【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇ライブ準備

「なんか違う」*優月

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 皆それぞれ車だったり、方向が違うので、駅前でご飯をたべて帰ることになった。イタリアンのお店。分けて食べれそうなピザとか、パエリアとか、大皿のものをいくつか頼んで、好きに取ってくことにした。

「わーパエリアおいしー!」

 思わず声に出ると、隣に居た勇紀が、どれどれ、と手を出してる。
 ちなみに、玲央、オレ、勇紀、向かいに甲斐と颯也が座ってる。

「あ、ほんとだ、うまい」
「ねー、前に勇紀と行ったお店のパエリアも美味しかったよね」
「あ、そーだね、また行こ」
「うんうん」

 ふふ、と頷いていると。
 甲斐が「玲央が妬いてるぞ」と、オレを見て笑う。そんな馬鹿な、と思いながら、反対隣の玲央を見る。

「妬いてないから」

 苦笑の玲央が、オレと目を合わせてそう言ってから、甲斐に視線を投げて、ちょっと睨む。

「変なこと言うなよ。なんで、ここ二人で妬くんだよ」
「えー、だって、オレを置いて二人でか? って思ってなかった?」

 クスクス笑う甲斐に、玲央は「思ってねーし」と即答。

「いやでもね、気を付けないと……つもりつもって、優月と二人でのお出かけ禁止令とか出ちゃうかもしんないし」

 隣で勇紀もそんなことを言い出す。「ああいう今まで妬かれるのが嫌だとか言ってて、全然嫉妬とかしてない奴ってさ、きっと嫉妬とかよく分かんないんだよ。自分で」と、続けてる勇紀を、玲央が呆れたように薄い目で見てる。
 笑ってしまいながら、勇紀の話を聞いてると。

「だからさ、全然妬いてねーからとか言いながら、なんか地味に心の中に降り積もってってさ~いつか爆発するっとパターンがね……」

 うんうん、と勇紀は自分の発言になんだか頷きつつ。

「だから優月、気を付けた方が良いと思うよ。ほんとに――」


 そこまで言ってから、オレが苦笑いを浮かべているのを見た後で。

「あーでも、玲央は優月にはきっと何もしないから、気を付けるのはオレかな? なんかこう、裏で沈められるみたいな……」
「あー、それだな、勇紀。頑張れよ」
「大変だなー、お前」

 甲斐と颯也までふざけて、そんな風に言ってて、玲央はもう呆れて、テーブルに肘をついてる。

「あはは」

 面白くて笑ってると、玲央が隣で「聞くな聞くな」と、オレの耳を塞いでくる。わわ。ぞく、として、ぴく、と震えると。

 途端に、呆れたみたいな顔をしてた玲央が、オレをまっすぐ見て、ふ、と微笑んだ。

「――マジで可愛いな、優月」

 そう言って、オレの髪の毛を、今度はくしゃくしゃとかき混ぜて、最後に軽く抱き締められて、ぽふぽふと背中を軽く撫でる。

 オレが、ぴく、て震えたのは、多分触れてた玲央しか気づいてなくて。
 急に可愛いって言って、撫でまくった玲央を見て。

 髪を直しながら、三人に視線を向けた時にはもう、三人、超あきれ顔。
 三人とも、はー、とか言いながら、テーブルに肘をついてる。


「お前のそんな、デロデロに甘い顔、見る日が来るとは思わなかった」
「やばくねえ? 勝手に触っといて、顔見たら、マジで可愛い、だってー」
「やばいね。ほんとやばいよね」

 颯也が呆れたように言って、甲斐がふざけて、なんか勇紀は、本気でヤバいと思ってるみたいな口調で。

 うう。多分、今の可愛いは、こんな些細なことで、ぞわぞわってしたオレに気づいて、多分、なんか、ちょろすぎて可愛い、みたいな感じだったと思うのだけど。

 ……それはそれで。……いや、そっちの方が、恥ずかしくて。
 絶対、言えない。


 うう。でもなんかただ顔見ただけで、可愛いって言ってるみたいなのも、なんかそれは、ちょっと違うような……と、オレは、なんかもう、ぴくってしちゃったのが、恥ずかしいし、なんかもうどんどん顔が熱くなっていく。

「ほらもー、また優月が赤くなっちゃってるじゃんー! もー、玲央のそれ、ちょっと押さえてあげなよー、可哀想じゃんー!」


 いや、なんか違うんだけどー!!
 でも全部は説明できない。
 





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