【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇ライブ準備

「もだえるくらい」*優月

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 なんだかものすごーく濃かった週末を過ごして、月曜の朝。
 玲央の腕の中で目覚めた。

 起きて、目が合った瞬間、あ、昨日待ってるって言って寝ちゃった、と思って、あ、と喋ろうとしたら、むぎゅーーーって感じで抱き締められた。

「すっげー可愛い感じで寝てた」

 クスクス笑う玲央が、優しい声でそんなことを言う。

「……? どんな感じ……??」

 そう聞くと、「先に寝ててくれてありがとなっと思う感じ」とか、なんだかよく分からないことを言われた。けど、なんだかとってもごきげんで楽しそうで、大好きだったので、オレもそのまま玲央の背に腕を回して、心のままにすり寄ると。
 ふ、と笑った気配がして、より密着する感じで抱き締められた。

「――――……あーもう……ほんと」
「???」

 なんだかめちゃくちゃすりすりされて、撫でられて、抱き締められて。
 ひええ、てなりながら朝を過ごした。

「学校休んで、一日こうしてよっか」

 そんな甘い甘いお誘いに、ついつい、うん、なんて言ってしまいそうな自分にはっと気づき、ダメ、と答えると、「分かってるけどさ」と玲央がちょっと拗ねてるみたいな。

 うう。可愛い。
 胸の奥、最大限にきゅんきゅんしながら、過ごしてしまった。
 その後は、普通に着替えて、一緒に朝ごはん作って、なんかとってもそばで座って一緒に食べて、で、いつも通り登校して、正門のところで、じゃあ帰りにな、と別れた。

 お昼とかは、て思ったら、土日、優月のこと独り占めしすぎたからって、なんか笑ってた。確かに友達は元々はかぶってないから、ほんとなら、一緒にならないのが普通だからなぁと思いながら、オレも、じゃあ帰りにねと別れてきたけど。

 なんか。振り返ると、玲央がまだ正門のところで立っててオレを見てるから、何回か振り返ってバイバイして、最後見えなくなるところでも、もう一度バイバイしてから、校舎に入った。
 階段を上って、教室に入る。ちょっと早くついちゃって、まだあんまり来てないので、適当に真ん中あたりの席に座った。
 筆箱とかを出しながら、なんだか朝からのやりとりがよみがえってくる。


 ――――……。

 なんか。
 ……玲央って。

 …………うう。可愛い。

 もう、いつもひたすらにカッコいいのに。
 玲央が可愛いっていう、オレのこの、悶えそうな気持ちって、多分、あんまり誰とも共有してもらえない気がする。

 カッコいいなら、色んな人と共有できちゃうと思うけど、この、「んー、可愛いよう……」っていう、この気持ちは、きっと、誰も分かってはくれなそう。

 もしかして蒼くんはちょっと年上だから、その目線で可愛いって分かってくれるかな。って言っても、別にオレは年上目線で可愛いって言ってるわけじゃないから、もうなんかまた違う話かなぁ。


 ――――……ふ、と思い出す、数々のシーンの玲央は、ひたすら「カッコいい」なのだけど。
 ……ずっと正門に立って見送ってくれてるとことか。朝、ちょっとねぼけた感じで、めちゃくちゃすりすりしてくる感じとか。


 うう。愛しすぎて、心臓が痛い。
 なんなんだろう、寝ててくれてありがとうって。

 待ってるって言ったあげく、寝こけてた人に、そんなこと言う人、居るのかな?? この世には、そういう人達、いるのだろうか。 


 とりあえず玲央は言ってくれたけど。
 ……なんか玲央って、ほんと……優しすぎて、怖いくらい。

 なんか、ストレスとか無いかな。
 オレの世話みたいなの焼きすぎなストレスとか……。一瞬、ありそう? ってヒヤッとしたけど。ふと、朝の笑顔が浮かんで。

 ふにゃ、と気持ちが和らいだ。
 いまんとこ、それは無さそう、かな。


 その時、スマホが震えた。


『ちょっと早すぎた?』
 そんなメッセージに、ふふ、と微笑む。

『うん。早かったかも。まだ友達、来てない。ていうか、玲央、授業無いのにごめんね』
『いいよ。やることあるし』
『何するの?』
『歌詞書いたり……曲直したり色々』
『そっか。頑張ってー楽しみにしてるね』

 そう入れると、なんだかドヤ顔した犬の顔のスタンプが。続いて、「任せて」と入ってくる。


「――――……」

 さっきまで一緒に居たのに。
 ……なんか、こんなメッセージのやりとりすら、幸せで。

 なんだか、スマホが、すごく大事なものに見える。
 ただやりとりする道具ってよりは……玲央から届く言葉が、なんか、ふわふわ幸せ、運んでくれるものみたいな。

 どう我慢しても、ふわ、と口元が緩む。









(2025/2/22)
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