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◇同居までのetc
「ちょっと告白」*優月
しおりを挟むぱちっと、目が開いた。なんだかすっきり。
見慣れた部屋。そうだ、自分ちだ。
やっぱりまだ、玲央の家より、この部屋の方が、見慣れてるんだ。起きた時に違和感がないや……。
そんな風に思いながら、そーっと、玲央の気配がする方を見ると。
珍しく、寝てる。
わー。
玲央の寝顔は、なんだかとってもお得な感じがする。
……綺麗。
オレ今まで、人に対して「尊い」という言葉を使ったことが無かったのだけれど。
玲央を見ていると、いつもそれが浮かんでくる。
尊いって、玲央のためにある言葉じゃないかな……。
睫毛、長いんだよねー、玲央。
……でもなんか、女の子みたいなんじゃなくて……ただ、綺麗。
横顔とか、ほんと、綺麗。
……瞳伏せてても、カッコいいって何なんだろうか。
もうもう、スケッチブックを今ここに下さい。動けないので、誰か持ってきて。描きたい描きたい、ウズウズしてしまう。
もう覚えておいて、あとで描こう。
心に決めて、じーーーーっと、見つめ続ける。
眉毛がこんな感じで、鼻筋……と、閉じた瞼の形。長いまつ毛。
薄いけど、綺麗な唇。
尊い。
しかないなぁ、もう。
いいんだろうか、オレがこの寝顔を独り占めしていて。
何かすごい、この大幸運の代償を払う日が来るのでは? とか、なんか変なことまで考えてしまうほどに、一人で見てていいのかなと、思っちゃうよ。
いやでも、この寝顔、やっぱり誰にも見せたくないような……。
むむむ。オレってば、こんな独り占めしたい感覚、あったんだな。
どうしてこんなにカッコイイ人が居るのだろう。
じーーーー。
この瞳が、開いたら、オレをまっすぐに見てくれる。
ふ、と、瞳をゆるめて、少し細めて、口元がにっこりして。
その指が、オレの頬や、頭や、体に、触れる。
何か言うと、めちゃくちゃ、聞き心地の良い、ちょっと低い声が。
めちゃくちゃカッコよくて。
ずーっと声、聞いていたいなって思っちゃうし。
…………玲央。
じーー、と玲央を見つめる。
オレ、玲央が思ってるよりも、きっと何億倍も、
玲央のこと、好きだよ。
玲央が、生きててくれるだけで、嬉しいって思う。
そばに居たいけど。
もし玲央が、側に居てくれなくなっても。
多分、ずーーっと、好きだなーと思うくらい。
玲央のこと、好きなんだよ。
会ったばかりなのに。
もっともっと、長い時を過ごした大好きな人達、いっぱいいるけど、その人達のことは、玲央と同じようには好きじゃない。
何が違うのかは、分かんないけど。
触れたいって。愛してるって、思う。
嘘みたいなくらい、すごくすごく。
……玲央のことが、好きだよ。
心の中で、なんだか朝からそんな告白をしながら、じー、と見つめ続けていたら。
ふ、と玲央が目を開けて、オレを見た。
「あれ……優月?」
「おはよ」
「起きてた?」
「うん。少し前に」
「……見てた?」
「見てた。カッコイイ、寝顔」
「――――……」
玲央はオレを見て、苦笑。
「変な顔してた?」
「してないよ~カッコいい」
「そう?」
クスクス笑う玲央。
「ていうか……半目開いてても、玲央はカッコいいと思うけど」
「それはなくないか?」
ますます苦笑する玲央。
「カッコいいよ」
ふふ、と笑ってると、ちゅ、と頬にキスされる。
「まあ優月も半目開いてても可愛いけど」
「……え、開いてたら、見ないでね」
「可愛いだろ」
「絶対嫌だからー見ないでね」
玲央はカッコいいけど、オレはやだ。と思っていたら。
すぽ、と抱き締められた。
「どんなんでも可愛いと思うから平気」
寝起きの玲央は、ちょっと体温が高い。
あったかい。
ふふ、と笑った。
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