【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「昔の噂」*玲央

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 車に乗って、シートベルトを締めて、エンジンをかける。
 隣に座った優月が、オレを見てくるので目を合わせた。

「お昼、色々って?」
「ん、なんかね、まだ玲央の噂が昔のままみたいでね。春さんがそれを聞いちゃったらしくて、オレを心配してくれて……」
「ああ、そうなのか」
「春さんて、オレのこと、お兄さん目線で見てくれてるみたいでね。大丈夫って聞かれて」

 なるほど。
 ……お兄さん目線、ね。まあでもあの人はそんな感じな気がするけど。

「だからね、ごめんね、玲央、あの……」
「……?」

 なんだかとても言いづらそうな顔の優月を見つめ返す。

「どした?」
「……あの、勝手に見せてごめんね」
「何を?」
「……スマホの、やりとりを、見てもらったの」
「――――……ああ、オレと、優月の?」
「うん。ごめんね」

 そう言われて、考えるけれど。

「別にいいよ」
 そう言って、困った顔をしてる優月の頬をつまんでみる。

「思い出す限り、可愛いとかハムスターとか、言ってるくらいしか無いし」
「……うん」

「ずっと一緒に居るから、そんなにやりとりしてないもんな」
「うん、そうなんだけど」

「つか、なんかあったっけ、見られて困るようなやつ」

 考えながら、優月の頭をヨシヨシしてから離すと、優月はぷるぷる首を振る。

「ううん、その、ハムスターの話とか……後で、キス、しようね、とか」

 キス、のところだけちょっと恥ずかしそうに言った優月を可愛いと思いながら、そんなの書いたっけと考えてると。

「オレがそういうスタンプ押したら、後でしようなって言ってくれたの覚えてる?」
「ああ、入れたな」

 ……なんか見たまま流れるように入れたような気がする。あまりに普通に入れたから、忘れてた。

「なんか、それ見せたら、随分噂と違うみたいって……ハムスターが可愛いって言ってる玲央が可愛いかもって、春さんが言ってて」
「オレが可愛いっていうのは、ちょっとあれだけど」

 苦笑いが浮かんでしまうが。

「ああ、でも……それでどうにかなったのか?」
「うん、そう、だと思う」
「ふーん……」

 なるほど。と思いながらもちょっと気になったのは、立ち話とかじゃないのかなということ。

「それって、昼に話したのか?」
「あ、うん。呼ばれて、ご飯一緒に食べた」
「そっか。……もしかして、結構大変だったか? 信じてもらうの」

「えと……んー……でもスマホ見せたらわりとすぐで」

 ちょっと困り顔の優月。

「でも勝手にやり取りみせちゃってごめんね?」
「いや、それは全然別に……」

 言いながら、ああ、なんか優月が「スマホを勝手に見せる」くらい、大変だったのかなと思って、ふ、と見つめた。

「もしオレの噂が原因でさ」
「?」
「今後、またそういう、誰かに心配されるとかがあったら」
「うん?」
「オレのこと、呼んでいいよ」
「――――……」

「直接、その人の気が済むまで話すから」
「――――……いい、の?」

 じ、と見つめられて、聞かれるけど。

「良いに決まってるし。ていうか、オレのせいじゃんか、優月が困る必要はないから」
「――――……」

 優月はオレをじっと見つめていたのだけれど、なんだか、うる、と涙目に。
 え? と思ったら、優月の手が伸びてきて、ぎゅう、と首に抱き付かれた。




 
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