【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇同居までのetc

「面接?」*玲央

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「そういえば、明日って、何時に希生さんのとこ、行くの?」
「十時以降ならいつでもいいってさ」
「そっか」
 優月は一生懸命巻きながら頷いて、「何時に行く予定?」と聞いてくる。

「どうせ泊るし、そんな早くなくてもいいけど」
「希生さんのお家に行くんだよね? お父さんとかは?」
「敷地は一緒。でも、じいちゃんだけ別の建物に住んでるんだよ。で、うちの両親は明日は帰りが遅いらしいよ」
「あ、そうなんだ。じゃあ会えない?」
「明日は会えないだろうな」

 そう答えると、そっかー、と言いながら、巻いた寿司を口に入れてる。
 ……ほんとなんか、可愛い食べ方。

 よしよし、と撫でると、何で撫でてるんだろうと、また不思議そうだけど。口に入ってるので何も言わず、じっと見つめられて、その瞳が緩むだけ。それがまた可愛いけどと思いながら、手を離す。

「ていうか、優月、うちの親に会いたい?」
「ん。……んー……」

 もぐもぐもぐ。
 食べ終えて、水を一口飲んでから、んー、とオレを見つめる。

「前、玲央が、長く付き合ってから話した方がいいって言ってたから……会っても、友達として、だよね??」
「んー……そうかな。まあ、じいちゃんが突然ばらさなければ」

 なんかやりそうなんだよな、と思いながら、苦笑して言うと、優月は、あは、と笑った。

「オレは、玲央のお父さんとお母さんには、会ってみたいよ。どんな人かなあって、思ってるし。会えるの、楽しみだし」
「そか……」

 楽しみ、か。
 ……まあきっと、ほんとに楽しみなんだろうな。優月だから。

 変な感じで納得していると、優月が隣で、ふふ、と笑いながら見つめてくる。

「玲央、希生さんに似てるなーって思ったけど、お父さんとかお母さんにも似てる?」
「じいちゃんに似てるって言われてきたけど、でもなんとなく似てるかもな。母さんは似てないかなあ……」
「そうなんだ。なんとなくでも似てるなら、カッコいいんだろうなー」

 無邪気に言って、笑ってる。

「うちの親に会うとしたら、緊張する?」
「うん。するかなぁ」
「だよな」
「でも、楽しみだよ?」

 無理してる風もなくにっこり笑って言うので、優月らしいなとも思うのだけど。

「優月のお母さんは、理解ありそうだったから、オレは助かったけど」
「ふふ。びっくりしたけど。……樹里にも」
「そうだな」

 BLとか言われてたっけと思い出して、ふ、と笑ってしまう。

「でもまだ、優月のお父さんには会ってないし、会う時はやっぱり緊張するかな、オレも」
「うちは平気そうな気がするけど」

 クスクス笑いながら優月が言う。

「そうだといいけどな。ただ、うちも、オレがバイなのは知ってるから、もし優月を恋人として紹介しても衝撃って感じではないと思うけど……まあなにせ、昔のオレのせいで、信用がないのが……」
「玲央……」

 優月はクスクス笑って、「そんなこと言わないでいいよ」と言いながらオレを見つめてから。

「それより、そもそもオレが気に入られなかったらどうしようーって思うと、やっぱり緊張はする」

 ドキドキだね、と優月は苦笑い。

「優月を気に入らない奴なんて居るかな」
「えーいると思うよ~」
「居ないと思うんだけど」

「実は、まだ希生さんだって、ドキドキだよ?」
「あ、じいちゃん? そうなのか?」
「そうだよ、なんか明日は、希生さんの面接受けに行く気分もちょっとあるからね」
「面接?」
「そう、可愛い孫の玲央の恋人で相応しいのかって言う」
「別に可愛いとは思ってないと思うけど」

 苦笑したオレに、「そんなことないよー、絶対可愛いと思ってるよー」と楽しそうに笑う優月。

 ……面接か。


「でもそれ言ったらさ」
「うん?」

「優月の先生と、蒼さん。オレも面接じゃねーかな」
「……あ、そうかな?」

「可愛い孫みたいな。あと可愛い弟みたいな? 面接官二人いるけど」
「ふふ。明日、ちょっと大変かなあ?」

 とか言いながらも、優月はなんだかすごく楽しそうだ。



 
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