78 / 255
第1章
「ずっと」
しおりを挟む「オレは雅己の事ずっと好きやて思うてたし。お前に会うてからは4年目やけど……今までで、こんなに好きなのお前だけやし……」
「――――……」
「こんなに好きやのに、なんでそんな不安にさせてんのやろな、オレ……」
「………」
じー、と、啓介がオレを見つめる。
「……不安に思わせるような事、オレ、しとる?」
「――――……」
少し首を傾げながら、聞かれて。
じっと、その瞳を見つめながら、考える。
……不安に思わせるような事………… 啓介は、してない。
「しとるなら、すぐ直すけど」
「……してない」
そう答えると、そっかと頷いて、啓介は少し考えてから。
「……何でオレがお前好きか分からんて、お前、言うたよな」
「……うん」
「オレいつも言うとると思うんやけどなあ……」
しばらく、視線を外して、うーん、と唸ってから。
あ、せや。と笑って、啓介がオレを見つめ直した。
「今から、好きなとこ全部言うてくから、黙って聞いとけや。おかしな茶々入れたら――――………せやな。……エンドレスで、イかせるから」
「……っ……」
急に、なんて事言うんだ。
どん引きしてると。
啓介は、ぷ、と、笑いながら、オレを見た。
「好きなとこな。見た目、好きやで。あと、抱いてると、めっちゃ相性ええなーて思うから、お前抱くの、めっちゃ好き。声も好きやし」
「――――……」
見つめたまま、啓介が並べていく。
「しゃべり方も、笑ろた顔も、怒っとる顔も好き。恥ずかしがってんのも好き。たまに落ち込んでるのも可愛えし」
「――――……」
……どんどん恥ずかしくなってくる。
「背の高さもキスしやすいし、抱き締めやすいし、好き。お前の瞳も、好き。バスケしとるとこも好き。皆と楽しそうに笑ろてんのも好き。……むかつくけど、色んな奴に頭なでられたりするようなとこも、好きやし」
「――――……」
「キスしてる時、舌がすぐ逃げてくのも可愛え。捕まえてめっちゃキスして、逃げられなくすんの好き。お前の食べ方も好き。洗濯物たたむとき、やたら丁寧なんも好き。お前が先に起きた時、オレを起こさないようにちっちゃく動いてんのも可愛え。オレにドライヤーされて、幸せそうにぼーっとしてんのも、好き」
……っ……これ、止めたら、ダメなの?
……エンドレス……になっちゃうのか? ……止めたい。
「オレが本読んでる時、背中によっかかってくるのも好き。風呂一緒に入るの恥ずかしがるのも可愛えし。お前と並んで歩くのも好き」
「――――……」
どんだけ、続けんの。これ。
……もう、無理。オレ。
「オレと一緒に――――……?」
続けようと口を開いた啓介の首に手を回して。
ぐい、と引いて。
その唇に、キスして、塞いだ。
「……何。もっと言いたいんやけど」
少し唇離されて、そんな風に言われる。
オレは、プルプルと、首を振って見せた。
「――――……もう、良い。恥ずかしいっつの……」
「――――……」
オレの言葉に不満そうに黙ってた啓介は。
「……納得したん? オレ、お前好きなとこ、ほんま、いっぱいあるけど。出なくなるまでずーっと言うけど……」
「……もう……いいよ…… 分かった、から……」
言うと、クスクス笑って、啓介はオレの頬に触れた。
「――――……毎日、好きやなて思うて一緒に居んのに、居なくなるとか、なんで思うん?」
「――――……」
「一緒に暮らそうて言うてる時点で分かるやろ、ずっと一緒に居るつもりやて。すぐ切れてええ奴に一緒に暮らそうなんて、言わないと思わん? 鍵なんて渡す訳ないやろが」
抱き寄せられて、至近距離で、見つめられる。
「――――……ずっと、オレと居って、雅己」
「――――……」
「……そしたら、その内、嫌でも分かると思うし」
啓介の瞳が、優しく、緩む。
何も。
否定する、言葉が、出てこない。
何も。
「――――…………啓介」
オレ。
なんかもう……この先、ずっと。
お前が良い、かも……。
「……お前と一緒に、居る……」
啓介の首に手をかけて、ぐい、と引いて。
深く。 唇を重ねた。
158
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
溺愛の加速が尋常じゃない!?~味方作りに全振りしたら兄たちに溺愛されました~
液体猫(299)
BL
毎日AM2:10分に予約投稿。
*執着脳筋ヤンデレイケメン×儚げ美人受け
【《血の繋がりは"絶対"ではない。》この言葉を胸に、クリスがひたすら生きる物語】
大陸の全土を治めるアルバディア王国の第五皇子クリスは謂れのない罪を背負わされ、処刑されてしまう。
けれど次に目を覚ましたとき、彼は子供の姿になっていた。
これ幸いにと、クリスは過去の自分と同じ過ちを繰り返さないようにと自ら行動を起こす。巻き戻す前の世界とは異なるけれど同じ場所で、クリスは生き残るために知恵を振り絞っていく。
かわいい末っ子が兄たちに可愛がられ、溺愛されていくほのぼの物語。やり直しもほどほどに。罪を着せた者への復讐はついで。そんな気持ちで、新たな人生を謳歌するマイペースで、コミカル&シリアスなクリスの物語です。
主人公は後に18歳へと成長します(*・ω・)*_ _)ペコリ
⚠️濡れ場のサブタイトルに*のマークがついてます。冒頭のみ重い展開あり。それ以降はコミカルでほのぼの✌
⚠️本格的な塗れ場シーンは三章(18歳になって)からとなります。
こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡
なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。
あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。
♡♡♡
恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
ユィリと皆の動画つくりました! お話にあわせて、ちょこちょこあがる予定です。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
借金のカタに同居したら、毎日甘く溺愛されてます
なの
BL
父親の残した借金を背負い、掛け持ちバイトで食いつなぐ毎日。
そんな俺の前に現れたのは──御曹司の男。
「借金は俺が肩代わりする。その代わり、今日からお前は俺のものだ」
脅すように言ってきたくせに、実際はやたらと優しいし、甘すぎる……!
高級スイーツを買ってきたり、風邪をひけば看病してくれたり、これって本当に借金返済のはずだったよな!?
借金から始まる強制同居は、いつしか恋へと変わっていく──。
冷酷な御曹司 × 借金持ち庶民の同居生活は、溺愛だらけで逃げ場なし!?
短編小説です。サクッと読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる