578 / 856
◇同居までのetc
■番外編■クリスマス🎄5
しおりを挟む恥ずかしいこと、色々あったけど、結局嫌がってた玲央も皆の圧に負けて仕方なく、帽子をかぶった。けど、深くかぶるのは拒否してて、ほんとに軽く。
……ていうか、こんなに格好良く、サンタの帽子をかぶれる人が居るなんて、驚き。……と思う位に、カッコいい。
「……つか、お前、オレととりかえろよ」
颯也が、カチューシャを外そうとするけど、玲央は即座に、無理、と言った。
「なんか玲央、意外とそれ似合ってて全然変じゃねえし、面白くない!」
稔が騒ぐが、玲央は全然無視して、オレの方を見てる。
「なんか……ほんとすごい似合うな、優月」
クスクス笑いながらオレに言う。皆がこっちに視線を向ける。
玲央は前までは、好きとか可愛いとか言わないようにしてたって言うし、きっと、皆はそういうことを言う玲央を、あんまり知らないんだと思う。
だから、皆はよく、こういう玲央に「慣れてきた」と言ってることも多いんだけど。
とっさの玲央の言葉には、は? みたいな顔を見せる時も多くて。
大体、玲央はオレを見て言ってるので、オレが、玲央越しに、皆の視線を受けるような感じになる。
玲央は、全然恥ずかしくないみたい。
オレは、すごく嬉しいんだけど、恥ずかしいし。……でもやっぱり、嬉しいのかな。皆が、少し呆れながらも、そんな玲央を楽しんでるみたいな感じもするし、なんだかとってもほっこりもする。
――――……皆、ほんとに仲良くて、ほんと、好きだなあ。
と、思っていると、勇紀に呼ばれた。
「優月、ケーキ食べる用意しよ~手伝って?」
「あ、うん」
立ち上がって、勇紀と冷蔵庫のところに行く。
少しだけ皆と離れると、勇紀はクスクス笑った。
「……優月って、さ。皆の前で可愛いとか言われるの苦手?」
「……苦手というか……うーん……」
「恥ずかしそうな顔するもんね」
「んー……別にオレ、女の子じゃないしさ、そんなに言うほど可愛くないなあって思うから、ちよっと恥ずかしい」
そう言うと、勇紀はクスクス笑う。
「でもオレも、優月に可愛いって言ってたよね」
「……あ。うん……?」
でも勇紀の言ってたのはちょっと違うような気がするけど。
「大丈夫、優月が可愛いってことには、誰も疑問持ってないから」
「――――……」
謎な大丈夫をもらってしまって、オレが勇紀を見つめてると。
「オレ達が疑問なのは、あの甘々デレデレな人だからねー」
「…………」
甘々デレデレ……。
なんか玲央には、全然ぴったりじゃない言葉なんだけど……。
「嘘みたい、ほんとに。恋愛関係に至っては、超クールっていうか、割り切ってて冷たいっていうか。そんなだったのに」
ホールのケーキが二つ。
大きめのお皿二枚にケーキを出して、ロウソクとか、サンタの砂糖菓子の飾りを上に置いたりしてケーキを可愛く飾りながら、勇紀が笑う。
「……この砂糖より甘々だもんな?」
クスクス笑いながら、オレを見る。
「つかさ、玲央がサンタ帽子かぶるとか、ありえないかんね」
「そうなの?」
「優月とお揃いでかぶるなら、もしかしてと思ってさ。だから、二人はちょっとまともなの。ほんとはもっと面白いのも売ってたんだけどねー」
クスクス笑う勇紀。
「でもサンタの帽子だって、玲央がかぶるとか奇跡に近いからね?」
そうなんだ、と頷きながら、オレも笑っちゃうんだけど。
だって、こんなに普通のサンタの帽子が奇跡に近いとか。
昔の玲央は、よっぽど今と違うんだろうなあと思うと、少し不思議。
「あれ? ロウソクついてたから立てちゃったけど、誕生日じゃないじゃんね。どーする……?」
「……そういえばそうだね。あれ?」
勇紀とオレで顔を見合わせて、クスクス笑ってると。
稔がこっちを見て……。
「おーい、玲央が妬くから早くもどってこーい」
「妬いてねえっつの」
さすがに玲央も即座につっこんでる。……笑いながら。
(2022/12/30)
なんか終わりが見えませんが、
30迄にクリスマス物は終えようと頑張ってます……(笑)
326
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる