【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「今日一日」*優月

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 もうすぐ正門。
 玲央と離れなきゃ。て思うといつもちょっと寂しい。……いつもずーっと、居るのにと、自分でも思うけど。

「玲央は、今日、練習だよね?」
「ああ」
「何時まで?」
「二十一時位かな……夕飯食べてから帰るから」
「うん」
「合わせられたら一緒帰ろ。優月の方が早かったら……こっち来てもいいけど」
「じゃあ、とにかく、途中で連絡入れとくね。見れる時に見て?」
「あぁ。オレもする」
「うん。連絡取れなかったら、帰ってるから」
「分かった」

 頷くと、なんとなく見つめ合う。
 ……見つめ合うと、お互い、くすっと笑ってしまう。
 
 別になにかがおかしいわけじゃなくて。
 ……多分、優しい気持ちになるから。

 オレはそうなんだけど。……多分玲央も、そうなんじゃないかなと思う。

「じゃあ、玲央、またね?」
「ん」

 頷いた玲央の手が、背に触れる。
 ぽんぽん、と優しく叩かれて、ふ、と見上げる。

 こんなところで、人にキスしたいなー、なんて。
 自分が思うようになるなんて、ものすごく不思議だけど。

 バイバイ、と手を振って、玲央から離れた。
 曲がり角の所でちょっと振り返ると、まだ立っててくれて、最後にもう一度小さく手を振る。

 ……ずーっと居て、今離れたばっかりなのに、寂しいとか。
 自分でもほんと不思議だけど。

 玲央とおんなじ学部で、おんなじ授業取って、ずっと一緒居れたらいいのに。なんて思うけど、でもそれはそれで、あんまり全部占領しちゃうのもなぁ、なんても思うし。
 飽きられちゃうかも? どうかなあ。まあ少なくともオレは飽きないけど。

 ……飽きないけど、多分、少し離れて、それぞれのことをして、でもって、また一緒に戻る……の方が、なんとなくきっと、良い気がする。

 ……んー、でもちょっと寂しいけど。
 なんて堂々巡りで色々考えながら、一限の教室に向かう。

 玲央はもう部室についたかなあ。
 そう思いながら、教室に入って、仲良い友達の居る席に近づく。

「おはよー」
 皆と適当に挨拶を交わして、席に座って、教科書やノートを並べる。
 ぶ、とスマホが震えた。

 「教室ついた?」と玲央からだった。
 「着いたよ」と返すと、「オレも部室入った」と玲央。
 「毎日一限あるみたいな優月の時間割がすごすぎ」と入って、笑ってるスタンプが入ってくる。「教職あるからね」と笑顔マークを返すと。「応援してるから頑張れ」って。

 うわー……。
 嬉しい。

「オレも全部応援してるよ、玲央」
 そう入れると、いいね、みたいな、グーサイン。


 ……がんばろ、今日、一日。
 決意新たに、スマホをポケットにしまうと。

「……相手は、彼氏?」
 隣の友達が、こそ、と話しかけてきた。

「……うん。そう」
 ふ、と笑って答えると、そか、と微笑まれる。「どして?」と聞くと。

「めちゃくちゃ嬉しそうな顔してスマホ触ってるからさ」
「え。……そう?」
「うん」

 クスクス笑われて。ちょっと恥ずかしくて、頬を引き締める。

 オレ今、超普通の顔してたはずなのに、おかしいなと、思いながら。





(2023/5/8)
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