「あ、この顔、玲央みたい」
「オレだってば」
「じゃなくて……今の玲央に通じてる気がする」
「そう?」
 玲央は、面白そうにオレを見つめる。

 お風呂に入れてもらってる時の、玲央の顔。
 気持ち良さそう。目をつむってる感じが似てる。……似てるって変かな、でもなんか、玲央だなあって感じ。

 アルバムの中で月日が経っていくと、玲央の目がどんどんぱっちりしていって、くりくり可愛くなっていく。

「玲央この頃、おめめくりくりなんだね。かわいー……」
「すごい久しぶりに見たけど……そうだったみたいだな」

 オレが開いてる隣に玲央が座ってて、横から覗いてるのだけれど、なんだか苦笑い。

「……なんか、ちょっと恥ずい。オレ、コーヒー淹れてこようかな」
「え」
「見てていいよ」

 ふんわり頭を撫でられて、玲央が立ち上がってしまった。
 ……恥ずかしいんだ、玲央。……なんか可愛い。

 ていうか、赤ちゃん玲央、可愛いよー。
 抱っこしたかったなあ……。
 オレもこの頃同じように赤ちゃんだったから当然無理なんだけど、そんなことを思ってしまう。

 可愛いなぁ。

 玲央の赤ちゃんもきっと、可愛いんだろうなあ。

 と、そこでふと気付く。

 んん。


 ……ん、そっか。
 
 ……オレと居たら、玲央の赤ちゃんは生まれないのか。

 ……そっか。

 ちょっとだけ複雑な気持ちになる。


「優月、砂糖入れる?」
「あ、ううん、牛乳だけ……」
「了解」
「ありがと」
「んー」

 優しい玲央に答えながら、気を取り直す。

 ……別に、今気づいたことじゃない。分かってた。

 結婚も普通にはできないし、子供もできない。
 ……今、オレの周りは皆優しいけど、これからの周りが皆、あんな風に受け入れてくれるかも分からない。
 うん。分かってる。分かってるから、家族に言うのは緊張するし、容易くは、ないって思ってる訳だし。


「――――……」

 んー……めっちゃくちゃ、可愛いなあ、玲央。
 愛おしすぎる……。

「玲央、可愛すぎるよー」
「はは。そう?」
「うん」

 ――――……玲央も、きっと、男同士ってことを考える時に、そういうのも考えてるはず。だから、今更なんだとは思う。赤ちゃん玲央が可愛すぎて、玲央の子供が可愛いだろうなあなんて思って、今更気にするなんて、バカだよね。気にしない気にしない。


「ね、玲央、赤ちゃんモデルとかやらなかったの?」
「……あー……」

「ん?」

 微妙な返事に、玲央を振り返ると。
 苦笑いとともに。

「そういや、やってたらしいよ。でもオレ、それ見たいことないから知らねえけど」
「え」

「親父とかじーちゃんの会社の広告とかに、赤ちゃんとか必要だった時は」
「そうなの?」

「そうらしい。まあ赤ちゃんの頃なんて、誰がやったって分かんないだろ? 大きくなって、顔がちゃんと分かるようになってからは、社長の息子を使うとかさ、親バカ孫バカ丸出しだから、やめたらしいけど」

「誰がやってもってことはないよー、絶対可愛いから、採用されたんだよ~」


 分かる。可愛いもんなあ、赤ちゃんの玲央……。

 天使みたい……。




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