【やさしいケダモノ】-大好きな親友の告白を断れなくてOKしたら、溺愛されてほんとの恋になっていくお話-

星井 悠里

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第1章

「ずっと」

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「オレは雅己の事ずっと好きやて思うてたし。お前に会うてからは4年目やけど……今までで、こんなに好きなのお前だけやし……」
「――――……」

「こんなに好きやのに、なんでそんな不安にさせてんのやろな、オレ……」
「………」


 じー、と、啓介がオレを見つめる。

「……不安に思わせるような事、オレ、しとる?」
「――――……」

 少し首を傾げながら、聞かれて。
 じっと、その瞳を見つめながら、考える。

 ……不安に思わせるような事………… 啓介は、してない。

「しとるなら、すぐ直すけど」
「……してない」

 そう答えると、そっかと頷いて、啓介は少し考えてから。


「……何でオレがお前好きか分からんて、お前、言うたよな」
「……うん」

「オレいつも言うとると思うんやけどなあ……」

 しばらく、視線を外して、うーん、と唸ってから。
 あ、せや。と笑って、啓介がオレを見つめ直した。

「今から、好きなとこ全部言うてくから、黙って聞いとけや。おかしな茶々入れたら――――………せやな。……エンドレスで、イかせるから」
「……っ……」

 急に、なんて事言うんだ。
 どん引きしてると。

 啓介は、ぷ、と、笑いながら、オレを見た。


「好きなとこな。見た目、好きやで。あと、抱いてると、めっちゃ相性ええなーて思うから、お前抱くの、めっちゃ好き。声も好きやし」
「――――……」

 見つめたまま、啓介が並べていく。

「しゃべり方も、笑ろた顔も、怒っとる顔も好き。恥ずかしがってんのも好き。たまに落ち込んでるのも可愛えし」
「――――……」

 ……どんどん恥ずかしくなってくる。

「背の高さもキスしやすいし、抱き締めやすいし、好き。お前の瞳も、好き。バスケしとるとこも好き。皆と楽しそうに笑ろてんのも好き。……むかつくけど、色んな奴に頭なでられたりするようなとこも、好きやし」

「――――……」

「キスしてる時、舌がすぐ逃げてくのも可愛え。捕まえてめっちゃキスして、逃げられなくすんの好き。お前の食べ方も好き。洗濯物たたむとき、やたら丁寧なんも好き。お前が先に起きた時、オレを起こさないようにちっちゃく動いてんのも可愛え。オレにドライヤーされて、幸せそうにぼーっとしてんのも、好き」

 ……っ……これ、止めたら、ダメなの?
 ……エンドレス……になっちゃうのか? ……止めたい。


「オレが本読んでる時、背中によっかかってくるのも好き。風呂一緒に入るの恥ずかしがるのも可愛えし。お前と並んで歩くのも好き」

「――――……」


 どんだけ、続けんの。これ。
 ……もう、無理。オレ。


「オレと一緒に――――……?」

 続けようと口を開いた啓介の首に手を回して。
 ぐい、と引いて。

 その唇に、キスして、塞いだ。


「……何。もっと言いたいんやけど」

 少し唇離されて、そんな風に言われる。
 オレは、プルプルと、首を振って見せた。

「――――……もう、良い。恥ずかしいっつの……」
「――――……」

 オレの言葉に不満そうに黙ってた啓介は。

「……納得したん? オレ、お前好きなとこ、ほんま、いっぱいあるけど。出なくなるまでずーっと言うけど……」

「……もう……いいよ…… 分かった、から……」

 言うと、クスクス笑って、啓介はオレの頬に触れた。


「――――……毎日、好きやなて思うて一緒に居んのに、居なくなるとか、なんで思うん?」
「――――……」


「一緒に暮らそうて言うてる時点で分かるやろ、ずっと一緒に居るつもりやて。すぐ切れてええ奴に一緒に暮らそうなんて、言わないと思わん? 鍵なんて渡す訳ないやろが」

 抱き寄せられて、至近距離で、見つめられる。


「――――……ずっと、オレと居って、雅己」
「――――……」


「……そしたら、その内、嫌でも分かると思うし」


 啓介の瞳が、優しく、緩む。


 何も。
 否定する、言葉が、出てこない。


 何も。




「――――…………啓介」


 オレ。

 
 なんかもう……この先、ずっと。



 お前が良い、かも……。
 



「……お前と一緒に、居る……」



 啓介の首に手をかけて、ぐい、と引いて。
 深く。 唇を重ねた。








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