【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

番外編◆クリスマス🎄1

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 クリスマスが近い。

 青いイルミネーションを見に行くことにして、玲央と待ち合わせた。今日は午前中から二人とも別々の用事があって、駅で待ち合わせ。

 オレの方が先についたみたいで、玲央に「着いたよ」と入れて、顔をあげた時。ふわ、と白いものが落ちてきた。

 あ。雪だ……。
 空を見上げると、まだ淡い淡い、結晶。

 すごい綺麗。
 クリスマスに降ったら、ホワイトクリスマスだなあ……それもいいなぁ。
 今日、初雪だ。朝からめちゃくちゃ寒かったもんね。

 手を差し出したら、雪が手の平に乗って、すぐに溶けた。

 早く来ないかな、玲央。
 雪、やむ前に。

 一緒に見たいなあ。
 思った時に、スマホが震え出した。

「もしもし?」
『優月? どこ? もう来てるけど、人が多くて』
「えと……横にポストがある」

 目印になるような物がそれしかなくて、分かるかなと思いながら言ったら、クスクス笑う玲央に「ポスト?」と言われた。でもすぐに「あった。優月見えた。待ってて」と言われた。

 どこだろ、玲央。
 思って、周りを見た瞬間に、玲央が目に入る。駅から続く階段から、降りてくる。

「――――……」

 ていうか。 
 ……目立つ人だな、ほんと。

 人、ものすごくいっぱい居るんだけど。
 玲央しか見えない……みたいな気がする。
 
「ごめんな、寒かった?」

 オレだけじゃなくて、なんとなく周りの人も絶対玲央を見てるような気がするんだけど。
 まっすぐオレに向かってきてくれて、オレだけに笑ってくれるのって。
 ……すごい嬉しい。

「ほっぺ赤い」

 クスクス笑って、玲央がオレの頬に触れる。

 絶対見られてるんだけど。
 ……玲央は全然気づいてない。

 両手ですりすり温められて、「玲央の手、暖かいね」と言うと。

「あ、そうそう。これあげる」
 ポケットから、何かを取り出して、手に持たせてくれる。

「カイロ貰ったんだ、これ握ってたから、手暖かい」

 むぎゅー、とほっぺを挟まれて、暖められるけど。
 ちょっとさすがに人目が……。

「玲央、歩こ?」
「ん」

 一緒に歩き始めてすぐ、「優月、手」と言われて、「手?」と差し出すと、ぎゅと握られる。

「――――……」

 なんだかな。
 胸がいっぱいで、言葉が出ない。

「こっちの手の方が暖かいだろ?」
「うん」

 なんだろうな。手も暖かいんだけど。
 ……気持ちもぽかぽかする。

「初雪だよな」

 玲央が空を見上げながら言う。

「うん」

 そうなんだよ、初雪なんだよ。
 玲央とみたいなって、思ってたんだよー、と、心の中で、言葉がいっぱいなんだけど。なんだか、口に出てこない。

 イルミネーションスポットはもう少し先なんだけど、歩いてる街はもう全部綺麗だし。……玲央の手は暖かいし。雪は、綺麗だし。

 なんだろう。幸せすぎて、言葉が出ないとか。玲央と居るとたまにある。

「――――……なんか静か? 優月」

 玲央が不意にオレを覗いてきた。

「ううん」
 首を振って、笑って見せる。
 クスッと笑った玲央に、くいくいと手を引かれて、少し道路の端に。

「?」

 見上げた瞬間。

 ほんとに一瞬、ちゅ、とキスされた。

 多分、誰もこっちは見てない。と思うけど。
 キラキラした歩道で、ひといっぱいなとこで。

 オレにキスした、めちゃくちゃカッコいい人は。
 クスクス笑うと、またオレの手を引いて歩き出した。

「可愛いんだもん。ごめんな」
「――――……」

 全然。ごめんじゃないし。

「……玲央」
「ん?」

「ありがと」

 そう言うと、「ありがと?」と言って玲央が笑う。

「うん。オレと居てくれてありがと」

 そう言うと、玲央はちょっと不思議そうにオレを見てから。

「ずっと居るけどな?」

 と笑った。





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