【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇ライブ準備

「白のイメージ」*優月

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 皆で入場したところで、玲央とオレは、甲斐と勇紀からからそれぞれ袋を受け取った。玲央がさっき頼んでくれていたTシャツ。

「とりあえず、着替えといでよ。ここで待ってる」
「サンキュ。優月、トイレいこ」
「あ、うん。勇紀、ありがとう」

 三人と離れて、玲央と一緒にトイレに入って、奥の鏡のスペースへ立ち入る。誰も居なかったので、ここでぱっと着替えちゃうことにした。「鞄持ってる」と玲央が言うので一旦預けて、シャツに腕を通してぱっと着替えた。裾をぴんと引っ張って形を整えて、鏡を見た。黒のTシャツに英字のTシャツ。シンプルなんだけど、だからこそ余計に、つけてるアクセサリーや、髪の毛の青が目立つ気がする。

「イイ。似合う」
 ふ、と玲央が目を細めながら言ってくれる。嬉しくなって、ありがと、と言ってから、玲央の荷物を全部預かると、玲央も手早く着替えた。甲斐が用意した玲央のTシャツは、白だった。

「白、カッコいい、玲央。そういえば、あんまり着ないね」
「あー確かにな。なんかオレは、白着るタイプじゃないと思ってたかも」
「えーなんで、今すっごくカッコいいよー」

 なんか、清潔感が何倍増しになったような。ていうか、いつでも、清潔感はあるんだけど、なんか強烈に。

「カッコいい」
 ついついご機嫌で眺めてしまうと、玲央は、「そう?」と笑った。

「優月の黒も、珍しいかもな」
「あー確かに。敢えてあんまり着てないのにしたのかなあ?」

 着ていた服をしまってから、皆のところに戻ると、皆は、お、と楽し気に玲央とオレを見比べた。
 勇紀がオレを見つめて、うんうん頷きながら。

「優月、いいじゃん。玲央の白も。どっちも、あんまり着ないだろ?」
「あ、やっぱりそう思って、この色なの?」
「そーだよ、三人で、何色がいいかなって相談してさ」

「そうなんだーありがとうー」
 なんだかそんなこと、相談して決めてくれたんだと思うと嬉しくて、どうしても笑ってしまう。

「優月の黒は、そうしようってすぐ決まったんだけどさ。玲央、どうするーってなってさ。そういえば、玲央、白のTシャツってあんま着ないよなって。シャツとかは辛うじて白っぽいのも着るけど……」
「だってなんか白のイメージねーし」

 勇紀の言葉に続けて、甲斐も可笑しそうに笑う。そのあとを継いで、今度は颯也も笑いながら。

「でも、最近の玲央は、白でもいいんじゃねーのって、オレが言ったら、二人もしばらく考えてから、まあそっか、て言いだして、決定」

 ――えーと。そんなに玲央って、白いイメージないの? 確かにあんまり着てないなあとは思ったけど。目の前の玲央は、めちゃくちゃカッコいいけどなあと、思ってると。

「最近のオレなら白でもって……」
 玲央が呆れながら言って、三人を見て苦笑する。

「ほらだって、優月と一緒で、なんか浄化されてるってことになってるじゃん?」
 と勇紀が言うと、玲央はまた苦笑。

「なってるって、それ、甲斐が勝手に言っただけだろ」
「いやいや、オレらの中では、もうそれはそうってことになってるし」

 なってる、と颯也も頷いて、なんかニヤニヤしている。玲央は、ちらっとオレを見て、その後、微笑むと、「――まあそれでいっか」と言いながら、オレの頭に手を置いて、くしゃ、と撫でた。

「優月のおかげで、白が似合うようになったらしい」
「えー? ……なんかそれは良く分かんないけど」

 言いながら、玲央を見上げる。

「ていうか、玲央はなんでも似合うよ?」
 ふふ、と笑いながらそう言うと。

「違うんだよー優月! そう言うことじゃないの!」

 あはは、と勇紀が笑う。

「顔とかじゃなくてさぁ、こう、なんつーの? 内面的に似合わないっつか。白ってイメージじゃなかったんだよ」
「そうそう。夜って感じ。黒とかの方があってたけど……なんか最近の玲央って、落ち着いてるしな」
「早起きだし。一限居るし」

 勇紀と甲斐と颯也が、ポンポン言ってきて、玲央に「内面的に白があわねーって……」と言い返してるのを聞きながら。
 ……あ、でも、玲央、そういえば自分でも、白着るタイプじゃないとか言ってたなぁ。と思うと、皆の認識は一致してるみたいで。
 ぷふふ、と笑ってしまう。

 皆で飲み物を買って、会場への通路を歩いていると、前を歩いていた勇紀が、玲央を振り返った。

「でもさー、なんかこのまま玲央が落ち着いてさぁ、今までのちょっと色気みたいなの、なくなったらどーする?」

 皆が一瞬、シン、として、あー、と甲斐と颯也が唸る。

「なんかそれは、バンドの危機なんじゃね?」と、甲斐。
「玲央のそういうのがカッコいいって、ファン、多いもんな」と颯也。

「マジでどうする、まったりとさ、優月と猫だっこして、ほのぼの玲央になっちゃったら」

 どうやら、勇紀は、それはちょっと本気で心配してるらしい。ヤバいよね、と眉を顰めている。







(2024/9/20)

(ここに書いてた後書きは消しました。
いつか本にする時が、もしきたらまた詳しくお聞きしますね♡)
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