641 / 856
◇同居までのetc
「そっち??」*優月
しおりを挟む席について、オムライスの写真を撮って、玲央に送った。
「オレのラッキーアイテムはこれ」とメッセージも送ったら、「優月用のラッキーアイテムじゃん」と返ってきて、笑ってる顔文字がついてる。
……オレがオムライス好きなのを知ってくれてるからこの返信なんだよね。と思うと、なんかすごく嬉しい。
あ、でもオレ、麻婆豆腐好きか嫌いかってこと、知らなかった。
……そういえば、ずーーーっと一緒に居て、ご飯一緒に食べてる気するけど、まだ出会ってそんな経ってないし、一緒に食べてないものもいっぱいあるし、好き嫌いとかも、知らないものいっぱいあるんだ。
そんなに好き嫌いは無いって言ってた気するけど、好きか普通か、くらいはあるよね。
……なんか。あれだなぁ。
これからいっぱい知っていけるんだなあと思うと。
……なんか幸せ。かも。
知りたいこといっぱいある。
「いただきます」
手を合わせて、食べ始めると、少しして、「なんか優月に似合う食べものだよな」と言われた。
「……オムライス? 似合う?」
「うん。……なんとなくな?」
クスクス笑われて、言った友達が隣の友達に視線を送ると、「分かる」と笑われる。
「……好きだけど」
似合うってよく分かんないけど。まあいっか。好きだし。
……と思ったんだけど、食べながら、んー、と考える。
卵料理が好きだし、オムライスすごく好きだけど、なんとなく、オムライスとかって、旗がささった子供用の食べ物のイメージがあるなあ。似合う……。
……まあ美味しいからいっか。と結論づけて、オムライスを食べていると。
「よ」
不意に上から声がして、振り仰ぐと、恭介が笑っていた。クラス会の日以来だ。
「今来たの?」
友達の声に、違うよ、と恭介が笑う。
「ちゃんと二限出たよ。優月にも言われたし」
言いながらオレに視線を流してくる。
「それはオレに言われなくてもちゃんと出てね」
クスクス笑いながら言うと、「はーい」と恭介が笑う。
「大丈夫、ちゃんと出なきゃいけないのは出てるし」
「なら良いけど。後輩にならないでね?」
「怖いこと言うな」
言いながら、恭介は持っていたトレイを置きながら、オレの隣に座った。
「なあ、優月、あれからどーだった?」
「ん。……あ、皆に言ってから?」
「ん」
頷いて、いただきますと言ってから、食べ始める恭介に、オレは「なんか普通な感じ、かな」と笑った。
「あ、やっぱり?」
「なんでやっぱり?」
「なんかそんな感じがして」
クスクス笑いながら恭介がオレを見つめる。
「何人かとそのこと話したんだけど。ほら、なんかあれじゃん、信じられないーとかさ、言われてたら嫌だよなーと思ったんだけど」
「ん」
「女子なんか、喜んでたしな」
クックッと恭介が笑う。
「そうなの? 喜ぶ?」
「絶対カッコいい人だよ、絶対、だって優月くん、可愛くなってるもん、みたいな」
「…………」
なんかそれクラス会の時も聞いたような。
……カッコいい人ではある。……死ぬほど、誰よりカッコいい気はする。
でも、オレが可愛くなってるからカッコいい人っていうのは……可愛くなってる……?? 謎すぎる……。
「イケメンナンバーワンって、言いたくて言いたくて」
「……そっちはまだ、広まってないの?」
「意外だよな、広まってない。あん時も、何人かは悟っただろうし、分かってる奴もいるんじゃないかなーと思うんだけど。あれだな、優月がまだ言いたくないって言ったからかな」
「……オレ、ちょっとは覚悟してたんだけど」
そう言ったオレを見て、恭介はクスクス笑う。
「まあさーお前迎えにきたあいつ、絶対バレても良さそうだったじゃん。頭撫でてるし、むしろ見せつけてきてるみたいな?」
「……」
「まあお前もまっすぐ駆け寄ってくし、バレても平気なんだろうなと、オレは思ってたけど」
「……うぅ~……」
何も言えない。あの時は、バレても平気というよりは、玲央が居て嬉しくなっちゃっただけで……。
ごはんを口に入れてモグモグ食べながら、思わず唸ってしまうと、恭介がめちゃくちゃ面白そうに笑い出して顔を背けると、口を押えてて、でもなんかプルプル震えてる。
「……笑いすぎ」
ご飯を飲み込んでから、むっとして言うと、恭介はくる、と振り返って。
「だから、お前はリスかって……」
「そっちで笑ってたの?」
何なんだもう、と眉を寄せると、周りで聞いてた友達たちも笑い出した。
(2023/5/18)
本日表紙を変えました。しばらく慣れないかもですが…💦
よろしくお願いします(*'ω'*)✨
347
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
隣国のΩに婚約破棄をされたので、お望み通り侵略して差し上げよう。
下井理佐
BL
救いなし。序盤で受けが死にます。
大国の第一王子・αのジスランは、小国の第二王子・Ωのルシエルと幼い頃から許嫁の関係だった。
ただの政略結婚の相手であるとルシエルに興味を持たないジスランであったが、婚約発表の社交界前夜、ルシエルから婚約破棄するから受け入れてほしいと言われる。
理由を聞くジスランであったが、ルシエルはただ、
「必ず僕の国を滅ぼして」
それだけ言い、去っていった。
社交界当日、ルシエルは約束通り婚約破棄を皆の前で宣言する。
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結済】「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。
キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ!
あらすじ
「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」
貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。
冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。
彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。
「旦那様は俺に無関心」
そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。
バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!?
「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」
怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。
えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの?
実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった!
「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」
「過保護すぎて冒険になりません!!」
Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。
すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
若頭の溺愛は、今日も平常運転です
なの
BL
『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』続編!
過保護すぎる若頭・鷹臣との同棲生活にツッコミが追いつかない毎日を送る幼なじみの相良悠真。
ホットミルクに外出禁止、舎弟たちのニヤニヤ見守り付き(?)ラブコメ生活はいつだって騒がしく、でもどこかあったかい。
だけどそんな日常の中で、鷹臣の覚悟に触れ、悠真は気づく。
……俺も、ちゃんと応えたい。
笑って泣けて、めいっぱい甘い!
騒がしくて幸せすぎる、ヤクザとツッコミ男子の結婚一直線ラブストーリー!
※前作『ヤクザの恋は重すぎて甘すぎる』を読んでからの方が、より深く楽しめます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる