【恋なんかじゃない】~恋をしらなかった超モテの攻めくんが、受けくんを溺愛して可愛がるお話。

星井 悠里

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◇ライブ準備

「信じたい」*優月

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 玲央と別れてご機嫌で歩いていると、恭介と出会った。あ、次一緒だね、と、並んで歩きだした。

「よかった、恭介、ちゃんと学校来てるんだね」
「優月に超心配されてたから、来てるって」
「よかったよかった」

 笑いながら頷いていると、恭介が、なんだか、ニヤニヤしている。
 むむ。聞くべきか、聞かないべきか。ちょっと考えるけど。
 やっぱり聞きたい。

「何でそんなに、ニヤニヤ?」
「だって、またお前、にっこにこで歩いてくるから」
「えっそんな笑ってないし。変な人じゃないんだから」
「まあ正確には、頑張って笑顔を隠して歩いてる? みたいな」

 その言葉には、なんだかもう返す言葉が見つからない。だって言われてみたら、たぶん、そんな感じで歩いていた自覚があるから。
 あれれ。なんか、一瞬顔を合わせただけで、バレちゃってるのか。と思うと。なんだかな、と思う。

「あれだろ、彼氏と会ってたんだろ? 今まで」
「そ、そんなことは」
「あるだろ。つか、お前、ほんと、嘘つけないな?」

 面白そうに笑う恭介に、思わず、ふー、と息をついてしまう。

「恭介って、ほんとに、心が読めるんじゃないかと……」
「いやいや、むしろ優月が、心をさらけ出して歩いてるって感じ?」
「さすがに、そんなことはないもん」
「オレが読めるんじゃなくて、優月がすごいんだろ」
「オレ、別にさらけ出してないし」

 むむ、と恭介を見つめながら訴えていると、ぷぷ、と恭介は更に笑う。

「オレは、お前のそういうとこが、いいと思ってるからさ、否定しなくていいのに」
 クックッと笑いながら、オレの顔をちらっと見て、続ける。

「嘘つけなくて、顔に全部出てるけど――でも、バカな訳じゃないっていうのが、良いとこだよな?」
「んん? 恭介、それは褒めてるの?」
「えー? すっげー褒めてるけど」
「ほんとに?」

 首を傾げながら笑ってしまうオレに、恭介もおかしそうに笑って頷く。

「まあ聞かなくても分かるけど、一応聞く。ラブラブは続行中?」
「ラぶ……っ」

 言葉を繰り返しそうになって、恥ずかしくて止まったオレを見て、「ほんとに優月は答えなくても分かる」と笑う。
 からかわないでよ、と言いながら、教室にたどり着いて、後ろの方の席に座った。

「まあ、聞いたばかりだから、決まってるか」
「うん。そうだよ。話したばかりでしょ」
「いや、でも、早いやつは、三日とかでも別れるし」
「三日で?」
「こないだオレの友達、付き合って二日目でデートして、その初デートの翌日、別れ話してた」
「えええ?? そんなことあるの??」

 全然意味が分からない。

「それってさ、ほんとに好きだったのかな? だって、すごく好きだったら、初テートに何があっても別れないよね?」
「いや、それがさ。別れる奴は、昨日好きだって言ってても、今日になったら別れたりするんだよな」
「謎すぎない? やだよーそんなの」

 どうしよう、明日になって、玲央に、やっぱり嫌いって言われたら。
 想像するだけでも痛いから、想像しないでおこ。
 やだやだ、と思って首を振ってるオレに、恭介が笑いながら。

「お前んとこは、大丈夫だって」
「何を根拠に……?」
「優月は、こんな奴だとは思わなかった!とか言いそうにないからさ」
「オレは確かに言わないかもだけど。玲央に言われちゃう可能性もある?」

 そう言うと、少し考えて、恭介がちょっとオレから目を逸らす。

「――んーまあ、無いんじゃねえ?」
「なんか適当だしー!」
「根拠ねえもん。だってオレ、あいつの中身まで知らないし。噂通りなら、気に入らなければ速攻で別れそうだけど」

 苦笑して言う恭介に、「噂通りじゃないもん」と膨れて見せる。

「ていうか、そもそも初デートで別れる人なんて、そうそういないでしょ?」
「割といるんじゃない? 上手くいかなかったら早々にってさ」
「えー。分かんないなあ。難しいよねぇ、人の気持ちってさぁ」

 むーん、と何だか眉が寄ってしまう。
 と、その時。スマホが震えたのに気づいて、通知を見ると、玲央からだった。

「あ、ちょっと待って、恭介」
 そう言って、メッセージを開くと。

『勇紀に頼まれごとして、ちょっとだけ寄るとこあるから、少し遅れる。ごめん』
 そんなメッセージと、可愛いスタンプが謝ってるとこ。
 玲央が送ってくると、なんだかめちゃ可愛く見えてしまう。

『全然大丈夫。玲央待ってる時間は楽しいし。ていうかつきあってくれるの嬉しい。ありがと』
 そう入れると、またまた可愛いスタンプがバイバイをしている。オレもバイバイを送って、スマホをしまった。

「恭介、ごめんね。えっと」
 話、なんだっけ、と考えて、思い出した、となったところで、恭介が手を振って、もういいからと笑った。

「スマホのやりとりくらいで、そんな嬉しそうな顔してる内は、絶対大丈夫」

 呆れたように笑って言われて、そんなだった?と頬に触れながら、すこし考える。
 
「ん……でもさ、恭介」
「うん?」
「オレは、大丈夫って信じてたいなーって思うかも」


「……ふーん。まあ、お前らしいよな?」
 

 くす、と恭介が笑った。




(2025/6/2)

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